癇癪(カンシャク)の原因
テーマ:真剣に考える
幼稚園に入ってからだ。
もう4歳になったなぁ太が、二歳児の癇癪に似た感情表現を再びするようになったのは。
言葉での説明を一切せず、地面に転がり泣きわめく。
終わったはずのそれと再び対面したとき。
なぜ…?とは思ったものの、大して気にはしていなかったっけ。
今思えば、それは大きなサインだったのに。
気付かぬままここまで来てしまったことに、トマコは今更ながらに気づいた。
トマコはずっと正しい答えを言っていた。
「順番でしょ?順番はちゃんと守らなくちゃ!」と叱ってみたり。
「そんなキツイ言い方だとダメだよ。もっと優しくお願いしてごらん?」となだめてみたり。
なのに何を言っても余計ヒートアップするばかりで。
なぁ太の耳には届かない。
やがてヒートアップが癇癪状態になり。
それが日に日に激しくなっていく。
なんだか今までのトマコの心理状態に似ているかも…と気づいた。
順番を守らなくちゃいけないってことは十分に分かっていて。
だから自分がいけないことしてることも理解していて。
なのになぜそれをしてしまうのか自分で自分がよく分かってなくて。
それを解決する方法が分からなくて。
なぁ太自身も苦しんでるんじゃないか、と。
そしてそれを解決する答えは…。
正しいだけの答えじゃなくて。
私が共感することにあるんじゃないか、と。
トマコは、なぁ太の幼稚園の様子を思い出した。
いつも友達のオモチャを奪う?
ううん、そんなことはしていなかった。
順番が守れない?
いや、守れていた。
守れていた、というより…。
あ、そうか…!
「なぁ太、幼稚園ではいつも順番守ってるもんね?
ブランコの順番とか、さ。
ずっと待ってるもんねぇ…。
ずっと待っててもちっとも代わってくれない子がいるのに。
なぁ太は「代わって!」って言いたくても言えないから、さ。
順番抜かされちゃったりもしてさ。
幼稚園でいっぱいいっぱい我慢してるから、さ。
だから、家でまで我慢したくないって思っちゃうんだよね。」
すると…。
トマコが何か言えば、いつも必ず癇癪を起していたはずのなぁ太が、ぴたりと止まった。
今までは耳に手を当てて大声で叫んでいるかのような癇癪を起していたなぁ太が。
初めて、聞く姿勢を取ってくれたのだ。
驚いた…。
トマコは続けた。
「幼稚園で頑張ってるね、なぁ太。
いっぱい我慢もしてるんだよね。
だから家では我慢したくなくて。
「なぁくんのー!」って言っちゃうんだよね。
でも、やさしく言ってみたらどうだろ?
怒りながら言うんじゃなくて。
ゆっくり言ってみたらどうだろ?
そしたら、コン吉は貸してくれるかもよ?」
すると。
なぁ太は、泣きそうな顔で頷き
「コンくん…。
かーしーて?」
と、言い。
その様子を見ていたコン吉も
「あい!どーじょ!」
と、普通にオモチャを渡してくれたりして。
解決したのだ。
そしてこの出来事をきっかけに。
なぁ太の癇癪は減っていき。
今ではほとんどなくなった。
今まで、悪いことは悪いと叱ってきた。
でも、その中にあるなぁ太の心を気遣うことはなかった。
彼の今更ながらの癇癪は、私の接し方に問題があったのだ。
トマコが、マサオにだけは理解してほしいと思っていたように。
なぁ太も、トマコにだけは自分を理解してほしいと思っていたのだ。
そしてその気持ちに。
母親であるトマコは愚か、なぁ太自身も気づいてなかったのだ。
それが分かってからは、なぁ太の接し方に注意するようになった。
今までは
①こらー!叩いたらだめでしょー!(叱り)
②確かにコン吉は悪いことをしてたよ(褒め)
③けど叩くのはダメなことだよ!?(叱り)
④なぁ太癇癪
という流れだったものを
①コン吉を注意してくれたんだね、ありがとう。(褒め)
②でも、叩いてもいいのかな?いけないよね?(叱り)
③ごめんなさい→褒め
に変えた。
始めの一言を替えることで、なぁ太の「聞く姿勢」が整い。
癇癪を起こすことが激減した。
癇癪が激減したなぁ太は、幼稚園でも言葉が増えていった。
やっぱり挨拶は恥ずかしくてまだ出来ないけど。
今まで同じ組のお友達にも何も言えなかったなぁ太が。
言葉少なに、感情を爆発させていたなぁ太が。
気づけば言葉でのコミュニケーションを取るようになり。
会話をするようになり。
その中で少しずつ自己主張をするようにもなり。
ゆっくり、ゆっくりと幼稚園になじんでいったのだ。
半年前から、なぁ太はコン吉のマネばかりしていた。
コン吉が食べモノを投げれば、なぁ太も投げ。
コン吉が硬い積み木を投げれば、なぁ太も投げ。
そのたびに、両方を叱ってもきたけれど。
ちっとも治らなくて、頭を悩ませたりもしていた。
今思えば、なぁ太の遅い赤ちゃん返りだったのだろうと思う。
それに対応することなく、入園した幼稚園で。
今まで以上の我慢の日々。
今まで以上に「母に理解してほしい」という思い。
積もり積もったものが、爆発し、癇癪になったのだろう。
でも、そんななぁ太の状態に。
だれよりも一番敏感に気づいていたのは。
他でもないコン吉だったのです。
明日、オマケのコン吉編で、この話は終了します。
長くお付き合いさせてしまい、大変申し訳ありませんでした。
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