十年も二十年も -316ページ目

あなたには帰る家がある/山本文緒

山本 文緒
あなたには帰る家がある

―― この手は誰かを幸せにすることができるのだろうか。
もしかしたら、人を不幸にすることしかしていないのではないだろうか。


* あらすじ *(裏表紙より)
夫は花になど興味がないが、秀明は「紫陽花の花が咲き始めましたね」と言ってくれた。
平凡な家庭の主婦・綾子が恋をしたのは、そんな理由からだったかもしれない。
そして秀明が恋に落ちたのも、仕事を持つ妻にはない、夕餉の支度をする幸福そうな綾子の姿を見たからなのかもしれない。
妻の恋、夫の恋をきっかけに浮き彫りにされるそれぞれの家庭の事情――。「結婚」の意味を問う、恋愛長編小説。


登場人物がかなり多いのだけれど
それぞれの事情や心情を細かに描写しているためか
戸惑うことなく山本文緒さんの世界に引きずり込まれた


溶けて消えてなくなってしまった熱情
どうしてと問いかけられても わからないとしか答えられない
もどかしい言葉たち 言葉は感情を表すための道具であったはずなのに
どうしてだろう?


何度も読み返しては
自分の進んでいる道が正しいのか
自分の進むべき道から外れてはいないか
自分に問い掛けてみる


もう外れているのだけれど


生きてゆくことは
捨ててゆくということ


しあわせの形は
それぞれの形をしている
そう思わせてくれる一冊だった


◇◇◇


家庭のある人を好きになるたび
この本を思い出す
そして会うたび心の中で繰り返す


―― あなたには帰る家がある


この本が
私の暴走しそうな想いを
止めてくれているのかも知れない

消しゴムはんこ。/津久井智子

津久井 智子
消しゴムはんこ。

つくるたのしみ、おすたのしみ


読みものではなく作る本なのですが
とっても素敵なので紹介させてください


本屋さんで衝動買い


一昨年のNHKのおしゃれ工房で
初めて津久井智子さんの消しゴムはんこに出会って
見た瞬間にひとめボレ!!!


そんな彼女の本を発見


とにかく図案がかわいいのです
この本も初心者にわかりやすいよう詳しい説明付き
真似したーい(>▽<)♪と思うようなものばかり


ふむふむ 最近は紙に押すだけでなく
ハンカチや食器にも押せるインクが出ているのね
うむー 作りたい熱がムクムクムクムク。。。?


ちょっと練習!
(゚Д゚)ノ ァィ


ホリー・ガーデン

江國 香織
ホリー・ガーデン

―― 子供の頃、大人はみんな、もっと人格者だと思っていた。


*あらすじ*
果歩と静枝は高校までずっと同じ女子校だった。ふと気づくといつも一緒だった。
お互いを知りすぎてもいた。30歳目前のいまでも、二人の友情に変わりはない。
傷が癒えない果歩の失恋に静枝は心を痛め、静枝の不倫に果歩はどこか釈然としない。
まるで自分のことのように。
果歩を無邪気に慕う中野くんも輪に加わり、二人の関係にも緩やかな変化が兆しはじめる・・・・・・。


江國香織さんは「きらきらひかる」以来 読んだことがなかったのだけれど
気の合う本好きな友達(男子)が 彼女の本をほとんど持っているので
最近 片端から借りて読んでいます


彼女の作品の中では
今のところこの作品がいちばん好き
サブタイトルのひとつひとつがとても素敵なのです


長く続く女の友情って
ただのベタベタで甘々だけじゃ続かない
どんなに仲が良くても一度や二度は衝突したりするもので
そのあたりの緊張感や棘のある言葉 ゆるゆると緩やかに流れる時間が
それぞれの視点からさらりと書かれています


そして「あー!あるある!」なんてみょうに同調する部分も多くて
自分の遠い昔を思い出し 切なかったりつい笑ってしまったりしました


中野くんのぽよんとした雰囲気がいい感じ


あと
手になじみのよい
カフェオレボウルが欲しくなりました
探してみようっと


◇◇◇◇◇


私にも果歩と静枝のように
今でも付き合いのある「幼なじみ」がいます
小学生の頃 数年間だけ同じ学校に通っていました
それ以降はまったく別々の学生生活を送っていたので
彼女たちほど濃い付き合いではないかな?w


大人になった今
彼女は働くお母さんになり
一方で 私は働くのほほーんとした負け犬で
ふたりを取り巻く環境も状況も全然違っているけれど


いちばん心を許せるたいせつな友達です


彼女に出会えたことが
私の生まれてきたいちばんの収穫
と言っても過言じゃないかも


なんてことを思って
しあわせな気持ちになりました
あれ ズレた(苦笑