発達障がい児の子育て  ~ママたちが見つけた大切なこと~ | 私のお薦め本コーナー 自閉症関連書籍

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自閉症・アスペルガー症候群および関連障害や福祉関係の書籍紹介です by:トチタロ

子育てネット:著 佐々木正美:監修 大和書房 定価:1600円+税(2012.12)


    私のお薦め度:★★★★☆


本書の著者は「子育てネット」となっていますが、副題に「ママたちがみつけた大切なこと」とあるように、発達障がい児を育てている大勢のお母さんたち、みんなの体験談です。


ペンネームで寄稿されているのは12名の方ですが、それ以外にもテーマごとにエピソードを書かれている方々、総勢50人の手による本だそうです。
その体験談については、年長のお母さん方にとっては、「いつか通ってきた道」と共感を呼ぶものでしょうし、告知を受けたばかりの若い保護者の方にとっては、先の見通しを得るうえで貴重なものとなるでしょう。


元気を出してもらうために・・・という趣旨の本ですので、書き下ろされた方々は、みなさん前向きで、明るい方ばかりです。ただし、寄せられたエピソードは、これもまた当然ながら成功・失敗、喜び・悩み・・・・様々あります。それは私たちの会でも、お父さんやお母さんが集まって話す時と同じような話題だと思います。


本書の「まえがき」にも書かれているように、最初は編集にあたられる子育てネットのみなさんが、寄せられたたくさんのアンケートやレポートの中から、「子育てのシンプルな原則」を見つけたいという思いでとりかかられたようです。


けれど、参加者の原稿を読み、ミーティングで話を聞けば聞くほど、この本で伝えるべきなのは、別のことなのではないかと思うようになりました。
それは50組の親子の「日常」です。それぞれの暮らし、思い、事件や発見です。
困難なことが多い子育てに落ち込みながらも、強くなり、賢くなり、大らかになっていく母親たちがここにいます。
そして、あちらこちらにジグザグしながらも、成長していく子どもたちがここにいます。


そして、当初の目的であった「発達障がい児を育てるうえでもっとも大切な原則」については、監修の佐々木正美先生が、各章ごとに質問に答えるという形で語られています。
そしてそれは、心に残ることばにあふれています。

本当に、佐々木先生によるこの部分「佐々木正美先生に聞きました」を集めるだけでも、ゆうに一冊の価値があるように思います。


そこで、ここからは、主に佐々木先生の書かれた、本書での「質問への答え」を中心に紹介したいと思います。


子育てで一番大切なこと。それは、子ども自身が「僕っていいな」と思えることです。つまり自己肯定感を育むこと。しつけではありません。
「僕は大切な存在だ」「僕は生きていていいんだ」
その気持ちが土台にあれば、幸せになっていけます。それは、定型発達の子どもであろうと、そうでなかろうと同じです。
むしろ、さまざまな場面で「僕はできない」と自分への評価が低くなりがちな子どもたちだけに、なんとか、その自己肯定の土台をつくってあげてください。


忘れてはならない「大切な原則」ですね。

でもともすれば、子どもたちのペースに振り回されて、思わず大きな声で叱ってしまうこともある日常です。ついつい自分の(定型発達者側の)価値観に従わせようと、こちらの理屈で無理強いすることもありますね。
いつも見えるところに貼っておきたいような言葉です。


また、佐々木先生の書かれた文や講演でのお話を聴いていつも感じるのが、先生の優しさですね。声高で自説を主張するのではなく、断定的に述べられるのでもなく、「私はこう思います」と穏やかに話されます。


先生が、ノースカロライナで聞かれた、TEACCHのセラピストの方の話を、私たちにも紹介してくださっています。


その中で、忘れられない、あるセラピストのことばがあります。


「親になった者には、ふたつの大きな喜びがありますね」
セラピストは重い障がいがある子どもを育てているお母さんにそんなふうに話し始めました。


「ひとつは、子どもが将来どうなるだろうと、さまざまな期待をもつことができる喜びです。ふたつめは、子どもの人生を幸せにしてあげる喜びです」
それから、セラピストは母親に、ひとつめの喜びより、ふたつめの子どもを幸せにする喜びを中心にして育児をすることをすすめました。
そしてこう言いました。


「親として、子どもを幸せにしてあげる喜びにまさるほどの大きな喜びは、そうあるものではありません」


私もそのとおりだと思います。


ここでみなさんに紹介している私も、そのとおりだと思います。
そして、佐々木先生の話された言葉を通して、TEACCHのセラピストの方のこんな暖かい思いをお伝えできることに、このコーナーを担当させていただいている喜びを感じています。


それでは最後にもう一つだけ、本書の中から佐々木先生の言葉を紹介させていただきたいと思います。


道をあけて待つ。
こちらがつくった道に従わせるのではなく、あけて待つということが大切なのだと思います。


自閉症スペクトラムを持つ子ども、みんなが、二次障害に陥ることなく、心おだやかに幸せに育っていけるよう、自閉症児に関わるみんなが、道をあけて待っているような社会になることを願って本書を紹介します。


     (「育てる会会報 189号 」 2014.1 より) 


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目次


  まえがき


第1章 あのときの私たち


  大丈夫! と自分に言い聞かせた。
  そうではなかったのに・・。でも、今は、本当に大丈夫。

  多動は秒速。GPSは追いつけない。
  母の手で防ぐ技を身につける。

  どうしたらいいの? 私にできることは何?
  答えをもとめて療育センターへ

  子どもは不思議でおもしろい。
  そして偉い。大ファンでいようと決めた。


 佐々木正美先生に聞きました


   1 お医者さんは、子どものどんなところを診て
     診断をくだすのですか?

   2 発達障がいの可能性があると診断されました。
     どうしたらよいのでしょうか?


  子育てコミュ
    ① それぞれの始まり
    ② 今だから思い出せる日々
    ③ 私たちが始めたこと
    ④ 告知と発達検査のこと


第2章 不思議な世界


  なぜ、雨が降ると怒るの? なぜ、ジャムばかり食べるの?
  理由が見つからない。

  天才かもしれない!
  でも、ただのあなたで十分だからね。

  音の洪水の中で生きている。
  音におびえている。洪水を防ぐ方法を探した。

  一緒にやり直そう。
  生まれてよかった、と思えるように。


 佐々木正美先生に聞きました


  3 「かんしゃく」と「こだわり」
    どうしたらやめさせられるのでしょうか?

  4 「しつけ」は
    どのようにしたらよいのでしょうか?


  子育てコミュ
    ⑤ 「こだわり」というおばけ
    ⑥ 発達の凸凹の凸
    ⑦ 感覚過敏
    ⑧ ママの応急手当術


第3章 親にできるたくさんのこと


  視覚は強い!
  一目でわかる絵カードで情報を目から入れる。

  目の動かし方を訓練すれば本が読める子がいる。
  目を見て! と知らせたい。

  環境を合わせる。すると、まわりを見始めた。
  子どもに起きた大きな変化。

  療育センターは「治す」ところじゃない。
  支えるのが役割。


 佐々木正美先生に聞きました


  5 イライラが止まらない!
    自分の感情とどう向き合えばよいのでしょうか?

  6 療育はできることを伸ばすほうがよいの?
    できないことを引き上げるほうが大切ですか?


  子育てコミュ
    ⑨ わが家の療育 - 幼児編
    ⑩ わが家の療育 - 園児編
    ⑪ わが家の療育 - 児童編
    ⑫ ママの知っ得テクニック!!
    ⑬ おすすめ絵本と療育ツール
    ⑭ ちょっと失敗 トホホの話


第4章 関わりながら生きていく


  プロのサポートが欠かせない。
  よい出会いがあるなら、台風だって怖くない。

  つらいけれど、隠さないほうが、
  味方が増える。理解される。

  幼稚園探しはママの試練。
  「社会」を知って、賢くなる。

  子育てネットからの提案
  個別支援計画づくりをひろげよう!

  役立つ情報は先輩ママの経験談。
  それはブログにあり。

  「好き!」をとことんやらせる。
  すると秘めた力が目覚め、生きる力が強くなる。


 佐々木正美先生に聞きました


  7 自己肯定感をもたせたい、そのためには、
    どうしたらよいのでしょうか?

  8 子どもの将来はどうなるのでしょうか。
    期待をしてはいけないのですか?


  子育てコミュ
    ⑮ 専門家との出会い
    ⑯ まわりへ伝えるということ
    ⑰ 子ども同士の世界
    ⑱ ママのやる気アップいろいろ
    ⑲ 私の幸せの瞬間
    ⑳ ママからママへ贈ることば


  あとがき