群青の夜の羽毛布/山本文緒 | 十年も二十年も

群青の夜の羽毛布/山本文緒

山本 文緒
群青の夜の羽毛布

*あらすじ* (裏表紙より)

家族っていったい何でしょうね?たまたま血が繋がっているだけで、どうしていっしょに暮らしているんでしょう?―― 丘の上の一軒家に住む女三人。家族とも他人ともうまく関係を結べずに大人になった長女と、その恋人をめぐって、母娘の憎悪、心の奥底に潜めた暗闇が浮かびあがる・・・・・・。恋愛の先にある幸福を模索した、ミステリアス長編小説。


狂気と正気は紙一重 とはよく言われますが

山本文緒さんの作品は 何気ない文章の中にそれが盛り込まれています

だから 読み進むにつれて 怖いけれど続きが気になって気になって

ついつい 夜更かししてしまうのです。。。。


坂の上の一軒家に住む家事手伝いのさとると

坂の下のスーパーみやこしでバイトしている大学卒業間近の鉄男


さとるに出会うまで

あまーい砂糖菓子のような女の子とばかり付き合っていた鉄男は

透明感のある中性的な魅力のさとるに惹かれる


随所に色っぽいエピソードがあるのですが

なんだか納得してしまった箇所がありました


男の人とは裸で抱き合える。

言葉が足りなくてうまく分かり合えない時は、裸になって抱き合えばいい。

女の人ともセックスできればいいのに。そうしたらもっと簡単に仲良くなれるのに。


ギョっとする言い回しだけれど

私自身もそう思っている部分があるからかも知れません

抱きしめた肌のぬくもりや心臓の音に 安心することも多いから


さとるの母は小学校の教師であり一家の大黒柱

最近にしてはめずらしく 悪いことには体罰も必要と言い切る

いわゆる「くそババァ」な教師


さとるの妹のみつる 社会人三年目

母を毛嫌いしているが 堂々と門限を破ることはしない

だけど母が眠った深夜 家を抜け出し近所のバーに入り浸ってみたり

。。。スレた風を装っても 育ちのよさがにじみ出る20歳


そしてどんどん物語は転がり落ちるように進んでゆく

キーワードはみつるの言う 「うちの大黒柱はママです」


最後まで読んで思ったことは

みつるが 唯一普通だった。。。でしょうか

彼女のまっすぐな瞳と小さな手に 救われる思いがしました

そしてやはり

家族っていったい何でしょうね?

なんて 考え込んでしまいました


思う壺ですw