十年も二十年も -317ページ目
<< 前のページへ最新 | 313 | 314 | 315 | 316 | 317

滂沱。

たぶん
もともと涙腺はよわい


学生の頃


先生 泣いてもいい?


そういって
よく先生の研究室で
泣いていたことを思い出した


先生を男性として好きだったとか
明確な理由があって悲しかったからとか
そういうことはなかったように思う


思う と書いたのは
その頃をあまり鮮明に記憶していないから


覚えているのは
研究室の窓から緑の木々が見えてざわざわと風に揺れていたこと
先生は理由を聞き出すこともなくただそこにいてくれたこと


先生のくゆらすパイプから
たちのぼる煙のあまい匂いに包まれて
面白いくらいに涙はこぼれた


今 思い返せば


先生の前でただ泣く という行為は
あの頃の不安定な私には気持ちを安定させる
唯一有効な手段だった


まだ何にも知らなかった頃
昔のはなし


先生 元気ですか?

群青の夜の羽毛布/山本文緒

山本 文緒
群青の夜の羽毛布

*あらすじ* (裏表紙より)

家族っていったい何でしょうね?たまたま血が繋がっているだけで、どうしていっしょに暮らしているんでしょう?―― 丘の上の一軒家に住む女三人。家族とも他人ともうまく関係を結べずに大人になった長女と、その恋人をめぐって、母娘の憎悪、心の奥底に潜めた暗闇が浮かびあがる・・・・・・。恋愛の先にある幸福を模索した、ミステリアス長編小説。


狂気と正気は紙一重 とはよく言われますが

山本文緒さんの作品は 何気ない文章の中にそれが盛り込まれています

だから 読み進むにつれて 怖いけれど続きが気になって気になって

ついつい 夜更かししてしまうのです。。。。


坂の上の一軒家に住む家事手伝いのさとると

坂の下のスーパーみやこしでバイトしている大学卒業間近の鉄男


さとるに出会うまで

あまーい砂糖菓子のような女の子とばかり付き合っていた鉄男は

透明感のある中性的な魅力のさとるに惹かれる


随所に色っぽいエピソードがあるのですが

なんだか納得してしまった箇所がありました


男の人とは裸で抱き合える。

言葉が足りなくてうまく分かり合えない時は、裸になって抱き合えばいい。

女の人ともセックスできればいいのに。そうしたらもっと簡単に仲良くなれるのに。


ギョっとする言い回しだけれど

私自身もそう思っている部分があるからかも知れません

抱きしめた肌のぬくもりや心臓の音に 安心することも多いから


さとるの母は小学校の教師であり一家の大黒柱

最近にしてはめずらしく 悪いことには体罰も必要と言い切る

いわゆる「くそババァ」な教師


さとるの妹のみつる 社会人三年目

母を毛嫌いしているが 堂々と門限を破ることはしない

だけど母が眠った深夜 家を抜け出し近所のバーに入り浸ってみたり

。。。スレた風を装っても 育ちのよさがにじみ出る20歳


そしてどんどん物語は転がり落ちるように進んでゆく

キーワードはみつるの言う 「うちの大黒柱はママです」


最後まで読んで思ったことは

みつるが 唯一普通だった。。。でしょうか

彼女のまっすぐな瞳と小さな手に 救われる思いがしました

そしてやはり

家族っていったい何でしょうね?

なんて 考え込んでしまいました


思う壺ですw


はじめてキスをした日。

はじめてキスをしたのは
15歳の頃

当時好きだった彼と


その彼の好きだったコは
私のいちばんの仲良し


それを知っていても彼を好きだった
そんなことはどうでもよくて
彼のそばにいたかった


わんこの散歩と言っては
よく彼の周りをうろちょろしていた


中学生の頃なんて
性への興味は最高潮
だけどそれを解消する場なんて
ほとんどなかったと思う


三年間ずっと片思いだった
彼も私のいちばんの仲良しに片思いをしていた
彼女に逢いたいからと私に橋渡しを持ちかけたり
(でもその彼女は当時一番人気の彼と付き合っていました _| ̄|○...アリガチ)
そのご褒美としてねだった ような気がする


好きじゃなくてもいいからキスして


そんな言葉で誘ったら 彼は簡単にのった
興味はあっても経験する機会なんてなかったから


彼がのったのは 単に興味本位で
私に対しては 気持ちなんてなかった
それでも私は彼とキスしたかった


彼に触れたかった


って言ったほうが正解かもしれない
(今だったら速攻セックスに持ち込むと思う)
あの頃はそんな場所もお金もなかったし
キスは高尚なもので神聖なものだと思っていた


あれから時間は流れて
すいぶんと遠くまで来てしまったけれど
彼のくちびるに触れたときにふるえた気持ちは
いまでも身体にのこっている


結局彼とはセックスをする機会はなかった
もったいないことした!と言うよりは
しなくてよかったと思う気持ちはあったりもする


初恋はきれいなままのほうが
都合がいいって言うでしょう?
たぶん ね

<< 前のページへ最新 | 313 | 314 | 315 | 316 | 317