映画 『チョムスキーとメディア』  | ナンでもカンでも好奇心!(tomamのブログ)

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硬軟取り混ぜた種々雑多なネタについて書いてみようかと思います。
全くまとまりがないと思うけど、それが自分らしさということで。。。

映画『チョムスキーとメディア』をDVDで観ました。

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なぜかアフィリエイトに出てこず、貼れなかったのですが、AmazonでのDVDの紹介より。

<引用開始>
マスメディアはいかにしてニュースを選別し、反対意見を小さく見せ政府や大企業のメッセージを伝えているのか--

ノーム・チョムスキーの思想と行動を追い、世界で喝采を浴びた傑作ドキュメンタリー。

東ティモールとカンボジアで起きた集団虐殺について、ニューヨーク・タイムズ紙がどのように報道したか丹念に検証し、反主流派の意見が隅に追いやられていく実態を描きつつ、オルタナティブ・メディアの具体的な成功例を紹介する。また、チョムスキーに反論する人物が次々と登場し、その対決も見もの。

☆1992年ニヨン国際ドキュメンタリー映画祭グランプリ、国際批評家賞、国際記者賞、観客賞受賞
☆1992年シカゴ国際映画祭ゴールド・ヒューゴー賞受賞
☆1992年トロント国際映画祭審査員特別賞受賞
☆1992年ボンベイ国際映画祭グランプリ、審査員特別賞受賞  他多数受賞

ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)

1928年、フィラデルフィア生まれ。マサチューセッツ工科大学教授。1950年代後半以降、生成変形文法理論の成果を発表、言語学の世界に革命をもたらす。一方で、ベトナム戦争以来、長年にわたり米国の外交政策を鋭く批判する活動を続けている。言語学関係の著作のほか社会・政治に関する著作も数多く、著書に『中東 虚構の和平』(講談社)、『マニュファクチャリング・コンセント 1,2』(トランスビュー)など。

<引用終わり>




ノーム・チョムスキーは、言語学の分野で世界的な業績を上げた学者でありながら、米国の政策を批判する政治活動を続けています。

語り口は穏やかで冷静沈着、そして極めて論理的。いちいち納得です。

米国のメディアが、カンボジアのポルポト政権による大虐殺については大々的に報道していたのにも関わらず、米国が支援していたインドネシアによる東チモールでの大虐殺については沈黙していた事実を、痛烈に批判しています。

人々はメディアから公正な情報を受けていると思っていますが、実際には(特に米国のマスメディアは)利益に反することは報じないし、利益になるならば実際に起こったことを歪曲して伝えることを暴いています。

映画のサブタイトルが「マニュファクチャリング・コンセント(合意の捏造)」であるように、民主主義の国で国民の合意と思われているものは、実はマスメディアを通じて権力者によってコントロールされたものに過ぎないのだ、と警告しています。

紹介でも書いてあるように、チョムスキーの説に対する反論もしっかり取り上げられています。

(なお、チョムスキー氏は米国のメディアにインタビューを受けることはきわめて稀だが、それに比べると、英国やカナダや日本ではまだマスメディアから彼の意見を求められることも多いと。)

なぜチョムスキー氏がこれほど正義にこだわるのかを聞いたくだりで、彼が6歳のとき、太った友人が皆にいじめられていたのをかばおうとしたけれど、上級生が怖くなって逃げだしてしまったことを今でも悔やんでいると語っていたのが、とても心に残りました。


→これで思い出すのは、時期的にはこの映画より後の2001年、9.11同時多発テロが起きて、米国民が熱狂的に「テロとの戦い」を支持しましたが、そこには権力者(ブッシュ大統領やチェイニー副大統領)に対するマスメディアの「協力」があったと考えられ、まさにチョムスキー氏が警告していた通りのことがやすやすと実現されたということでしょう。

もちろん、チョムスキー氏は9.11の真相究明を求める「9/11 Truth Movement」に参加しています。例えば、次のような記事が911truthのサイトにあります。

http://www.911truth.org/article.php?story=20101108163526253
"Chomsky: No Evidence of al Qaeda Behind 9/11"
「チョムスキー:9/11の背後にアルカイダがいる証拠は何もない」

私も一度、「同時多発テロ10年 追悼式典」という記事にチョムスキー氏の名前を出したことがあります。



さらに、DVDでは2007年のインタビューも収載されています。

ここでのインターネットの功罪についての発言もきわめて示唆に富んだものです。

<効用>
・膨大な情報が入手しやすくなった。主流メディアに載らない情報がたくさん見つかる。
・意見を表明し、どしどし議論できる

<問題>
・情報の洪水に呑まれてしまう。
 意味ある情報を拾い出すには知的センスが要るし、世界の理解が必要。何を探すかわかっている必要がある。

・カルトの温床になる。
 誰かの珍妙な思いつきに別の人が反応して膨らませ、増幅すればじきにカルトが出現。
 批判はいっさい受け付けない。影響を与え合う結果、互いの信念が強化される。自分の主張を強化するデータは探せば見つかる。恐ろしく有害だ。

放射性物質による被曝の健康影響について、ECRRの非科学的な主張に賛同する人たちを「カルト」とまで呼ぶのはちょっと憚られますが、自分たちの主張に都合のいい説(極低線量の被曝でかえって健康被害が増加するなどという、まさに「珍妙な思いつき」の説)だけを信じ、都合の悪い説は「御用学者」によるものだと断定して受け付けず、声高に危険を煽り、極端なゼロリスクを政府・自治体に求め、結果として(←政府も情けないですが)ただでさえ地震・原発の被害にあった人々を無用に不安にし(健康)、苦しめる(ふるさとへの帰還/産業の復興の遅延)ことになっているのは、まさに有害と言えるでしょう。

これも、インターネットの普及がなければここまでの広がり・影響力はなかったはずで、チョムスキー氏の言うように、功罪の罪の部分ですね。


ノーム・チョムスキー氏の名前は、若気のいたりで人工知能に興味を持って自主的に勉強していた頃に知っていたのですが、政治的な活動をしているのを数年前頃だったか『週刊金曜日』(まさに広告収入に頼らない「オルタナティブ・メディア」です)で知って、あの文法学者のチョムスキーが?とやや違和感を持ったままで、その言動をさほど追求してきませんでした。

今回この映画を観て、さすがに超一流の学者は政治活動でも超一流だと感じた次第です。
1928年生まれで、現在83歳ですね。長生きしてまだ活躍をしていただきたいです。


なお、"Google Video"にこの映画がアップロードされているのを発見しました。
14程度に分割されていて、どうも「1」がなさそうです。(合法性もよくわかりません。)

取りあえず、ひとつ「チョムスキートメディア 6」(とがトになっているのはご愛嬌)のリンクだけ貼っておきます。

http://video.google.com/videoplay?docid=-2221331831726462372

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