アメンバ様700人突破・7万ヒット御礼・ブログ開設2周年を記念しまして…。
細やかながら、自分お祝い祭りです。
ガラケーユーザさまには、ちょっとだけ不親切なお話です。
申し訳ありません。
注!! このお話は単独ではわかりません!!
スタートは、ココ になります。
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目の前に並べられた、繊細な布地の山。
ふんわりとしたレースも、艶やかな光沢も…。
キョーコの心を擽るのに十分だったけれど…。
(あぁ…。一緒に行けばよかった…)
こんもりと山をなすそれの一角を摘みあげる。
何処までも繊細なレースで作られた、ベビードール。
儚げなピンクが、全体のデザインの繊細さを際立たせている。
「miss・ウッズと選んだんだ」
可愛いよね、と笑う蓮。
その顔には何の疚しさもない。
「これ…」
胸当ての部分が総レースで、身に纏えば胸の部分すべてが見えてしまうだろう。
胸下の切り返しの部分から伸びるシルクドレス部分には、深いスリットが入っていてお臍もお腹も丸見えだ。
「これも良いと思うんだよね」
蓮が取り上げたのは、真っ白のベビードール。
胸元にたっぷりと使われたギャザーがか、可愛らしさを添えている。
柔らかい素材のドレス部分は長くて、裾の部分に小さなスリット入っているだけのそれは抵抗なく着ることが出来そうだ。
「これが、セットなんだって」
山の中からもう一枚取り出したのは、下着の様だ。
「…これ…」
ベビードールとは反対に、極端に面積の小さなそれ。
両サイドのリボンが可愛らしい雰囲気を醸し出しているが、総レース仕立てのそれは何も守ってくれないだろう。
「…これも、ミューズと選んだんですか…？」
違うと言ってくれと、願いながら…。
目の前に吊るされているそれを、呆然と見つめた。
「そう。あ、下着のサイズが変わったみたいだって言ったら、是非アトリエに遊びにおいでって言ってたよ」
(あぁ…もう…)
一体どんな顔をして、彼女に合えばいいのか…。
(いっそ、他人と選んでくれていた方がよかったわ…)
ウッズは、蓮とキョーコの関係も知っている。
この下着の行く末も、容易に想像してしまうだろう。
そういう秘め事を、知り合いに推測されてしまう状況に追い込まれて…。
一体どんな顔をして、合えばいいのかキョーコは分からない。
深く項垂れたキョーコに、蓮は
「あれ？ 気に入らなかった？」
こういうのもあるんだけど…と、更に山の中から出てきたのはシェルピンクのワンピース。
さらっと涼しそうなそれは、もう少し前の季節なら大活躍しただろう。
「……もう…無駄遣いばっかり!!」
何処に怒りをぶつけていいのか分からず、柔らかな布の山を紙袋に突っ込んだ。
「…？ どれも必要だろう？」
「今までのがあるから、必要じゃありません!!」
最早八つ当たりだ。
「あの辺は痛んできてるから、取り替え時だよ？」
「別に、痛んでなんか…」
「引っ張ると解れるようになってきたし、レースが痛んでるのもあるだろう？ 思い切って、変えるといいと思うよ？」
至極まじめそう、大切な事のようにに言うが、
「痛ませてるの、蓮さんじゃないですか!!」
キョーコの怒りに油を注ぐ羽目に終わってしまった。
「まぁまぁ。旅行なんだからさ、こういう新しいもの持って行こうよ」
「向こうに御浴衣があるから大丈夫です!!」
完全にむくれてしまったキョーコ。
蓮はその機嫌を直すのに必死だ。
「可愛いし似合うと思ったんだよ…」
「知りません!!」
「可愛く着飾らせたいと思ったんだ…」
「どうして、ミューズに相談したんですかぁ!! 恥ずかしいじゃないですか!!」
「…ごめん…。キョーコの事誰よりもわかってくれそうな人、彼女しかいなくて…。琴南さんとかだと怒られそうだし…」
「…こんなの着ないと、どきどきしませんか…？」
旅行に当たって、こんなのを新調されてほんの少し傷ついたりもした。
もう興味がないとか、何も感じないのかとか…。
折角の記念の旅行なのに、何だか否定された様なそんな風にも思えてしまったのだ。
「……試してみる？」
すかさず、色悪に笑った男にキョーコの顔は、面白い位真っ赤になった。
「……旅行に行けなくなりそうだから、遠慮しておきます…」
「……じゃ、旅館で体感してもらう事にしようか」
「………遠慮、は、できないですよね…？」
「うん。疑われて悲しいので、きっりち、かっちり。俺の誠意を味わってもらいます」
にっこり笑った男の顔に、今度はキョーコが蓮を傷つけたのだと知る。
「……手加減だけは、お願いしますね…」
「キョーコ次第じゃない？」
「あぅ…」