私のお薦め本コーナー 自閉症関連書籍

自閉症・アスペルガー症候群および関連障害や福祉関係の書籍紹介です by:トチタロ

息子が生まれ、やがて自閉症と診断されてから、はじめはなんとか治す方法はないかとむさぼるように読み、やがてようやく障害を受け容れ、これからは自閉症のままで幸せに生きていく道を探しながら・・・これまで巡りあった本の数々です。


後に続く方が、書店で手に取ってみたときの参考材料の一つにでもなれば、そんな思いで紹介します。著者名での検索は、右のテーマ欄から探してみてください。

書名別検索は『書名順索引』 からどうぞ。


今息子哲平が就労して、安定して暮らしているのも、これらの本からいただいたたくさんのアドバイスのおかげも少なからずあったと思っています。


テーマ:
永井洋子・太田昌孝:編 日本文化科学者 定価:2800円+税 (2011.9)
 
            私のお薦め度:★★★★☆
 
「太田ステージ」という言葉を初めて聞いたのは、息子が自閉症と告知されてから間もない頃でしたから、もう四半世紀前になります。
本書の編者でもある太田昌孝先生と永井洋子先生による「自閉症治療の到達点」と同じく「認知発達治療の実践マニュアル」(2冊とも今でも実践に活きる名著だと思います)を書店で見かけ、“自閉症も治療することができるのだ”と、それこそ宝石を見つけたように手にとったのを今でも覚えています。

各冊6000円と、2冊セットで当時の私の小遣いの半月分ほどもしたのですが、思い切ってその場で購入して帰り、読み始めました。その感想は、昔「会報45号」などにも書いたのですが、本書と重なる部分も多いので、改めて紹介させていただきます。

   『 自閉症治療の到達点』 (2002.1)
 
 
さて、それから20年ほどを経ての本書です。
もちろん、前著に書いてあったように“発達の障害に働きかけて自閉症児自身に少しでも柔軟に適応できる力をつけていくこと”を目指す方向とか、認知段階に基づくステージ分け、とかの基本的部分は変わっていません。
 
太田ステージに基づいて行う療育(治療教育)を、私たちは「認知発達治療」と呼んでいます。根本治療を目指した治療法ではなく、自閉症の子どもの認知発達を促すことを目的としています。自閉症は原因も治療法も明らかになっていませんので、障害そのものを克服することは非常に困難なものです。しかし自閉症の子どもは、課題が適切であれば、つまり子どもの認知発達の段階に合った課題であれば、集中して自発的に学ぶことができます。発達に合った課題は、生活の中へも広がりやすく、コミュニケーションや生活の質を上げていくことが可能です。
 
これまでの表現に比べてずいぶん柔らかくなり、TEACCHとも一緒に取り組められるようになったのでは、という印象です。
また、前著の2作と比べると、2色カラーでイラストも多く、とても読みやすくなっています。そして、ステージごとの特徴や療育目標を丁寧に説明し、その目標ごとに実際の課題が一目でみられるようになっていてありがたい構成です。(前著では、課題は別冊の実践マニュアルにまとめられていました)

ですから、本書は太田ステージの入門編、あるいはエッセンス版という印象ですね。
本書を読んで、もっと詳しく知りたいと思われた方は、前著を大幅に改訂した 「自閉症治療の到達点 第2版」(2015年10月)も発刊されているそうですので、お買い求めください。
 
さて、本書に戻ると、薬物療法などについては、最新の情報もつけ加えられていますし、行動障害の予防では「氷山モデル」ならぬ、「火山モデル」の紹介も載っています。
 
「火山モデル」(永井、2002)は、自閉症の子どもの行動障害を火山の噴火に例えています。下の図(図略:火山の断面図)の中心部分a、b、cは、自閉症の障害の特徴を示しています。子どもの基礎の部分には(a)発達の遅れと不均衡さがあり、これは火山のマグマに該当します。
この山は、(b)強迫性・衝動性・感覚の異常などの障害に起因した脆弱性(脆さ)があり、外からの刺激や働きかけによって、(c)行動障害として噴火しやすい状態にあることを意味しています。
そのため療育者は、噴火した行動障害への直接的対応だけでなく、噴火の原因のそれぞれの段階に応じた働きかけが必要になってきます。
 
認知発達治療によりマグマの噴火(行動障害の爆発)を鎮めようとする太田ステージの火山モデルと、不適切な関わりを減らし、適切な支援に変えることにより海水の塩分濃度を下げ氷山水面への突出(問題行動の表面化)を減らそうとする氷山モデル(新・氷山モデル:門先生)・・・二者択一ではなく、子ども達のためにはどちらも取り入れていきたいと思っています。
 
蛇足ですが、せっかくStage Ⅳの療育課題の中にキャロル・グレイ女史の「ソーシャルストーリー」なども取り上げていただいているのに、訳者が“腹巻”智子訳(後出の文献欄も含めて)となっているのは、毎年、先生に講演をお願いしている“服巻”先生ファンの当会にとっては笑うに笑えない誤植でしたね。
本書も版を重ねていくと思いますので、今年の講演会、11月23日(木・祝)までには訂正されていることを願っています (^o^)
 
                              (「育てる会会報 231号」 2017.7 より)
 
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目次

 

はじめに
 
第1章 自閉症とは
 
  自閉症とはどんな障害か
  自閉性障害の診断基準
  自閉症の障害モデル
  自閉症に見られる異常行動
     多動
     こだわり
     パニック
     極端な偏食
     常同運動
     奇声
     独語
     自傷
     攻撃行動(他害・器物破損) 
   自閉症に併存する症状・障害
   発達のために必要な条件
     ことばの基礎となるコミュニケーション機能の発達
     諸機能の発達から見た自閉症の心の特徴
   自閉症の発達の不均衡さと感覚の異常
     発達の不均衡さ
     認知発達の個人差
     感覚の異常
   障害の気づきと受診
     自閉症の子どもの初期の状態
     専門機関の受診
 
 第2章 太田ステージとは
 
  子どもの認知発達と太田ステージ
   LDT-Rによる太田ステージの評価
     LDT-Rの実施に必要な用具
     LDT-Rの実施の仕方
     LDT-Rの留意点
  太田ステージによる療育
 
 第3章 太田ステージによる療育の実践
 
  ライフステージを踏まえた療育の実践
  3次元からの療育の実践
     第1次元:認知・情緒の発達を促す
     第2次元:適応行動の形成を促す
     第3次元:異常行動の予防と減弱
   太田ステージによる療育実践の進め方
 
 StageⅠの療育
   StageⅠの子どもの特徴
     対人関係
     コミュニケーション・要求手段
     行動・興味・活動
     その他
   StageⅠの療育目標と日常の関わり
     〔療育目標1〕 人との愛着を高め、意欲を育てる
     〔療育目標2〕 言葉をはじめとするシンボル機能の芽生えを促す
     〔療育目標3〕 日常生活での基本的な適応行動がとれるようにする
   StageⅠの療育の留意点
 
 StageⅡの療育
   StageⅡの子どもの特徴
     対人関係
     コミュニケーション・要求手段
     行動・興味・活動     
   StageⅡの療育目標と日常の関わり
     〔療育目標1〕 言葉だけでなく、模倣、指さしなど多くの側面からシンボル機能の芽生えを促し、
              確実にする
     〔療育目標2〕 人への関心の芽生えをよい方向に育てる
     〔療育目標3〕 日常生活の範囲での適応行動を身につけさせる
   StageⅡの療育の留意点
 
 StageⅢ-1の療育
   StageⅢ-1の子どもの特徴
     対人関係
     コミュニケーション・要求手段
     行動・興味・活動  
   StageⅢ-1の療育目標と日常の関わり
     〔療育目標1〕 シンボル機能を育て、語彙や言葉の意味を広げる
     〔療育目標2〕 コミュニケーション能力や対人関係への意欲を育てる
     〔療育目標3〕 日常生活を自立的にできるようにする
   StageⅢ-1の療育の留意点

 StageⅢ-2の療育
   StageⅢ-2の子どもの特徴
     対人関係
     コミュニケーション・要求手段
     行動・興味・活動
   StageⅢ-2 の療育目標と日常の関わり
     [療育目標1]芽生えた関係の理解を基に思考の柔軟性を培う
     [療育目標2]対人関係・コミュニケーションを豊かにし、自発性や自我形成を促す
     [療育目標3]集団や社会場面での適応行動を形成する
  StageⅢ-2の療育の留意点
 
 StageⅣの療育
   StageⅣの子どもの特徴
     対人関係
     コミュニケーション・要求手段
     行動・興味・活動
     その他
   StageⅣの療育目標と日常の関わり
     [療育目標1]理解の普遍性を高め、因果関係の理解を伸ばす
     [療育目標2]自分以外の視点から考えたり思いやれるようにする
     [療育目標3]自己マネジメント力と自己肯定感を育て、よりよい社会適応を目指す
  StageⅣの療育の留意点
 
 第4章 行動障害の予防と対応

   行動障害への対応
   「火山モデル」から予防を考える
     A:長期予防のための働きかけ(基礎づくり)
     B:障害特性による予防的働きかけ
     C:予測される行動への予防的対処
     D:行動障害への直接的対処
     E:行動障害の分析
   「火山モデル」の活用事例
     ケンタ君の概略
     それまでの対応
     「火山モデル」の活用
   まとめ
 
第5章 自閉症に関する薬 ~向精神薬を中心として~
 
   この章を読むにあたって
   薬物療法の意義と留意点
     向精神薬による薬物療法
     薬物療法の一般的留意点
     自閉症の子どもたちへの薬物療法の留意点
   向精神薬の作用の概略
     抗精神病薬
     抗不安薬
     抗うつ薬
     気分安定薬
     中枢刺激薬
     睡眠薬
     抗てんかん薬
   自閉症の症状ならびに併存症への薬
     脳機能障害の改善を目的にする薬
     自閉症の異常行動や情緒の症状への薬
     ADHD が併存する場合の薬
     てんかんが併存する場合の薬
     トゥレット症候群が併存する場合の薬
     強迫性障害が併存する場合の薬
     気分障害が併存する場合の薬
     心因反応や神経症様状態が併存する場合の薬
     統合失調症が併存する場合の薬
     カタトニアが併存する場合の薬

   まとめ
 
 付録
   LDT-R1 図版
   LDT-R2 図版
   LDT-R3 図版
   LDT-R4 で用いる道具とサイズ
   LDT-R 記録票
 
  文献
 
  おわりに
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フィオナ・ブリーチ:著  上田 勢子:訳 明石書店 定価:1500円+税 (2012..6)
 
            私のお薦め度:★★★★☆
 
私たち育てる会の親たちで「自閉症のしおり」を作った時に願ったのは、“自閉症”という名前だけは知っていても、まだ誤解や偏見を持っているかもしれない周りの人たちに、少しでも自閉症について正しい知識や適切なかかわり方を知ってほしい、といいうものでした。
 
でも、思い返してみると、親戚や近所の方、担任の先生やクラスメイト以上に、いつもそばにいる「きょうだい」たちに、正しく自閉症について説明してきたでしょうか?(注:ここで「 」付きの「きょうだい」と書いているのは、自閉症児をきょうだいに持つ「きょうだい」で、 「 」なしのきょうだいは自閉症児本人のことです。ちょっとややこしくてスミマセン)

本人への障害の告知については、その時期ややり方など、まだ本人が小さい頃からいろいろ悩みながら子育てされている方も多いと思います。
一方で「きょうだい」達には、「自然に分かってくれるでしょう・・・」と改めての詳しい説明は省いてきた人もいるのではないでしょうか。また、「きょうだい」たちも、物心ついた頃から、自閉症を持つきょうだいと一緒に暮らしてきたのですから、「そんなもの・・・」と、さして疑問にも思わず、そのまま受け容れている子どもたちが多いように思います。
 
小さい頃はそれでもいいでしょうが、「きょうだい」達もしだいに大きくなると、親たちがきょうだいだけにかかり切りで、自分にあまりかまってくれないことに不満をもつかもしれません。自分が大切にしているモノを壊されても、壊したきょうだいの方は仕方ないと叱られず、「出しっぱなしにしている、あなたがいけない」と逆に叱られるかもしれません。やはり、お互い納得して楽しい家庭を作っていくためには、「きょうだい」たちにも、その年齢なりの正しい自閉症への知識が必要になると思います。
 
そこで本書の登場です。
作者は英国自閉症協会の作った学校でアートセラピストとして、長年自閉症児への支援を行ってきたフィオナ・ブリーチさんで、本書のイラストも描かれています。
 
「きょうだい」なら、 まだあなたが子どもでも、ふつうの大人よりも、自閉症について、もうずっとよく知っていますよね。
それでも、どうして自分の兄弟や姉妹はみんなとちがうんだろう、どうしておかしな行動をするんだろうと、ふしぎに思ったり混乱した気持ちになったりしたことはありませんか?
でもだいじょうぶ! そんなふうに感じているのは、あなただけではありません。
自閉症は、大人にもむずかしくてよく理解できないことがあるのです。どうすれば、自閉症のある人がもっと楽しく、あたたかい気持ちで、幸せで満ち足りた毎日を過ごせるのでしょうか? 自閉症のある人を助けるために、あなたたち「きょうだい」にできることはなんでしょうか? それは、きっと、あなたの兄弟や姉妹が教えてくれますよ。 (「まえがき」より)
 
本書の構成は、パート1では「自閉症ってなんだろう」というテーマで基礎的な質問、「どうして自閉症になるの?」とか「自閉症は治るの?」とか、「きょうだい」たちが疑問に思っていても、なかなか面と向かっては聞きにくい問いに答えています。
 
パート2では「自閉症の3つの特徴」として、自閉症の3つ組、コミュニケーションン、社会性、想像力の苦手さについて、子どもたちにも分かりやすい言葉で、例をあげながら説明しています。
 
そして、パート3では、「きょうだい」たちが普段の生活の中で「自閉症のふしぎな行動」として、抱くであろう疑問、「なぜ話さないの?」「なぜ言われたことをくり返して言うの?」
「なぜ同じことを何度も聞くの?」「なぜ物を投げたりこわしたりするの?」について、自閉症の特性から説明しています。同時に「きょうだい」としてどう相手すればいいのかについてもアドバイスしています。
 
例えば、「なぜ同じことをくり返すの?」
 
あなたの兄弟や姉妹は、物を同じ順番で並べたり、部屋に入る前に電気をつけたり消したりするのが好きかもしれません。いつも同じ道順ででかけたり、同じ順序で洋服を着たりする人もいるでしょう。
これは、自閉症のある人によく見られる「儀式的行動」というものです。「儀式」というのは、結婚式のように、いつも同じ方法で行われるお祝いや行事のことです。歯磨きのように、いつも同じやり方で同じ時間に行うことも儀式の一種ですね。
 
もちろん、こんな風変わりな儀式が、ほかの人には腹立たしく思えたり、無意味に思えることもあるでしょう。でも、あなたの兄弟や姉妹は、けっしてわざとおかしいことをしようとしているわけではないということを、忘れないでください。なぜ自分がそんなことをするのか、そして、それがほかの人をいらいらさせるのかもしれないということにも、気がついていないのです!
 
先に書いた「きょうだい」たちが抱きやすい不公平感、「なぜいつもわがままが通るの?」についてもこんな解説があります。
 
自閉症のある人が問題を乗りこえるためには、「きょうだい」とはちがう特別なルールが必要です。いつもわがままが通るということではありません。 あなたたち「きょうだい」は自閉症のある兄弟姉妹より、もっといろいろなことがわかっているし、責任感もあるでしょう。だから「きょうだい」は、一般の社会のルールに従わなくてはならないのですね。
 
もちろん、この解説だけで、すぐに納得するのは難しいかもしれません。でも、本書の副題にあるように「ひとりひとりが特別だよ」と、特別なルールが「わがままが通る」ように見えていることを「きょうだい」たちに知ってもらうことが大切だと思います。
 
そして、パート4では「「きょうだい」の気持ち」、として、「きょうだい」の思いを代弁、共感しながら、これからどうすればいいかを提案しています。
 
自閉症のある兄弟や姉妹は毎日のかんたんなことにも多くの助けが必要です。だから大人は、「きょうだい」にはなんでも自分でやってほしいと思うかもしれません。あなたを信頼して頼っているのです。あなたは、いやでも自分のことは自分でしなくてはならないかもしれないし、親に頼らず、責任感をもって、しっかりしなくてはならないかもしれないのです。
遊びたいときでも、兄弟や姉妹を手伝ってあげてと頼まれることもあるでしょう。いつも責任感をもってしっかりしなくちゃならないのは、何歳の人にとっても大変なことですよね。自閉症のある兄弟や姉妹がいるからといって、大人にあんまり期待されたのでは、あなただっていやになってしまうかもしれません。
 
と、まずは共感されたあと、その後の提案については、本書の核心部分ですから、ぜひ「きょうだい」の方たちに実際に読んでいただきたいと思っています。

また、以下のパート5やパート6はセラピーや専門用語についての説明ですので、ここは興味のある方は読んでいただければいいと思います。
 
本書は例え話も多く、読みやすいとは思いますが、それでも専門用語は少し出てきますので、対象年齢は小学校高学年以上というところでしょうか。
まずは保護者の方がご覧いただいて、内容が理解できるような年齢になったと判断されたら、「きょうだい」の方に薦めていただきたい1冊です。
本人への告知と同じぐらいの時期にできたらいいですね。
 
            (「育てる会会報 230号」 2017.6 より)
 
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目次
 
  この本のこと
  まえがき
 
パート1 自閉症ってなんだろう
 
  どんな行動をするの?
  どうして自閉症になるの?
  てんかんについて
  自閉症は治るの?
 
パート2 自閉症の3つの特徴
 
  3つの特徴
  気持ちを伝えることがむずかしい
  友だちを作ったり人づきあいをするのがむずかしい
  想像することがむずかしい
 
パート3 自閉症のふしぎな行動
 
  なぜそんなことをするの?
  なぜ話さないの?
  なぜへんな音をだすの?
  なぜ言われたことをくり返して言うの?
  なぜ同じことを何度も聞くの?
  なぜひとりごとを言うの?
  なぜひとりになりたがるの?
  なぜ同じことをくり返すの?
  なぜ飛び上がったり、体をゆすったり、たたいたり、手をパタパタさせたり、くるくる回ったりするの?
  なぜ相手の顔を見ないの?
  なぜ耳や目や頭をかくすの?
  なぜ変化がきらいなの?
  なぜ物を投げたりこわしたりするの?
  なぜ人を傷つけるの?
  なぜ自分を傷つけるの?
  なぜむずかしいことができても、かんたんなことができないの?
  なぜいつもわがままが通るの?
 
パート4 きょうだいの気持ち
 
  きょうだいの体験
  きょうだいにできることはなんだろう?
  自分の時間がほしいとき
  プライバシーがほしいとき
  自閉症のある兄弟や姉妹のことが恥ずかしいとき
 
パート5 学校とセラピー
 
  セラピー
    セラピーってなんだろう?
    言語セラピー
    アートセラピー
    音楽セラピー
    演劇セラピー
    センサリールーム
  きょうだいへ、グッドニュース
 
パート6:自閉症についての言葉の説明

  役立つ情報
  訳者あとがき
  著者・訳者紹介
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安部 博志:著 小学館 定価:1000円+税 (2017.1)
 
             私のお薦め度:★★★☆☆
 
育てる会の 「18歳の春を目指すクラブ Bチーム」 では 「支援ツール勉強会」 が始まっています。
子どもたちの自立に向けて、一人ひとりに合わせた、お母さんたちが作る「オーダーメード」の支援ツールです。

でも忙しかったり、お勤めの関係もあって、なかなか勉強会には参加したいけれど参加できないという保護者の方もいらっしゃると思います。また、手作りのツールは、どうも苦手とおっしゃる方もいるかもしれません。
そんな保護者の方への朗報としての、「イージーメード」や「レディメード」の支援グッズの紹介本です。
 
著者の安部先生は、現在は筑波大学附属の大塚特別支援学校で主幹教諭を勤められていらっしゃいますが、これまで特別支援教育コーディネーターとして10,000以上の学級を巡回し、支援を行ってこられた先生です。
そんな安部先生が、子どもたちに出来る喜びと自信を持ってもらいたいと選んだ「すごい道具」の数々です。

本書に紹介された支援グッズを選ぶにあたって、先生が基準にしたのは3点

① 教室で使われて効果があったもの。
② 保護者の評判がよかったもの
③ 高価すぎないもの  
 
 
だったそうです。
 
中でも、「高価すぎないもの」というのは嬉しいですね。これまでも自閉症の支援グッズで、優れものはいろいろありましたが、専門機器ということで、結構値の張るものが多いのはネックでした。
本書でも、タイムタイマーやイヤーマフなど、すでにおなじみの機器もありますが、多くは市販のもので、うまく使えば発達障害の子の支援に役立つという視点で選ばれています。
 
もちろん、わが子の状態や発達段階に合わせて、お母さんが工夫したツールがベストだとは思いますが、子どもたちとの日々の暮らしの中で全てを手作りというわけにはいかないと思いますので、うまく組み合わせて使っていただきたいと思います。
 
例えば、食事の時のグッズです。
 
たとえ上手でなくても、食べたいものを自分で食べられるようにする。子どもが早く自立するコツです。
とはいえ、食事のたびに食べ散らかされると親としてはイラッとしたり、子どもからフォークやスプーンを取り上げて食べさせてしまったりしがちですね。上手に食べられないのは、フォークやスプーンが子どもに合っていないからだと考えてはどうでしょうか。
 
ここで紹介されているのが、握力が弱くても握りやすい持ち手で、麺類が滑り落ちないようにギザギザの溝がついたフォークと、お皿からすくいやすいように四角い形をしたスプーンのセット。「エジソンのフォーク&スプーン ケース付」(1000円+税)、すでに使われている方もいらっしゃると思いますが、知らなかった方には助かるグッズだと思います。
これを使うことで、食べこぼしが少なくなれば、お母さんとしても心おだやかに、食事時間を楽しみながら子育てできるのではないでしょうか。
 
他にも、コマーシャルでもおなじみの龍角散の「らくらく服薬ゼリー」。CMでは、どちらかというと高齢者向けの印象で、発達障害などは登場しないのですが、そういえば昔、脳波検査のときなかなか薬を飲んでくれなくて苦労したのを思い出しました。
 
どの親も薬を飲ませるのにひと苦労。嫌がる子の口を無理やり開けて飲ませるとそれがトラウマになり、ますます薬に恐怖を覚えるようになります。それよりは、薬を飲みやすくする方法を考えましょう。感覚の過敏とは闘わないことです。闘ってもいいことはひとつもありません。
こどもが好きなフレーバーの「おくすり飲めたね」シリーズもあります。こちらもおすすめです。
 
このように、本書の目的は、発達障害をもつ子どもと家族が、少しでも 暮らしやすいように、という視点からツールが選ばれています。

多動で5分もじっとしていられない子・・・昔のわが子のようです。
一瞬目を離すと、どこかに消えてしまい、交通量の多い街中だと事故に あっていないかと冷や汗をかいたものです。
 
子どもの安全を確保できるグッズを使いましょう。迷子ひもをおすすめします。犬の散歩みたいだからと、昔はおばあちゃん世代が顔をしかめることもあったようですが、今はどうでしょうか。
迷子ひもについてとやかく言う人がいても、気にすることはありません。その人たちが、道に急に飛び出すお子さんの安全を守ってくれるわけではありません。予期せぬ子どもの動きを熟知しているのは、いつもそばにいるおうちの人です。迷子ひもを上手に使って、親子で外出を楽しもうではありませんか。(リッチェル ポーチュ 2WAY チェアベルト 1600円+税)
 
他にも、使ってみたいようなツールがたくさん載っています。
 
「あと5分しかない」を裏返すと「まだあと5分もあるよ!!」と、ネガティブな考えをポジティブに変える、カエルのイラストの「見る目をかえる 自分をはげます かえるカード」。

カードに書かれた質問に、順番に一つずつこたえていく、やりとりを練習する「きいて・はなして はなして・きいて トーキングゲーム」。

雨の日に、傘と荷物で両手がふさがれることのないよう、ランドセルにつける、ランドセル専用ポーチ「てぶランポケットナイロン」・・・などなど。
 
へぇ~と驚くアイデアグッズから、発達障害の特性をよく 理解しているなと感心する支援ツールまで、参考になること の多い実用書だと思います。
本書自体もリーズナブルな価格なので、ぜひ参考にしていた だきたい1冊です。
 
                  (「育てる会会報 229号」 2017.5 より)
 
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目次
 
  はじめに
 
1 手先が不器用な子に
   
   ・着替えが上手にできない
       自立を助けるスモック
   ・靴ひもが結べない
       結ばなくてもいい靴ひも
   ・服をきれいにたためない
       たたむ練習ができるボード
   ・食べ物をよくこぼす
       食べ散らかしを防ぐフォークとスプーン
   ・飲み物をよくこぼす
       持ちやすく倒れにくいカップ
   ・折り紙を折れない
       折り目がわかる折り筋つき折り紙
   ・ハサミをうまく使えない
       指を通さず手で挟んで切るハサミ
   ・カッターの力加減がわからない
       刃先が数ミリしか出ないカッター
   ・定規でまっすぐに線を引けない
       紙の上で滑らない定規
 
2 不安になって混乱しやすい子に
 
   ・音に過敏でパニックを起こしやすい
       防音機能のあるイヤーマフと騒音のみをカットする耳せん
   ・耳掃除を嫌がる
       こすらなこても汚れがくっつく粘着綿棒
   ・薬をうまく飲み込めない
       粉も錠剤も包んでつるんと飲めるゼリー
   ・排泄の仕方で戸惑う
       トイレでの一連の動作がわかる絵カード
   ・「あと何分」を意識できない
       残り時間の量が見てわかるタイマー
   ・1日の見通しが立てられない
       1日の行動を絵にした壁かけスケジュール
 
3 じっとしていられない子に
 
   ・じっとしていられず、急に走り出す
       予期せぬ動きをコントロールする迷子ひも
   ・椅子をガタガタ揺らす
       脚にセットするだけでガタつかないゴム
   ・座布団ごと椅子から滑り落ちる
       椅子の座面用滑り止めシート
   ・傘をさすと前が見えなくなる
       前方に注意が向く2コマ透明傘
   ・手荷物をふり回す
       手ブラになれるランドセル用ポーチ
   ・衝動的、力の加減ができない
       微妙な力加減を養うゲーム
 
4 人とうまくかかわれない子に
 
   ・場違いな声を出す
       声の大きさを自覚できるメーター
   ・自分の気持ちがわからない
       感情を見える化したポスター
   ・すぐにカッとなる
       握るだけで落ち着くストレスリリーサー
   ・気温の変化でパニックを起こす
       首にあてて子どもを落ち着かせるジェル
   ・感情のクールダウンができない
       声マネで興奮をしずめるぬいぐるみ
   ・すぐに落ち込む
       ネガティブな考えをポジティブに変えるカード
   ・癇癪をよく起こす
       気持ちの切り替えの練習になるゲーム
   ・人の話を聴けない、自分を表現できない
       コミュニケーションを楽しむゲーム
   ・言葉で自分の意思を伝えられない
       子どもの気持ちを代弁する音声ペン
 
5 学習の理解が遅い子に
 
   ・文字や言葉に興味が持てない
       遊びながら身につく文字の積み木
   ・文字と音が一致しない
       韻を踏んだ覚えやすいカルタ
   ・漢字を覚えるのが苦手
       漢字の意味をイメージしやすい部首カード
   ・立体感覚、数量感覚が乏しい
       図形に強くなるキューブの積み木
   ・鉛筆をうまく使えない
       持ち方を補助する器具と鉛筆
   ・墨で服を汚す
       飛び散っても汚れない水習字
   ・姿勢よく座ることができない
       お手本を絵で示したデスクマット
   ・なわとびを跳べない
       手首の回し方と飛ぶタイミングがわかるグッズ
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福島 尚:著 二見書房 定価:2200円+税 (2016年12月)
 
              私のお薦め度:★★★★☆
 
この画集を手にとった方の第一声は、決まって「嘘でしょ?!」という感嘆の声です。
表紙の絵を見て、「これは写真でしょ」・・・私も同じでした。
細部まで丁寧に書き込まれた描写、まさに走っているような色使いや陰影。
縮小したイラストではわかりにくいかもしれませんが、本当に細かい所、線路の砂利やレールに反射する光まで見事にとらえています。
 
作者は福島 尚(ひさし)さん、1969年生まれの44才になられる方です。
もうみなさんが想像されたように、知的障害を伴う自閉症をお持ちの方です。
今、私たちのカフェ スプリング カムカムでも 「自閉症 才能きらり展」を開催していますが、自閉症の方の中には驚くような才能、感性をお持ちの方がいらっしゃいますね。
 
絵を描くのは夜と休日だけで、昼間は福祉作業所で働く尚さんの生活は、とても規則正しいです。
朝9時頃に出発し、ひとりで自転車に乗って職場へ行き、夕方5時頃帰宅。家族でお茶とお菓子を楽しみ、夕方6時からお父さんとビール1缶を分け合って晩酌。夕ごはんを食べて、夜9時から11時まで絵を描く毎日。
この暮らしに至るまでには、友達や勉強、仕事になじめず、荒れたり叫んだりすることもあったそうです。そんなときも変わらず楽しみだったのが鉄道画でした。
いまでは様々な展覧会に絵を出品し、テレビ・新聞・各メディアで話題になり、全国から多くの人が尚さんの絵を見るために訪ねてくるようになりました。
尚さんは、絵によって、自分が輝ける場所を見出し、人や世界と、新しい出会いを重ねています。
(「はじめに」より) 

福島さんのすごいところは、たとえば写真を撮ってきて、それをそのまま写実するというのではなく、頭の中や心の中で記憶に残っているイメージをふくらませて作品にされているところでしょう。
最初に紹介した表紙の絵、『首都圏 大宮駅』の作品の解説です。
 
中央が高崎線(115系)、左が京浜東北線(209系)、右が高崎線(EF65 1000番代)。奥が東京側となっています。ホームから見た光景ですが、3つの電車が揃っているところを実際に見たわけではなく、心の中で3つの電車を並べて描いています。
右奥に小さく黄色い電車が見えるのは、電車を改造、分解する工場です。
 
“115系”と言われても、鉄道に知識のない私には区別できませんが、よく見慣れた電車ではありますね。“右奥の黄色い電車”と言われて、目を凝らして高架下にようやく見つけました。もうすごいと感心するしかありませんね。
 
同じく印象に残っている「フレートエクスプレス」も心象画で、八戸駅で見かけた列車、ED75136を「青森へ向かって、これから青函連絡船に乗るのです!」と言って、雪の中を走らせたそうです。
 
そんな福島さんですが、ご家族はやはり私たちと同じように、苦労しながら、工夫しながらの障害児の子育てを体験されてきています。
 
母 : 相談学級に入っても、みんな面白がって尚を追い掛け回すわけです。それが嫌で、靴をはいたら一目散で走って帰ってくるのですが、家に着いたら、うわーっと私に飛びかかってくる。髪の毛をひっぱったり、ガラスを割ったり、壁に穴を開けたり、いろいろありました。
しょうがないから2階へ連れていって、マットを敷いてプロレス状態になって、「痛ててて、やられた」って私が芝居をする。そしたら、すっきりした顔になるんです。私をやっつけて、自分を追い掛け回した子に飛びかかったような気持ちになるのでしょう。そしたら今度は、くすぐってやるんです。ニコニコしてきたら、最後に体の力を抜く体操をします。
 
クラスの友達にいじめないようお願いするときは、逆にいじめる子にお願いしました。優しい子に頼むより効果的なときがあるんです。「この子はかまうと面白いんだよ」なんて言ってる子にお願いする。そうすると「うん、おばさんわかった!」と、そういう逆手を使ったり(笑)、そのうち、だんだん友達も理解してくれるようになってきたんです。
 
福島さんが、電車の絵に興味を持ち始めたのは4歳頃からだったそうで、画集に載っている5歳の時の西武池袋線の電車にはパンタグラフや踏切の信号機なども描かれています、

お父さんからの当時のエピソードの紹介です。
 
父 : 小学3年生の頃、デパートで私の手をつかんで引っ張って、鉄道模型を欲しがったんです。1つ数千円もする高価なものだったし、マニアのための本格的なものだったので買い与えませんでした。
そうしたら自分で厚紙とセロテープを使って一生懸命作り出したんです。
あのとき買い与えて満足させていたら、現在のように鉄道の紙工作に熱中することはなかったと思いますね。
 
その紙工作、現在では厚い画用紙やワイシャツの襟に入っているプラスティック、爪楊枝、ボタンなどで作られるそうですが、絵と同じで細部まで作りこまれて、どれもすでに数千円の商品をはるかに超える出来栄えです。何が幸いするか分かりませんね。
 
最初は鉛筆や水彩で描かれていたのですが、今はアクリル絵の具を使われているそうです。
お母さんによると「油絵具もありますけど、油は乾くまで時間がかかるから、尚は待っていられない。本人は、アクリルは乾くのが早いところが気に入った」そうです。
確かに、待つことが苦手な自閉症の方にとっては、絵具選びも大切ですね。
 
その福島さん、こんなにすごい絵を描かれるの ですが、「はじめに」にあったように、職業は職業画家という訳ではなく、毎日作業所に通われ お仕事をされています。
中学卒業後電気製品の基盤を作る会社に就職 したのですが、10年ほどして仕事自体が海外生産に移ったので、その会社の社長さんが立ち上げた福祉作業所で働くようになられました。
最初は農作業、次がリサイクル班、現在はパン屋で働かれています。
              
そのため、絵を描くのは夜や休みの日だけなので、作品の完成には3ヶ月ほどかかっているそうです。福島さんにとっては、絵を描くというのは生活のためではなく、楽しみのためのようです。
考えてみると、人生という大きな流れの中ではその方が幸せだと言えるように私も思います。

ご両親からのメッセージです。
 
父 : カラオケも好きです。演歌をよく歌いますが、これは話す言葉を滑らかにするのに効果がありました。文字にも最近、興味が沸いてきたようで、私に「これはなんて書くか?」「なんて読むか?」と質問してきます。
学校に行く年齢がとっくに終わって、なんでいまごろ? と思いますが、いくつになったっていいんです。何かに目覚めて進歩がまだ続いているんです。
 
母 : 尚は何十年もずっと変われなかったけど、福祉作業所で突然配属されたパン屋さんにすんなり変われた。20歳頃、知的には6歳半と言われましたが、いまちょうど中学生くらいなんじゃないかと思うんです。中学生ってわりと冒険心が出てきますよね。
最近、何にでも興味を持ち出しましたし、これからまた、尚はどういうふうに生きていくのか。親はどんどん年をとりますから。なんでも手伝ってくれて、いまは尚に助けられています。逆に。
 
「人は必ず成長する」とは服巻智子先生の言葉ですが、「自閉症児はいつまでも成長し続ける」そんな想いも抱かせていただける画集でした。
 
最後に裏表紙にも載っている「川越の動脈」を紹介します。
残念ながら、会報に載せた絵では色までは分から ないとは思いますが、空は見事な あかね色に染まっています。
この絵も実際に福島さんが見られた 風景は夕方ではなかったそうですが、 暖かい家路に向かう電車や車の姿に、 おだやかな日常を過ごせるように なったご家族の様子が重なって見え、 幸せのおすそ分けをいただいたよう でホッとするような1枚です。

この画集、事務局に置いておくよりも、広くみなさんに見ていただきたいと思い、「自閉症 才能きらり展」が行われているスプリングカムカムのカウンターに置いておきますので、お昼のランチの際にでも、ぜひ一度ご覧ください。  
 
                        (「育てる会会報 228号) 2017.4 より)
 
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目次
 
  はじめに
 
Part.1 Prologue
 
   首都圏大宮
   赤電黄色電のヒーロー 西武新宿線 所沢駅
   追憶 宇都宮機関区
   特急レッドアロー 飯能駅
   線路は続くよ
   フレートエクスプレス (心象画)
   停旦切替信号機 高麗川駅
   未来へ線路は続く
 
Part.2 特殊車・貨物車
 
  石灰石列車DD51 八高線 旧東飯能駅
  太平洋セメント引込線
  動力車
  碓氷峠の力持ち
  ホッパ車 青梅線
  東海道貨物列車(近江長岡‐柏原)
  EF重連・上越線
  セメント貨車 西武鉄道
  奥羽本線 津軽湯の沢駅
  東北本線 EF57 郵便荷物列車
  故郷便り 十和田号
 
Part.3 東北旅行
 
  旅先
  潮風 JR八戸線
  春よ来い(三陸鉄道)
  三陸鉄道復興の旅Ⅱ
 
Part.4 東京
 
  首都の目覚め 新宿駅
  東京駅
  京浜東北線 鶯谷駅
  あきがわ号 五日市線 拝島駅
  ニューレッドアロー小江戸号 小平駅
  西武池袋線 椎名町‐池袋駅間
  東京メトロ銀座線 和光本館
  東京メトロ銀座線
 
Part.5 いろいろな土地の鉄道
 
  峠越え
  銀河への旅へ 鉄道文化むら
  ブルートレイン能登号 大宮駅
  黒部峡谷鉄道 トロッコ列車
  城端線
  再会 久留里線・木更津
  古利根川鉄橋 東北本線
  運転体験車 鉄道文化むら
  そよかぜ 信越線
  風覧望 会津鉄道
  会津川口駅 只見線
  夜行列車 八甲田号(心象画)
  凍てる鉄路 急行ニセコ
  岩見沢駅
 
Part.6 故郷
 
  車窓の風 八高線
  八高線 高麗川駅
  通勤 八高南線
  高麗川鉄橋 八高線
  日が暮れる 八高南線
  八高線 毛呂駅
  八高北線 秋
  川風 西武線 入間川橋梁
  パレオエクスプレス 秩父鉄道
  残響 八高線
  武蔵高萩駅旧駅舎
  川越線 高麗川駅へ入線
  川越の動脈
 
   ペーパークラフト
 
   父母が語る尚さんの生いたち
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アスペ・エルデの会:編 明治図書 定価:2160円+税(2016年10月)
 
                 私のお薦め度:★★★★☆
 
今、日本で自閉症児を育てながら、同時に自らの専門分野でも活躍されておられる14人のお父さんたちが、それぞれ自分の思いや子ども達の関わりを綴った本です。
残念ながら最後に登場する赤木慎一氏は、「アスペ・ハート」の編集長として、本書の制作にあたられていたのですが、自らの原稿を執筆半ばで急逝されました。
本書はその赤木氏の遺志を継ぐ形で発刊され、赤木氏の最後の編集作品として、私たちに届けられました。ご冥福をお祈りいたします。
 
登場する14人のお父さん達、何度も講演を聴きに行った方や、著書を拝見していた方、個人的に知り合いの方もいらっしゃいますが、みなさん錚々たるメンバーです。
著者の顔ぶれを、簡単にお名前だけ紹介すると、福島 豊(元衆議院議員)、野沢 和弘(毎日新聞論説委員)、山岡 修(一般社団法人日本発達障害ネットワーク元代表)、大屋 滋(旭中央病院脳神経外科部長)、 市川 宏伸(児童精神科医)、大塚 晃(上智大学教授)、南雲 岳彦(RUN4U代表)、小原 玲(動物写真家)、笹森 史朗(会社員)、岡田 稔久(くまもと発育クリニック)、新保 浩(一般社団法人そよ風の手紙代表理事)、藤坂 龍司(NPO法人つみきの会代表・臨床心理士)、うすい まさと(シンガーソングライター)、故 赤木 慎一(NPO法人アスペ・エルデの会)の各氏です。
 
みなさん、いまでは自閉症を持つ父親としての立場をオープンにして、活動を続けていらっしゃいますが、当然ながらわが子が自閉症と診断を受けるまでは、障害児の親となることは想像すらしていなくて、それぞれの分野で仕事をされてこられたわけです。
また、自閉症についても、ほとんどのお父さんたちがそれまで知識がなく(児童精神科医として、自閉症の診療にあたられていた、日本自閉症協会会長の市川宏伸先生のような例は除くとして)、戸惑い悩みながら子育てを続けてきた姿は、私たち普通(?)の父親と変わりはないですね。
 
職種も経験も違う14人のお父さんの手記ですが、共通して感じるのが、自閉症のわが子を前にして、決して逃げなかった思いです。もちろん、中にはこれまで競争社会の中で生きてきて、家族を養いながら、より上を目指して頑張っていくという価値観を持っているというお父さんもいたでしょう。私の知っている範囲でも、我が子の障害をどうしても受け容れられなくて、家を出ていってしまった父親の話も聞きます。
 
本書の中でも、大屋滋 氏が率直に書かれています。
 
私は彼とともに暮らすまで、自分の育ってきた環境の中にはこのような子どもを見たことがなかった。変な子であり、できない子であり、受験能力という価値観からすると極めて劣った子どもであった。その上、特別支援学校の中でも、ただ一人指示に従えず行事を滞らせる、特段に手のかかる面倒な子どもであった。

ただ、どんなに大変であっても、私は彼が大好きであることは間違いなかった。一緒にいると嬉しいし、一緒にいたかった。一緒にいるうちに、徐々に、本人が楽しめるように、そして親も一緒に楽しめるように、それが一番と思えるようになっていった。
彼は勉強はできないし、社会で一目置かれるような地位に就くこともないだろうし、それどころか、いろいろと周りの人に迷惑をかけ続けるだろう。でも、彼自身が楽しく暮らしていくことができれば、それこそ人間としてとても有意義な人生だという新たな価値観が生まれ、そこに希望を見出し始めた。私はいつしか、それまで自分が持っていた価値観と、それとは違う価値観のダブルスタンダードを適当に使い分けるようになった。そして、我が子が自閉症であることをあるがままに認めて、本人が本人らしく暮らせるための工夫を一生懸命考え続けた。失敗の方が断然多いが、ささやかな成功を喜びながら今日までともに生活してきた。 
(「価値観のダブルスタンダード」より)
 
こんな風にお父さんが新しい価値観、視点を持つことができれば、救われる家庭も多いのではと思います。そして、社会の中にもこんなスタンダードが広がっていけば、子どもたちも暮らしやすくなっていけるのにな、という思いです。
 
一方で、こんな思いを書かれているお父さんもいらっしゃいます。
 
「北風と太陽」の寓話を思い出していただきたい。ここに出てくる旅人が、発達障害等の特性を有する子の父親と思ってもらえたら、ありがたい(という切なる願い)。父親も途方にくれたり、寒さに震えていたりしているのに、「認めろ」「受容しろ」「子どものために、一刻も早く!」とバンバン強烈な風で煽られたら、さらに身を固くして、しまいには船底にこびりついた牡蠣(かき)にようになってしまうというものだ。

どうか、待ってほしい。時が経ち、暖かい春が来れば自分からコートを脱ぐ時が必ず来るのだから。長いこと待てなければ、冬の季節であっても、最初は暖かい部屋に入れてほしい。そうすれば、コートを脱いで落ち着いて話ができるというもの。具体的に言えば、無理やり「親の会」や「発達障害の勉強会」に連れて行ったり、関連書籍を勧めたりしないでほしい、ということ。「障害受容刺激」をしてほしくない、少なくとも最初のうちは。父親の受容フェーズは、母親より数段、遅れていると、私自身認めざるを得ないのだから。
私の場合、少なくとも5年以上はかかったと思う。もちろん現在でも、「障害受容」は「生涯かけての受容」と思っている。

そうして、自己の意志で受け止め始めたら、父親は、じわじわっという速度かもしれないけど、歩み始める。知識も経験も、染み込むように身についてくるのではないだろうか。そのような地固めをした次の段階で、やっと、言うところの「父親の役割」を果たせるようになれるのでは・・・・。
(笹森 史朗:笹森理絵さんの御主人)
 
これもまた率直な思いですね。納得されるお父さん方もいるのではないでしょうか。
確かに書かれているように、毎日、多くの時間を子どもと向き合っているお母さんに比べ、お父さんの“覚悟”には時間がかかるのかもしれません。
 
でも、全く逆の意見を書かれている方もいます。
 
私が外来で診断を御両親に伝える時に必ず言い添えることが2つある。
そのうちの1つが「自閉症をはじめとする発達障害のことを勉強しましょう」ということである。理解するには勉強する必要がある。大多数の人たちにとって、それまで生きて経験してきたことだけから発達障害のことをイメージしようとすることは難しい。物事の受け止め方や考え方や感じ方が異なる子どもたちのことを知ろうとするのだから、学ばなければ知ることはできない。それは、発達障害のことに限らず、世の父親たちが初めて社会に出て仕事のことを知ろうとした時と同じである。何もしないで仕事の成果を上げることはできない。子どもたちのことも全く同じであると思う。
 (岡田 稔久:日本自閉症協会 副会長) 
 
どちらの意見も父親として理解できる話です。(個人的には、勉強が大切という岡田氏の考えに近いです (^_^;))
 
自閉症児を育てていて感じるのは、一般の子育て以上に障害児の子育ての時期は長く続くように思います。それだけ子離れの時期が遅れるということでもありますが、時間が長くかかるだけ、お母さん方も大目にみて、お父さんの覚悟がつくまで太陽のように見守ってほしいですね。孤軍奮闘で辛いかもしれませんが、駄々っ子がもう一人増えたぐらいに思って・・・
 
お父さんたちも、いつまでもそれに甘えていないで、できるだけ早くにコートを脱いで夫婦で目標を共有
して、自閉症児の子育ての“同志”になっていただきたいと思います。
 
お父さん方にはぜひ読んでいただきたい1冊です。
お母さん方には、目の前の旦那さんとは比較しないで・・・読んでいただきたい1冊です (^_^;)
 
(「育てる会会報 227号」 2007.3 より)
 
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目次
 
  はじめに  ・・・ 辻井 正次
 
〇 福島 豊(元衆議院議員)
  本当に大切なことは子どもの笑顔のようにつながりの中からしか得られない
 
〇 野沢 和弘(毎日新聞論説委員)
  発達障害のある息子たちにとって暮らしやすい、やさしい社会になってほしい
 
〇 山岡 修(一般社団法人日本発達障害ネットワーク元代表)
  子育ては難しい
  発達障害をもつ子どもの子育ては、さらに難しい
 
〇 大屋 滋(旭中央病院脳神経外科部長)
  発達障害児の父親だからできること・やるべきこと・やっておけばよかったこと
 
〇 市川 宏伸(児童精神科医)
  人生は一度しか過ごすことができないもの
 
〇 大塚 晃(上智大学教授)
  息子を中心として多くの人々のサポートによる地域生活を実現できたら
 
〇 南雲 岳彦(RUN4U代表)
  自らの健康を確保し、末永く家族の生活を支え続けることが大切
 
〇 小原 玲(動物写真家)
  いつまでも笑顔を見せて生きていってほしい
 
〇 笹森 史朗(会社員)
  一緒に「たのしい」感をもてたとしたら、まずは「いいじゃないか」
 
〇 岡田 稔久(くまもと発育クリニック)
  それは、2人から始まった
 
〇 新保 浩(一般社団法人そよ風の手紙代表理事)
  「特別な父親」である必要などない
 
〇 藤坂 龍司(NPO法人つみきの会代表・臨床心理士)
  我が子のセラピストになった父親
 
〇 うすい まさと(シンガーソングライター)
  自閉症の子どもの可能性を信じきる
 
〇 赤木 慎一(NPO法人アスペ・エルデの会)
         補記:赤木慎一・妻
  折り合いをつけて寄り添う
 
【 父親 応援メッセージ 】
   井上 雅彦 ・・・ 「父親支援」の必要性と環境整備
   岩永竜一郎 ・・・ 運動スキル・運動を楽しめる気持ちを育むための父親の関わり方
   白石 正一 ・・・ ASDの子と父親の関係を育みながら発達を促す方法
   木谷 秀勝 ・・・ 白だ黒だとけんかはおよし 白という字も墨で書く
   辻井 正次 ・・・ 頑張らないで頑張れ! お父さん
 
  おわりに ・・・ 辻井 正次
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奥田 健次:著 武嶌 波:漫画  スペクトラム出版社:発行  定価:1300円+税 (2016年11月)
 
               私のお薦め度:★★★☆☆
 
今月のお薦め本は「子育てブラックジャック」と称され、応用行動分析の手法を駆使しながら、常識にとらわれない方法で、問題行動をバッサバサと切り倒して進む奥田先生の本です。

以前「拝啓、アスペルガー先生 マンガ版」でもコンビを組まれた漫画家の武嶌 波 氏による作画で、その思いもつかないようなやり方がリアルに表現されています。
 
マンガの良さを、言葉で表現することは難しいのですが登場するのは、エルモくん、ジャンくん、ダンテくん、マイコちゃんの4人の自閉症児たちです。あと、おまけでアーサくんとサントくんも登場します。
 
同じ自閉症でも、それぞれ悩み、・・・主に親からみた悩みかもしれませんが・・・は違います。
 
トイレでオシッコができなくてオムツがはずせないエルモくん、3歳6ヶ月。
興奮が激しく、またてんかんの薬がどうしても飲ませられないジャンくん、3歳。
「パイナップル」という言葉を嫌がって、聞くと走り出してしまうダンテくん、12歳。
夢が怖くて夜眠れなくなってしまったマイコちゃん、小学4年生。
 
それぞれの解決法、あなたならどうしますか。
常識的なやり方なら、これまで自閉症についてセミナーを受けたり、勉強してこられた方なら、すぐにいくつかは思いつくでしょう。

たとえば、おもらしの記録をつけて、タイミングを計ってトイレへ誘導する。トイレを嫌がらないよう、好きなおもちゃを用意したり、飾り付けを考える。最初は部屋の中でオマルを使用して、できるようになったら便器の上にオマルを取り付ける。夏場に思い切ってオムツを外して、出そうになったらトイレにつれていく・・・・あるいは、大人になってまでオムツをしている人は、まず、いないから、トイレトレーニングはあせらず放っておく、などなど。
 
もちろん、奥田先生も排尿や排便の記録をとったり、これまでの親の方が努力してきた“常識的な”方法の聞き取りは丁寧に行います。
そのうえで、奥田流の処方を行動に移します。
 
「今、このトイレでやってみますか?」
「当然ですが 今からやると激しく泣きますよ?」
「それでも正しいトレーニング方法を覚えて帰りたいですか?」
「絶対 直るよ! 直らんかったら切腹してみせますよ!」
 
奥田先生は絶対の自信と、覚悟を持って行動を始めます。
それは同時に、いくら泣いても後ろに下がらない、という覚悟を親の方にも求めるものです。
 
その方法については、本書の核心にあたるところなのでここでは書けませんが、私たちの想像を超えるものであることは記しておきましょう。
 
また、本書では「奥田健次物語」として、前半でこれまでの奥田先生が歩いてきた道のりを漫画にして紹介されています。
 
幼少からの先生は、両親の離婚・再婚による血のつながりのない父親からの暴力、虐待にあい、家出や万引きを繰り返し、いじめにあい不登校になってしまいます。
やがて父のように慕うドイツ人の宣教師と出会い、働きながら大学・大学院と進みます。
 
「死ぬほど殴られて育ったせいなのか 人を恐れない学生だった」
そして最初に書いた論文が学会の論文賞を受賞したことを契機に大学で研究と臨床を始めることになるわけです。
「学会での暴れっぷりは影をひそめず 大御所と呼ばれる先生には片っ端から論戦をしかけていた
学会でも異端視されてきた、奥田先生のルーツを見せられた物語です。
 
そして、自ら虐待を体験してきた先生だからこその対談でのやりとりがあります。
「・・・それで先生は 子どもへの暴力を何としてもゼロにしたい というお考えに行き着いたのですね」
「ん・・・まあ。でも子どもへの暴力だけでなく、子どもから大人への暴力だって 絶対に許しませんけ
どね」

さすが子育てブラックジャックと呼ばれる先生の言葉です。
 
もちろん、マンガ版なので語られる内容は、奥田流療育のエッセンスだけです。
でも絞りこまれ、強調されたマンガだからこその、奥田流カウンセリングの本質も見えてくると思います。

育てる会のセミナーアンケートで、聞いてみたい先生に必ず名前の挙がる(それでも多数派ではないのが、奥田先生らしいとも言えますが・・(^_^)・・)奥田先生を知るにはいい本だとお薦めします。
 
            (「育てる会会報 226号」 2017.2より )
 
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目次
 
  まえがき
 
奥田健次物語
 
エルモくんのこと
 
ジャンくんのこと
 
ダンテくんのこと
 
マイコちゃんのこと
 
おまけマンガ
  アーサくんとサントくん
 
  あとがき
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立石 美津子:著 市川 宏伸:監修 すばる舎:発行 定価:1400円+税 (2016年10月)
 
                 私のお薦め度:★★★☆☆
 
これまでも育児書をたくさん出版されたり、幼児教室の経営などをされていた、シングルマザーの立石 美津子さん、「実は16年、自閉症の親をやってます」と初めて明かして書かれた本です。

でもこの本は、子育ての専門家、という視点からではなく、本当の一人のお母さんが、アッチで悩み、コッチで壁に当たりながら、やっとつかんだ親子の物語です。
この物語は、こんな書き出しで始まります。
 
どんなに医学が進歩しても、障害児はいつの時代でも一定の割合で生まれます。
医師から「お母さん、自閉症は生まれつきの脳の障害で一生治ることはないですよ」と言われました。 正直な気持ちを書きます。
私の未来予想図のなかには“障害児の母になる”などという計画はまったくありませんでした。
 
落ち込んでいる私をママ友が慰めてくれました。
「子どもは親を選んでやってくるのよ。神様がくださった天使なのよ。立石さんなら育てられるからやってきたのよ」
私は当時、幼児教室を経営し、特別支援学校の教員免許も持ち、子育てのプロだと思われていたので、こう励ましてくれたのでしょう。
けれども、私は心の中で「きれいごとを言わないでよ。神様に選ばれたくなんかなかったわよ。ああ、クジ運悪い・・・・!」と叫んでいました。
 
どこかで聞いたような、言われたようなフレーズですね。
そう、自閉症児を育てているお母さんなら、誰でも一度は最初に通った道だと思います。
そして著者の立石さんも悩みながら、少し回り道をしたかもしれませんが、やがては「たくさん悩んだけれど今は幸せです」と、この本を出版されています。通り抜ければ、笑い話になるエピソードは、みなさんたくさん持たれていると思いますが、“当事者”だった頃は大変だったはずですね。
本書は、今そんなトンネルの中にいるお母さんたちに、道に迷わずトンネルの出口に向かって歩いていけるように、と書かれた本だと思います。
 
書かれている内容自体は、とりたてて目新しいものではなく、育てる会の会員のみなさんからは一度は聞いたことのあるような話かもしれません。それは勉強会で先輩のお母さんから聞いたり、講演会でたくさんの先生、佐々木正美先生や吉田友子先生、服巻智子先生などなど(次の岩永先生のセミナーでもう90回目です)のお話しを聴いてこられたからなのでしょう。

でも改めて本書を読んでみると、わかったつもりでいても、子育ての中でいつのまにかつい忘れてしまいがちな親の心構えも多いように思えます。
 
療育施設のスタッフから「どの子にも必ず秘めた才能がありますから、お母さん、夢を諦めないで」と励まされている人をよく目にします。その言葉を支えにすごくがんばっているママもいます。
たしかに幼児期に「一生このままだ」と思ったら絶望しか残りません。これらの励ましの言葉は希望になることもあります。
でも、親の心の奥には「あなたが障害さえ克服してくれたら、ママは幸せになれるのに・・・」という気持ちがあるのかもしれません。「きっと伸びる、才能がある」の言葉を隠れ蓑にして、“今、目の前にいるわが子の障害受容ができない親自身の姿”がそこにあるのかもしれません。
 
伸びると信じて夢や希望を持つことはよいことです。でも伸びない子どもを受け容れて初めて、受容になるのだと思います。
もしかして、障害の受容って、子どもの障害を受け容れるというよりは、親が「障害を受け容れたくない自分」を受け容れることかもしれません。
 
そうですね。「子どもも親も幸せになる」ためには、まずは親がまず「優れた才能を発揮しなくても、どんなに小さなことでも、昨日よりもできたことを喜ぶ」ことから始めることが大切だということですね。
まして、これまで一人で頑張ってこられたようなお母さんにとっては、見落としがちな視点ともいえるでしょう。
では、スタッフとしてはどんなアドドバイスがいいのでしょう。

それは次回のセミナーをお願いしている岩永竜一郎先生も語られています。
「自閉症を完全に治すことはできないですが、適応をよくすることはできます」
前回のセミナーで服巻智子先生もおっしゃられました。自閉症や発達障害を持つ子どもたちも、「人は必ず成長する」。
事実は事実として伝えて、でも適切な支援があれば大きく伸びていきますよ、と希望を持って伝えてあげることだと思います。
 
また、これまで悩みながら、工夫しながら子育てをしてこられた立石さんですから、本書をノウハウ本として読んでも、ヒントになるような話もたくさんあります。
 
パニックへの対応に疲れ切っていたある日、渋谷で息子が迷子になりました。必死で探しながら、頭の片隅では「永遠に見つからなければいいのに・・・」とまで思っていました。
療育の先生や医師は、生徒や患者に対して“仕事”と割り切れるでしょう。でも私は24時間年中無休で向きあっていなくてはならず、こっちの頭がおかしくなりそうでした。
そんなとき助けてくれたツールが耳栓。聴覚過敏のある息子もしていましたが、私も息子の奇声を聞くのに耐えられず、つけていました。
その頃、息子は自傷行為が激しかったので、抗精神病薬を処方してもらっていました。私も抗鬱薬を飲み続けていて、親子そろって同じような感じになっていました。
大変な時期は、自分一人の努力や気合や精神力で乗り越えようとしないで、SOSを出して医師から薬をもらったり、耳栓をするのも必要悪ではないでしょうか。それで少しでもラクになれたら親子ともにプラスになります。
 
聴覚過敏な我が子に耳栓やイアーマフをつけてあげることはあっても、その子の奇声や同じ質問の繰り返しが耐えられなくなった時、自分がつけるという発想はなかなかでてこないですね。
立石さんが書かれているように必要「悪」だと感じてしまい、自分が子どもを拒否しているような、やましい思いになるからかもしれません。
でもそれによって、お互いの気持ちが平穏に保たれるとしたら、試してみる価値はありそうですね。
 
また、立石さん自身がまわりの方からヒントをもらって子育てに生かしてこられています。
 
簡単な買いものを一人でできるようにと、私が息子にオリジナルプリントをやらせ、コンビニでも買いものの練習をしていることを伝えると、担任の先生は「お金をそんなに躍起になって教えなくてもいい」とまで言いました。そしてこう続けました。
①  ・・・
②  日本は治安がいい国である。お金の計算なんてできなくても、お店の人がやってくれる。もし買いものをして、どれだけ出したらいいかわからなくても、財布を広げて「わからないので取ってください」と言えば、店の人が多めにとることはしない。お釣りだって「この人、馬鹿だから」と判断して、わざと少なく渡す悪人はいない。
③ ・・・ 等々
 
確かに、我が家でも育てる会のAAO活動 (街の中にボランティアさんと一緒にでかけて、いろいろ体験する活動) などで、初めて買いものの練習をした頃には、まだお金のやりとりができなかったので、財布を出してお店の人にとってもらうよう、ボランティアさんにお願いしていました。

でもそう言われてみると、あれは治安のいい日本だからできたのでしょう。最近の中国などの様子をニュースで見ていると、生き馬の目まで抜きかねないような国では、怖くてできないですね。
見せた財布ごと取り上げられてしまいそうです。欧米に比べて、日本では自閉症の理解がなかなか進まないことを嘆いていましたが、日本人の国民性の良さ、治安の良さを再認識できたアドバイスでした (^_^)
 
ただ最後に、本書で少し気になったのは、各ページの中で強調したい箇所がゴシック体で表記されている体裁・・・。わかりやすいといえばわかりやすいのですが、私にはその表現の部分が、ちょっぴり断定的過ぎて押し付けがましいようにも感じられました。
気にしなければいいようなものですが、できましたら次の版では考慮(そのまま前後と同じフォントで記載するような形で)していただければ、もっと自然な形で気持ちよく読めるように思えます。今の形では、誰か前に読んだ人がラッションペンでアンダーラインを引いた後の本を読んでいるような感じでした。

それ以外は、内容については問題ないと思いますので、もし周りに障害告知を受けたばかりの方がいましたらお薦めしてください。
 
                (「育てる会会報 225号」 2017.1 より)
 
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目次
 
  はじめに
 
第1章 自閉症児を16年間育てて見えたこと
 
  後ろ向きでガチガチ頭だった私
    自己肯定感の低い「いい子」で育った
    出産時に抱いた違和感
 
  理想通り育てたいのに、うちの子どこか変・・・?
    0歳から英才教育をしても、人に無関心のまま
    保育園で明らかに他の子と違う
 
  まさかの自閉症の告知
    どうして、うちの子が・・・・
    食物アレルギーだけでも大変なのに!
    1年間の病院巡り
 
  暗闇から救い出してくれた先輩ママ達の存在
    「自閉症協会親の会」に入る
    手づかみ食べの悩みに「世界では普通よ」
 
  小学校はあえて「支援学校」を選びました
    認められる回数を増やしてやりたい
    対応がきめ細かい支援学校
 
  小3で転入した「支援学級」はこんなところ
    無理やり転校させられる
    自立のためのトレーニングはしてくれない

     【コラム】面接で転校先の学校から釘を刺される
 
  高校では就労訓練を受けられる幸運
    中学ではビりでした
    作業、作業の連続
    
第2章 発達障害の子をのびのび育てるための心がまえ
 
  障害を受け容れても葛藤するのが当たり前
    健常児の姿を見ることがストレスに
    保育園での特別扱いにも被害妄想・・・・
    「比べる病」はなかなか消えない
 
  療育選びは慎重に
    苦手を克服させる療育施設もある
    施設によって方針は180度違う
 
  「二次障害」だけは絶対に避けたい
    入院病棟で鉄格子のなかにいた子
    親が障害を認めないことで起こること
    不登校や鬱に陥らせないために
 
  「健常児に近づける」ことを目標にしない
    「1日も早く〇〇できますように」
    親の期待に応えようと子どもが苦しくなる
    いい意味で開き直る
 
  「才能の温泉」を掘り当てられる人はごくわずか
    もしかしたらギフテッドかも?
    「今がんばれば未来が開ける」の罠
    天才ピアニストを目指すも1年で挫折
    脚光を浴びる人は一握り
 
  周りから傷つく言葉を言われたら
    水泳教室で入会を断られる
    「他のお子さんに迷惑なので」
    初めから障害者枠を希望すればよかった・・・・
 
  無表情であっても、ちゃんと心で感じています 
    自分の意思をうまく伝えられない
    お別れが悲しくて出た涙
 
  叱りたくなるところは、本当はその子の強み
    「騒がしい」は「元気」に、「しつこい」は「粘り強い」
    見方を変えるだけでラクになる
    子どもの持ち味をどう生かす?

     【コラム】言葉だけを変えても本質は変わらない
 
第3章 日常生活はこうサポートして「できる」を増やす!
 
  パニックは時間が解決してくれる
    頭を打ちつけたり腕を噛んだり、凄まじい破壊力
    親が巻き込まれてはいけない
    薬と耳栓に助けられる
    嵐は必ず過ぎ去ります
 
  こだわりには「とことんつきあう」覚悟で
    「わがまま」と「こだわり」の線引きは難しい
 
  食べられるものが5種類だけ
    「他のメニューを作らずにすんでラク」と考えて
    「これがないなら、あれ」と絶対に流せない
 
  パズルは同じものを3セット買い置き
    1ピースなくなるだけでパニックに
    同じ色やデザインの服にこだわる
    衣替えは数日かけて少しずつ
 
  3000系の各駅停車しか乗れない
    ムリに他の電車に乗せて大暴れ
    2年かけて克服
 
  言葉の練習の前に「話したい」気持ちが大切
    5歳になってもしゃべらない・・・・
    言葉を真似ても、ただのオウム返し
    店員に「まだ食べる!」と叫ぶ
 
  「暗黙の社会ルール」を教えるのは難しい
    「あの人太ってるね」「痴漢は犯罪」を大声で・・・・
    消火器の「引き抜く」に反応してしまう
    8年続いているトイレへの執着
    趣味を禁止するのはかわいそう
 
  こうすれば外出先でも落ち着いて過ごせる
    予防接種は何日も前から予告
    スーパーでの買い物は毎回一苦労
    周囲の理解が得やすくなる「愛のワッペン」

     【コラム】療育手帳とは
 
  家の中を療育の場にしないで
    おやつを封筒に入れてハサミの練習
    家庭は安全基地であるべき
    ハードルの低いことからコツコツと
 
  一人でできることは確実に増えていきます
    定期を忘れて財布からお金を出せた!
      
第4章 子どもがベストな環境で過ごせる学校選び
 
  「自信を失わずいられる場所」を与えてあげたい
    教室内でお客様状態
    成功体験を毎日味わえるかどうか
 
  「自由のびのび保育」の園があうとは限らない
    「クラスが勝てないから運動会休んで」
    「何をしてもいい」は「何をしたらいいかわからない」

      【コラム】園から「専門機関」を勧められたら・・・
 
  どうする? 先生や他の親子へのカミングアウト
    担任に自作の「息子カルテ」を渡す
    ほとんどのママ達が好意的だった
    園児達には工夫して伝える
    どんどんSOSを出そう
 
  小学校の選択肢は3つ。どれがベスト?
    通常学級に入れるかどうかは親次第
    支援学級と支援学校
    「這い上がれない」という噂

      【コラム】就学時健診を受けずに隠れた人
 
  通常学級とはこんなところです
    40人単位で集団行動をする場所
    学級崩壊しているクラスもある
    「合理的配慮」が義務化されても・・・・
 
  グレーゾーンの子どもの行き場
    通常学級から「通級指導教室」に通う方法も
    担任に伝えておくといいこと
    なんでも障害のせいにする困った風潮
 
  わが子が「いじめ」にあったときは
    「あの子の母さん怖い」と思わせるのもアリ
    健常児と障害児がとみに学ぶ環境
    グレーゾーンの子の生きづらさ
    団体競技で足を引っ張ってしまう
    
第5章 この先、親子で幸せに生きていくために
 
  小学校卒業後の進路はどうなるの?
    中学の就学相談で判定結果が出る
    中学の支援学級は学力差が激しい
    生きる力をつけるのが目標
    難しい計算はできなくてもいい
    成長をしみじみ感じられる瞬間
 
  学歴か、就労訓練か
    支援学校高等部へ入学
    強力な就労サポートを受けられる環境

     【コラム】個性か障害か
 
  障害者枠で大手企業に入ることが「成功」なのか?
    「一般就労」は輝いて見えるけれど・・・・
    就労はゴールではなくスタート
    企業が求めるのは生産性やコミュニケーション能力

     【コラム】職を転々とする人
 
  単純作業を不憫と思うのは親のエゴかもしれない
    カッターで延々と同じ紙を切る
    授業参観でのカルチャーショック
    本人が楽しければ問題ない
 
  性問題には目をそらさず向きあって
    性の目覚めはやってくる
    異性との距離感などをひとつひとつ教える
    隠したり見て見ぬ振りはダメ

     【コラム】シングルマザーならではの悩み
 
  将来の「別れ」にそなえて今からできること
    親亡きあとも助けてもらえる関係作り
 
  さいごに
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日本発達障害ネットワーク:編 唯学書房  定価:741円 + 税 (2015年8月)
 
            私のお薦め度:★★★☆☆
 
今月は「お薦め本」というコーナーの主旨からは少し離れるかもしれませんが、発達障害をもつ本人や家族に知っておいていただきたい、現在の日本で受けられる様々な支援を一冊にまとめたガイドブックです。

みなさんご存知のように、2005年に発達障害者支援法が施行されてからも、子どもたちをとりまく法律や制度はめまぐるしく変わっています。正直、ついていくだけで精一杯、いい加減にしてほしいというのが児童デイサービスやグループホームを運営している立場からの感想です (^_^;)
まあ、煩雑なだけでなく、処遇改善などプラスになっているところもあるので我慢している、というのが現状でしょうか。
 
ただ、一般の保護者にとっては、子どもたちは待ったなしで成長しているので、その時々の制度を最大限に利用していただきたいと思っています。そのための今回のお薦め本の紹介です。発行しているのは、日本発達障害ネットワーク(JDDnet)で、本書の元になるガイドブックが作られたのは2008年のことでした。それから先に書いたように制度の変遷に合わせて何度も加筆修正や改訂を重ねて、本書は昨年2015年8月の発行で、今のところの最新版です。また時代の移り変わりにより新しい版も発行されると思いますが、それまでは本書をおおいに活用していただきたいと思います。
 
本書の構成は、第1章から第3章までは、手記を交えながら、乳幼児期~小中学校期~高校・大学期とライフステージごとに、それぞれ利用できるサービスについて解説されています。

例えば、最初のページでは「早期発見 ~ 1歳半健診」のタイトルで、1歳半健診についての説明です。まず概略として、「どんな時に利用する? どこで利用する? どんなサービス? 対象は? その他のポイント」として、具体的に簡略な説明です。このそれぞれの概略ポイントは、その後も同じ形で解説が続いていきますので、ここだけでも押さえておけば一応の知識は得られると思います。
 
○ どんな時に利用する? ・・・満1歳半になる前後の月(市町村から該当者全員に通知)
○ どこで利用できる? ・・・保健所・保健センターで実施。地域により個別に医療機関でも可能な場合がある(ただし有料の場合もあり、要確認)
○ どんなサービス? ・・・身体計測・内科健診・歯科検診・保健指導(歯科・栄養)・個別相談・心理相談等
○ 対象は? ・・・満1歳半になった人全員(国の法定健診)
○ その他のポイント ・・・発達障害に関するスクリーニング検査を実施している自治体もある
 
という具合です。
そして本文としては、もう少し詳しく
 
  1 サービスの概要
  2 発達障害への対応
  3 利用のヒント
  4 一言アドバイス
 
の項目で、実際にサービスを利用する際の手順や心構え、準備しておいた方がいいことなどアドバイスが続いていきます。
本書の最初の方の早期発見や保育所・幼稚園などの利用については、育てる会の会員の方にはすでに経験して周知のことも多いと思いますが、この機会に我が子のライフステージにとって見落としがないか、チェックしてみるのもいいと思います。
 
第4章・第5章では、年齢を少し離れて横断的に利用できる制度や機関が網羅されています。
中には名前は聞いたことがあるが、イマイチ何をしてくれるところか・・・というような機関もあるのではないでしょうか。
 
たとえば都道府県精神保健福祉センター、「1 サービスの概要」としては
 
平成24年現在ではすべての都道府県、20政令都市に1ヵ所以上ずつ設置されており、主に思春期を入口として、青年期から成人期以後のライフステージを対象にこころの相談業務と法律に基づいた精神保健に関わる技術援助や教育研修、普及啓発、情報提供等を推進しています。また、精神障害者の公費医療負担審査や精神障害者保健福祉手帳の判定等の業務も行っています。
 
要するに思春期以降の相談が中心で、高機能の自閉症の方が取得できる精神障害者保健福祉手帳の判定をしてくれるのが、ここだったのですね。

またセンターでの「3 利用のヒント」では
 
青年期になるとセンターでの面接相談に本人が来所することが難しいケースがあります。その場合、保護者がセンターに予約を入れ、保護者相談から開始することをお勧めします。センターには精神科医・精神保健福祉士・心理士・保健師・看護師、作業療法士等が配置され、必要に応じて支援体制がとられています。一部のセンターでは、グループ活動やデイケア、それぞれの状態像に応じたケア体制が進められています。
青年期以降に発達障害ということが明らかになったとしても、「今からでも決して遅くない」という確信と希望を持って支援を開始することが大切です。
 
他にも、「今さら聞けない」とういうような基礎的な部分から、制度や機関の解説がありますので、側に置いていただけたらとお薦めします。
 
                (「育てる会会報 223号」 2016.11より)
 
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目次

はじめに
 
第1章 乳幼児期
  I 早期発見 -1歳半健診
  II 早期発見 -3歳児健診
  III 早期発見 -5歳児健診
  Ⅳ 障害者総合支援法(児童福祉法)
  V 幼稚園
  VI 保育所

  ◆保護者の手記(1)、(2)、(3)

  [トピックス] 発達障害者支援に携わる専門職 (1)「心理士」、(2)「特別支援教育士」
 
第2章 小中学校期
  I 就学児健診
  II 特別支援教育とは?
  III 特別支援学校
  IV 特別支援学級
  V 通級指導教室(LD、ADHD、自閉症、ことばの教室)
  VI 特別支援教育コーディネーター
  VII スクールカウンセラー

  ◆保護者の手記(1)、(2)、(3)、(4)、(5)

  [トピックス]発達障害者支援に携わる専門職 (3)「言語聴覚士」、(4)「作業療法士」
 
第3章 高校・大学期
  I 高校を選択するには
  II 高校を選択するには -入試における配慮ついて
  III 特別支援学校(高等部)・高等特別支援学校
  IV フリースクール・通信制高校
  V 大学・短大・専門学校
  VI 移行計画 (教育期から就労期への移行の計画)

  ◆保護者の手記(1)、(2)、
 
  [トピックス]ディスレクシアのある人の高校、大学
 
第4章 障害者支援制度
  I 療育手帳
  II 精神障害者保健福祉手帳
  III 障害基礎年金
  IV 障害者自立支援法
 
第5章 支援機関
  I 子育て支援センター
  II 児童家庭センター
  III 教育センター・特別支援教育センター
  IV 児童相談所
  V 保健所・保健センター
  VI 都道府県精神保健福祉センター
  VII 発達障害者支援センター
  VIII 医療機関
  IX 当事者団体・親の会
 
第6章 資料編
  Ⅰ 診断早見表
  Ⅱ 発達障害者支援センター
  Ⅲ JDDネット加盟団体一覧
  Ⅳ インターネット等で得られる各種情報
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ロン・クラーク:著 亀井 よし子:訳  草思社 定価:952円 + 税 (2004年10月)
 
               私のお薦め度:★★★☆☆
 
前月お薦め本に紹介した「前向き言葉 大辞典」に続き今月も対象は一般(?)の子どもたち向けに出版されている本の紹介です。
著者は、アメリカのノース・カロライナ州出身の小学校教師 ロン・クラーク先生で、ディズニー社が選ぶ全米最優秀教師賞を2000年、28歳の若さで受賞されたバリバリの教育現場で働かれていた先生です。
 
本書の副題にもなっている「あたりまえだけど、とても大切なこと」は、別に保護者向けに書かれた本ですが、2003年に出版され世界的なベストセラーになりましたので、目にされた方も多いのではないでしょうか。
本書はその「あたりまえだけど、とても大切なこと」をもとに、本人たちが自分で読むために書き下ろした本です。
お母さん方には、元の対になる「あたりまえだけど、とても大切なこと ~子どものためのルールブック~」(草思社:1400円+税)も一緒に買って読んでいただきたいとお薦めします。
 
知的には遅れがなくても「暗黙のルール」がなかなか身につかないのが自閉症の我が子たちです。
そのため「空気が読めない」とクラスで浮いた状態となり、いじめや引きこもりなどに陥りやすくなってしまいがちです。
でも「暗黙のルール」ですから、クラスメートたちや先生も“あたりまえのこと”として、誰も教えてくれなかったルールです。どうしてそうなってしまうのか、本人にもわかっていないこと、それをきちんとルールブックとして、文字に書いて教えてくれたのが本書です。
50のルールについて具体的なケースを取り上げ、そこでとるべき態度を教えてくれています。
 
ルール9 もらったプレゼントに文句を言わない

だれかに何かをプレゼントされたときは、よくない感想や不満を口にしてはいけない。
プレゼントをくれた人にたいて失礼だからだ。
 
左側の見開きページではイラストつき(絵:北砂 ヒツジ)でもう少し詳しく、そうすればいいのはなぜかについても説明してくれています。
 
○ プレゼントをくれた人がだれであっても、その人の気持ちを考えて、喜んでいる態度を見せよう。
ほんとうはあまり気に入らなかったとしても、それを態度にあらわすのは失礼というものだ。
 
これで一つのルールが終わりです。
とても簡潔ですね。
 
文字からの情報は受け入れやすいのが、我が子たちです。すべてルビがふってありますので、知的にあまり遅れがなかったら、小学校の低学年から使える本だと思います。
帯にも『入学・進級 おめでとう!』と書いてあるように、学校生活を楽しくスムーズにおくる手助けとして、一年生になったお祝いにプレゼントしてあげるのにふさわしい本でしょう。
 
また時には、学校でのきまりをキチンと守ろうとしすぎて、クラスメートから反発を受けてしまうこともある子もいます。それならその特性を生かして、最初から守るべきルール、きまりとして本書をお母さんといっしょに読んで、いつも勉強机の上に置いておくのをお薦めしたいと思います。
 
ルール32 だれかとぶつかったらあやまろう

だれかがぶつかってきたら、自分がわるくなくても「すみません」と言おう。
 
○ ぶつかってしまったり、だれかに迷惑をかけそうになったとき、すぐに「すみません」とか「ごめんなさい」と言うのは、大人になってからも大切な、基本的マナーだ。
 
息子が幼かった頃には、まだこんなルールブックはなくて、教えられていなかったルールもいろいろあったのに気づかされました。
 
ルール31 つぎの人のためにドアを押さえていよう。
 
後ろに続く人が、両手いっぱいに荷物を抱えていようと、まったく無頓着にドアを通り抜けて、さっさと行ってしまう息子です。
反省しながらも、服巻先生の「人は必ず成長する」(今年のクリスマスには、服巻先生のセミナーを予定しています)のことばを信じて、すでに成人してグループホームに暮らす息子ですが、これからもルールを学んでいくことを期待したいと思っています (^^)/
 
こんな風に具体的なルールが続く本書ですが、終わりに近づくにつれ、しだいに生き方、考え方などについてもルールとして提案されていきます。
 
ルール45 前向きに生きて、人生を楽しもう
ルール47 まちがいをうけいれよう
ルール48 いつも正直でいよう
ルール49 現在を楽しもう
 
そして、最後のルール50です。
 
ルール50 きみのなれる、もっともすばらしい人間になれ

人生を楽しみ、自分にほこりをもてる人間になろう。
他人に救いの手をさしのべる人、まちがいから学べる人になろう。
 
○ どんな人生にも、苦しみや悲しみがついてまわる。でもどんなときでも、自分が成長して、こうなりたいと思う人間になるための努力を忘れてはいけない。
 
障害を持っていても、持っていなくても、子どもたちが自己肯定感を育てて前向きにいきてくれることを願って、本書を子どもたちにお薦めします。
 
               (「育てる会会報 222号」 2016.10 より)
 
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目次

ルール 1 大人の質問には礼儀正しく答えよう
ルール 2 相手の目を見て話そう
ルール 3 だれかがすばらしいことをしたら拍手をしよう
ルール 4 人の意見や考え方を尊重しよう
ルール 5 勝っても自慢しない、負けても怒ったりしない
ルール 6 だれかに質問されたら、お返しの質問をしよう
ルール 7 口をふさいでせきやくしゃみをしよう
ルール 8 何かをもらったら、3秒以内にお礼を言おう
ルール 9 もらったプレゼントに文句を言わない
ルール10 意外な親切でびっくりさせよう
ルール11 人の成績を言いふらさない
ルール12 授業中は、人が読んでいるところを目で追う
ルール13 質問には完全な文章で答えよう
ルール14 自分からごほうびをほしがってはいけない
ルール15 宿題は必ず提出しよう
ルール16 授業の準備はすばやくしよう
ルール17 整理整頓しよう
ルール18 宿題に文句を言わない
ルール19 代わりの先生がきたときも礼儀正しくしよう
ルール20 授業中は許可なく席を立たない
ルール21 先生にあいさつしよう
ルール22 お客さまを歓迎しよう
ルール23 だれであれ、仲間はずれにしない
ルール24 しかられている人のほうを見ない
ルール25 宿題がよくわからないときは質問しよう
ルール26 あとかたづけをしよう
ルール27 バスに乗ったら、おとなしく座っていよう
ルール28 人の名前をしっかりおぼえよう
ルール29 食べ物を欲ばって取らない
ルール30 だれかが何か落としたら、拾ってあげよう
ルール31 つぎの人のためにドアを押さえていよう
ルール32 だれかとぶつかったらあやまろう
ルール33 公共の建物に入るときにはおしゃべりをしない
ルール34 訪問先では何かをほめよう
ルール35 集会ではおしゃべりしない
ルール36 電話の応対はきちんとしよう
ルール37 お世話になった人にはお礼を言おう
ルール38 エスカレーターに乗ったら、右側(左側)に立とう
ルール39 全員で廊下を歩くときにはおしゃべりしない
ルール40 横入りをしてはいけない
ルール41 映画館では絶対におしゃべりしない
ルール42 学校に〇〇をもってきてはいけない
ルール43 もしいじめられたら先生に知らせよう
ルール44 信じるもののために立ちあがろう
ルール45 前向きに生きて、人生を楽しもう
ルール46 したいことがあるなら、やってみよう
ルール47 まちがいを受けいれよう
ルール48 いつも正直でいよう
ルール49 現在を楽しもう
ルール50 きみのなれる、もっともすばらしい人間になれ
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青木 智恵子:著 黎明書房 定価:1700円 + 税 (2014年11月)
 
            私のお薦め度:★★★☆☆
 
いつもは自閉症や発達障害の関連書籍について紹介しているこのコーナーですが、今月は少し幅をもって子育て全般向けのお薦め本を紹介させていただきます。

最近の小学校でも、よく「ふわふわ言葉」と「チクチク言葉」に分類して、気持ちが暖かくなるような「ふわふわ言葉」を使いましょう、という取り組みがなされています。おもに「いじめ」の原因になるような、チクチク言葉をなくしていこうという視点です。
もちろん、それはそれでいいのですが、意図せず(悪気なく)「チクチク言葉」をストレートに使ってしまうのが、発達障害を持つ子に見受けられる特性のように思います。そしてそれが、逆にいじめや仲間はずれのきっかけにもなりかねないのが怖いですね。
 
そこで、本書の登場です。物事には必ず裏表の見方があり、短所も見方を変えれば長所になり、欠点も反対からみれば利点になるわけです。
 
わたしは「デブでブスで根暗な嘘つき」です。が、この辞典で変換すると、「安心感のある体型で、伸びしろのある愛嬌がある顔。さらには、熟慮型、落ち着きのあるタイプで、場面に応じて臨機応変に言葉を操る想像力豊かな人物」となります。なんて嬉しくくすぐったい褒め言葉でしょう。
(「はじめに」より)
 
事実は事実として、そのまま述べてしまいがちな素直な自閉症児たち、お世辞やお愛想とは縁遠いところにいますが、言い方を変えるだけでOKと教えてあげましょう。
高機能な子ども達でも、臨機応変の対応は苦手なところがありますが、機械的な記憶は得意で、辞書や百科事典が好きな子もいますね。大人が教えるより、この本をなにげなく食卓にでも置いておいて、自分で手にとってくれれば、より効果的かもしれません。
 
たとえば
「肥満(デブ・太っている)」
①ぽっちゃりさん ②安心感のある体型、身長に対し体重の割合が多めの人 ③癒される体型  ④お肉の貯金が上手すぎる ⑤社長さん体型 ⑥ゆったりした雰囲気 ⑦ゆったりサイズが似合う  ⑧ふくよか
 
中には少々使いづらい表現や、かえって皮肉ととらえられ怒られそうな言い回しもありますが、8番目の「ふくよか」という言葉を知っていて使うだけで、学校生活がずいぶんスムーズに行くように思えます。
この言葉に○をつけておいたり、ラッションペンで線を書いておいてもいいですね。
 
また、本書のもう一つの使い方は、親が子ども本人に対して「褒める」のに役立つところでしょう。
障害のあるなしに関わりなく、子どもは褒めて育てるのがもっとも伸びると言いますが、特に発達障害児の場合は、ともすれば失敗体験から躓いて、自己肯定感が下がりがちなだけに、褒めることがより大切になってくると思います。
「褒めるところが、なかなか見つからなくて・・・」とおっしゃるお母さんには、この本がヒントになると思います。
 
 「落ち着きがない」
①興味がたくさんある ②好奇心が旺盛、好きなこと、うきうきすることがいっぱい ③色々なことに目がいく ④楽しいことを発見するのが早い、得意 ⑤気持ちの波がおさまるまで時間がかかるタイプ ⑥自分の可能性を発見しようという才能がある ⑦興味や行動をすぐに行動にうつすことができる
 
「しつこい」
①粘り強く頑張ることができる ②あきらめないという強い気持ちがある ③根性がある ④特殊なことに精通する素質がある ⑤集中力がある ⑥達成しようという意欲にあふれている

どうでしょう。見方を変えるだけで、日常生活の中でも褒めるところはいっぱい出てきそうです。
的確に褒められたら、誰でも嬉しくなってきます。

この本を大いに活用して、ご家族みんなが前向きに楽しく暮らしてほしいと、一家に一冊、本書をお薦めします。
 
               (「育てる会会報 221号」 2016.9より)
 
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目次

  はじめに
 
  こんな時にこの1冊!
  魔法の言葉3S  
  どんどん使おう「ハート」の言葉
  便利言葉6!
 
【あ行】
  飽きやすい・飽きっぽい
  頭が悪い
  暴れん坊(乱暴)
  危なっかしい
  *あほ → ばか
  意気地なし
  意思が弱い(自分がない)
  意地悪
  いばる
  今、それする時間じゃないでしょ!
  嫌だ!
  イライラする
  陰気
  ウザイ
  うそつき
  内気(内向的)
  うまく話せない
  うるさい(騒々しい・やかましい)
  浮ついている
  臆病
  怒りっぽい
  *幼い → 幼稚
  おしゃべり
  おせっかい
  *遅い → のろい・のろま
  落ち着かない
  落ち着きがない
  おとなしい 
 
【か行】
  ガキ大将
  影が薄い(存在感がない)
  がさつ
  がっかり(した出来事)
  ~ができない
  過敏
  *ガリガリ → やせている
  *変わっている → 変(な子)
  頑固
  感情の起伏が激しい
  気が変わりやすい
  *気が散る・気が散りやすい → 落ち着かない・落ち着きがない
  気が弱い(弱気)
  汚い
  協調性がない
  空気が読めない
  臭い
  *口が悪い → 毒舌
  くどい
  くよくよする
  ケチ
  喧嘩
  喧嘩っぱやい
  孤独(ひとりぼっち)
 
【さ行】
  雑
  ~しかとれなかった・~しかできなかった
  自信がない
  しつこい
  失敗
  失敗ばかりしている
  ~しなさい!
  死にたい
  自分勝手
  *自分がない → 意思が弱い
  集中力がない・集中できない
  消極的
  小心者
  神経質
  心配性
  図々しい
  すぐに不安になる(不安)
  ずるい・ずるがしこい
  ズレている
  *責任感がない → 無責任
  *せっかち → 短気
  *騒々しい → うるさい
  *存在感がない → 影が薄い
 
【た行】
  食べ過ぎ
  頼りない
  だらしない
  短気(せっかち)
  チビ
  疲れている
  つまらない(暇)
  冷たい
  できない
  でしゃばり
  出っ歯
  *デブ → 肥満
  毒舌(口が悪い)
  友達が少ない
  トラブルメーカー
  *とろい → のろい・のろま
  鈍感(鈍い)
  鈍臭い
 
【な行】
  *内向的 → 内気
  泣き虫
  *なじめない → 場になじめない
  なまけている
  ナルシスト
  *鈍い → 鈍感
  根暗
  ネチネチしている
  のろい・のろま(遅い・とろい)
 
【は行】
  ばか(あほ)
  ハゲ
  場になじめない(なじめない)
  場をわきまえない
  引っ込み思案
  人見知りする
  *ひとりぼっち → 孤独
  ひねくれている
  *暇 → つまらない
  肥満(デブ・太っている)
  貧乏
  *不安 → すぐに不安になる 
  不器用
  老けている
  ぶさいく・ブス
  ふざける
  *太っている → 肥満
  不真面目
  下手(下手な絵等)
  変(な子)
  ほとんどできない(~しかできない)
  ぼんやりしている・ぼーっとしている
 
【ま行】
  まぬけ
  無気力
  無口
  無責任(責任感がない)
  めそめそしている
  目つきが悪い
  面倒くさいこと
 
【や行】
  *やかましい → うるさい
  やせている(ガリガリ)
  優柔不断
  幼稚(幼い)
  要領が悪い
  *弱気 → 気が弱い
  弱虫
 
【ら・わ行】
  *乱暴 → 暴れん坊
  ルーズ
  ルール違反
  我がまま
  忘れやすい・忘れっぽい・忘れ物が多い
  悪ガキ
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