ヒロシマナガサキ(2007米)--舞台挨拶付 | CINEPHILIA~映画愛好症~

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気づいたら11月。もうすぐ1年終わっちゃいますねー。今月はフィルメックス見に行かれたらと思ってます。

ヒロシマナガサキ

友人の日記を読み、興味を持った作品。興味という言い方は悪いのですが…出演者の方がお話しされていた通り、日本人は「あぁ知ってるよ」であまり関心を持たないようです。一方で、私のように無知な人間は知らないことに近寄らないし…この作品をアメリカ人監督(日系3世)が撮った意義は大きいと思います。

原爆の被害に対する認識と関心を、世界に呼び起こしたいと考えたスティーヴン・オカザキ監督は、日本を訪れ500人以上の人々に会い、取材を重ねた。14人の被爆者、原爆投下に関与した4人のアメリカ人の証言を軸に、原爆がもたらした悲劇に迫る。想像を絶する体験を語る彼らの言葉から、反戦へのメッセージが浮かび上がる。 (シネマトゥデイ)

私の小学生時代に暗い影を落とした漫画「はだしのゲン」。あれを児童図書館で読んで以来、想像による恐怖をどれだけ味わったことか。実はあれ週刊少年ジャンプの作品だったそうです。その作者も含めて、ここで語っているのは当時まだ幼い子供だった方がほとんど。そんな小さい時分に目の前に恐ろしい光景が繰り広げられ、ご自身も60年の間続く苦しみに耐えてきたこと、生々しい傷痕は本当に胸に刺さりました。残ったヒトは「人間として生きられず、人間として死ねず」「殺してくれと頼んだ」と語るのです。私はそれから何十年も経って生まれた子供だけど、なんだか申し訳ない気分になりましたワ。

色々な衝撃があったけれど、中でも驚いたのはアメリカ側から映した映像。当時の原爆投下に携わったパイロット、科学者は「あれは戦争を早く終わらせるための(正当な)行為だ」「後悔していない」「指令に従ったまでだ」と多少の笑みを持って口にするのです。責任云々を私が言うつもりはありません。彼らも60年前といえばまだ若造で、意味も分からず動いていた歯車だったとは思うけれど、もう少し原爆の意味を踏まえた言葉が出てくると思ったのでビックリしました。この言葉は、アメリカ軍として正しいのかもしれません。決して某国首相のような「深く遺憾の意を…」は言わないのね。

最後の舞台挨拶ではスティーヴン・オカザキ監督、(通訳)、出演者の1人(元軍医)が登壇されました。これまで6,000人以上の被爆者を診てきた元軍医は「これは慢性的にジワジワと人を死に至らしめる完全犯罪である。単に核爆弾がいけないのではなく、ヒトの手でヒトが治療できない障害・病気を与えてはいけないということだ」と力説。改めて、その恐ろしさに気が付きました。

知っているようで、知らないことが多くて、日本人や核爆弾の将来を考える一般人には見ておくべき作品だと思います。アメリカでは8/6に合わせてテレビ放映するそうです。日本でも1,000円程度で見られると若者も観にいきやすいと思うのですが…。(高校生が1945年8月6日を知らないってホントですか!?)

7月28日(土)より岩波ホール他にて公開予定
満足度:★★★★★★★★☆☆
(こういうタイプの映画に満足度をつけるのもナンセンスと思いますが…多くの人が観たほうがいいよという意味で)