Louis Vuitton for David Bowie | In The Groove

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a beautiful tomorrow yea

 
すべての道は東京に通ず? パリやロンドン、ベルリン、バルセロナ、ニューヨークと、日本のアーティストや映画監督、小説家たちは世界の各都市からひっきりなしに招かれ、もてはやされ、デザイナーたちは、世界中のファッションショーに次々と華やかなデビューを遂げていく。

 

一方、洗練された日本文化に影響を受けた西洋の偉大なクリエイターたちは、新境地を求めて、あるいはアイデアを探しに東京にやってくる。東京はインスピレーションの街。名作『ブレード・ランナー』を印象づけたカオス的近未来都市のアイデアがリドリー・スコットの頭に浮かんだのは、夜の新宿をそぞろ歩きしながらであった。

―『ルイ・ヴィトン・シティ・ガイド東京』より

 

デヴィッド・ボウイとルイ・ヴィトン

 

2013年は、デヴィッド・ボウイ復活と、彼のニューアルバム『ザ・ネクスト・デイ』のニュースではじまり、世界をあっと言わせてから早10カ月が経過し、鮮やかな紅葉の秋が到来した今月、彼を起用したルイ・ヴィトンの広告(ツイッターでは10月31日に触れた話題だ)が公開された。

 

 

撮影は今夏、(デヴィッド・ボウイと親交が深いアレキサンダー・マックィーンの2012年秋冬キャンペーンの動画も撮った)英国人ファッション・フォトグラファー<デヴィッド・シムズ>により、イタリアのヴェネツィアで行われた。

 

今夏といえば、7月19日付ブログ“Stars are never sleeping”で、ティナ・ターナーのスイスでの結婚式に参加するデヴィッド・ボウイについて触れたが、撮影時期がちょうどその頃と重なったのかどうかは不明だ。尚、撮影時には、イマン夫人と13歳の娘<アレクサンドリア>ちゃんも同行している。

 

今でこそ大衆化し、堕落した、ラグジュアリーなフランスを代表するブランドではあるが、創業は1854年まで遡る歴史ある鞄ブランドなのだ。当時、大旅行時代の到来を予見し、創業されたブランドだが、日本においては、1980年代以降、海外旅行がようやく一般的なレジャーとなって久しいが、同ブランドはラグジュアリーな旅に必用なトランクをはじめ、旅のスタイルに合わせたさまざまな鞄を次々と発表し続けている。

 

生産コストの10倍から12倍で販売されているそのバッグは今もなお、世界中で飛ぶように売れ続けている。生産拠点はフランスを中心に、スペインとカリフォルニアに構えている。「メイド・イン・フランス」以外に、「メイド・イン・スペイン」という刻印を目にした人も少なくないはずだ。

 
旅をイメージさせる伝統と革新」の同ブランドは、1999年から世界の選び抜かれた都市のガイドブック『ルイ・ヴィトン・シティ・ガイド』を発行している。東京編が新たに2009年に加わり、当時のブログで取り上げたが、ガイドブックらしく、ホテル、レストラン、美術館などが網羅されている一方、私的に興味深かったのは「書店」だろうか。青山ブックセンターをはじめ、大小かかわらず、いくつかの書店が紹介されている。

 

俺がルイ・ヴィトンを知ったのは30年前の1983年頃まで遡るが、海外旅行から帰国した両親のモノグラムのボストンバッグが最初だったと記憶している。当時の俺は、どこにでもいる、バレーボール英国の音楽に傾倒していた少年だったが、ブランドそのものに興味を示さず、中学時代にコム・デ・ギャルソンのシャツを着るようになってから、ブランドへの関心は突然目覚め、俺の私的好奇心を惹き付けたのは確かだろう。色んな意味で、学ぶことは好きだったからね。

 

ルイ・ヴィトンに関しては、俺が偏差値70台の高校に通っている時代に、同ブランドのバッグや財布を買ってもらったのが初めてだったと思う。とはいえ、同ブランドを愛用していたのは同偏差値の大学へ進学後、同ブランドのブリーフケースやバッグを多数購入したが、社会人になって以降は、数年のみ愛用しただけで、今ではもう使っていない。というより手放したといったほうが正しいだろうか。

 

そんな俺にとって、懐かしい存在のブランドである<ルイ・ヴィトン>と、俺が1983年に出会ったミュージシャンデヴィッド・ボウイ>を広告に起用するといった巡り合せは、とても感慨深くもあり、同ブランドの旅のストーリー同様、その不思議な展開に、物語を感じ得ずにはいられなかったのだ。しかしながら、デヴィッド・ボウイの起用によって、俺がふたたび同ブランドの鞄を手に取ることはないと思うが、東京の街のどこかで、同ブランドに起用されたボウイの広告を目にした瞬間、心変わりするようなことが起こり得るかもしれない。尚、同ブランドのPVは、11月10日に公開予定だが、今から待ち遠しいのは俺だけではないはずだ。

 

サンデー・モーニング

 

ところで、ルー・リードが10月27日(日)にニューヨーク郊外で亡くなってから、早いもので1週間が経過し、月も替わったが、俺はいつもと変わらず、ここ東京で、11月最初の静かな日曜の朝を迎えた。

 

 

9月7日付ブログ“SYMPHONY NO.5”では、「9月7日(土)の都心の早朝。自宅リビングでは、モーツァルトでもマーラーでもなく、英国のジェイムス・ブレイクの曲“Voyeur”が静かに流れている」と綴ったが、今朝は1967年のアルバム『ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコ』をBGMに選択し、まず最初に流れてきたのは、ルー・リードが歌う“Sunday Morning”だった。

 

マーキュリー賞

 

去る9月11日、マーキュリー賞(イギリスとアイルランドでリリースされた年度最優秀作品)のノミネート作品が発表された際、ジェイムス・ブレイクは、

 

もしデヴィッド・ボウイに賞を獲ったら、文句は出ないよね。今回の候補にデヴィッドと一緒に入ったことをすごく嬉しく思うし、今度のアルバムは大好きだし、ヴィデオもすごく気に入っているからね。あと、アーティストとしての息の長さもぼくにはすごく重要なことだし、音楽をいつまでも新しく作り直していい音楽を最後まで作り続けていくことはできるんだと示していることをたくさんの人たちも気に入ってるし、それがぼくの野心でもあるから。しかも、少しも終わりに近い感じはしないからね。まだまだ限りなくアルバムがデヴィッドの中には溜まってるような感じもするから、それをぜひ見届けていきたいよ(ロッキング・オンのサイトより)」と語ったようだが、

 

先日、マーキュリー賞が発表され、デヴィッド・ボウイの『ザ・ネクスト・デイ』は残念なことに受賞を逃し、ジェイムス・ブレイクの『オーヴァーグロウン』が見事に受賞したのだ。Congrats!

 

ジェイムズ・マーフィー

 

一方、デヴィッド・ボウイは、公式サイトで、11月27日にリリースする『ザ・ネクスト・デイ・エクストラ』の収録曲“Love Is Lost (Hello Steve Reich Mix by James Murphy for the DFA)”を先日公開した。

 

ザ・ネクスト・デイ』の収録曲“Love Is Lost”を今回リミックスしたのは、2010年5月22日付ブログ“This Is Happening”で取り上げた、LCDサウンドシステムのジェイムズ・マーフィーその人だったのだ。

 

当時のブログで、「ジェイムズ・マーフィーは少年時代に、デヴィッド・ボウイの“Fame”を聴きながら、冷蔵庫のモーター音に耳を傾け、やがてパンクに出会い、曲を作るようになったらしい」と書いたが、

 

夢は実現するもの、いや実現させるものなんだ、ね。

 

Have a nice weekend!