アメンバ様700人突破・7万ヒット御礼・ブログ開設2周年を記念しまして…。
細やかながら、自分お祝い祭りです。
ガラケーユーザさまには、ちょっとだけ不親切なお話です。
申し訳ありません。
注!! このお話は単独ではわかりません!!
スタートは、ココ になります。
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ゆったりと間を取られたテーブル。
白いクロスのかかったそれには、キャンドルが揺らめいている。
ぽつんぽつんっと、道しるべのように庭に揺蕩っていた。
「蓮さん、連れてきてくださってありがとう」
向かい合って座って、運ばれてきた食前酒。
それに唇を付けながら、キョーコは改めて礼を言った。
もう旅行の日程は、残り少ない。
この島を出て、船は出発した港に向かう。
この甘くて自堕落な旅も終焉に向かっている。
「また来よう? 人目を気にせず、仲良くできるところってなかなかないから…」
日本では中々出来ないからと、蓮は低く笑った。
「今度は、もっと小さなスケールで旅しましょうね?」
「次は温泉とか…?」
蓮のマンションに置いたままになっている、キョーコが選んだ旅行のパンフレット。
次の旅行は、其処に行こうと蓮がいった。
「それも良いですね」
運ばれてきた料理に舌鼓を打ちながら、次の旅行についてあれこれ想像を膨らませる。
多忙を極める二人だから、中々難しいのは分かっているが…。
(今回の旅行は、すごく楽しかったんだもん)
蓮の新しい顔を知ったし、より仲良くなれたと思う。
次の旅行では、もっと仲良くなれる気がする。
緩やかな海風が、キョーコの髪を攫ってゆく。
それを直した時、ふわんっと頭に何かを掛けられた。
「え…?」
何なのかと首のあたりに垂れていたそれを、摘むと蜘蛛の糸の様な細い糸で編まれたレース細工。
テーブルの向こうから伸びあがった蓮が、キョーコに掛けてくれたようだった。
「…これ…?」
風よけにしては、繊細過ぎるデザイン。
こんなに複雑なデザインでは、日常生活で使えないだろう。
「プレゼント。これとセットで、受け取ってください」
蓮のシャツのポケットから出てきたのは、革の小袋。
握らされたそれと、蓮の顔を何度も往復して見つめてしまう。
「あけてみて」
促されるままにそろそろと開けた小袋の中は、闇に沈んで見えない。
ひっくり返すと、手の中に零れてきたのは星を写したかのようなきらめく指輪。
「これ…」
キョーコから零れる言葉は、こんな言葉ばかりだ。
「婚約してください。これはね…」
伸びあがったままだった蓮は、キョーコの頭に掛けたベールを摘んだ。
「結婚式の時に、身に着けてください」
「べーる…?」
「そう。マリアベールっていうんだって。花嫁さんの物だ」
「はなよめさん…」
「俺の花嫁さんになってくれる?」
蓮の言葉はキョーコの頭の中に、すんなり入って行かない。
「世界中を回ってさ、結婚式に必要なものを集めていこう」
「必要な物?」
「ドレスとか、グローブとか…。ヘッドドレスとアクセサリー、ドレス下着も必要だよね」
世界中を回って、二人で集めようという蓮の言葉はまさに夢のようだった。
「…ジュリママ…」
「ん?」
「ジュリママと探したかったぁ…」
ふぇぇっと、泣き出したキョーコの言葉はちょっとだけ蓮を傷つけた。
「それはさ、お色直し用にすればいいよ。純白のドレスは、俺と一緒に探してください。ね?」
ずれているベールを跳ね上げて、予行練習と囁いて…。
ちゅっとキスを贈った。
「家族になる準備を、ゆっくりしていこう?」
ここまで来るのも、相当のんびりだった。
これから先も、のんびり歩いても誰も怒るまい。
二人らしいペースだと、笑ってくれるだろう。
「ゆっくり、探しましょうね? でも…」
「ん?」
「こんなに豪華な旅行は、新婚旅行までお預けですよ?」
「了解。今回は、『婚約旅行』ってことで…。大目に見てね?」
今度はキョーコから、キスをくれた。
旅行に行くことで、一歩進んだ二人の関係。
それは、この洞窟ホテルで益々深くなった。
「婚約した事、社長にお話ししないといけませんね」
「……父さんと母さんにもね…」
世間から隔絶された船旅を終えた二人。
飛行機の中で、何処までの人に報告をするかを相談していた。
「モー子さんとか、千織さんにも話したいし…」
「…ね、キョーコ…。どうせなら、マスコミにも全部発表しようよ」
「婚約しましたって? そこまでする必要、ありますか?」
入籍の時だけでいいのでは? というキョーコに
「堂々と出歩くために、全部公表しようよ…」
「……社長に相談して、決めましょう…?」
何をするにも、愛の伝道師に相談してからの方がいい。
彼は二人の全てを見守ってくれたのだから…。
「仲良くなった姿、見てもらおうね?」
そうすれば、社長も喜ぶに違いない。
そして、もっともっと仲良くなる姿を…
「皆に見てもらいたいですね」
見守ってくれていた、皆に。
幸せになる過程を、見てほしいと切に願う。
「みんな、応援してくれるさ」
「だと、いいんですけど…」
「大丈夫。大丈夫」
キョーコの手を蓮が握り、するすると擦る。
「俺たちのペースで、のんびり歩けばいいんだよ」
「はい…」
初めての旅行は、こうして幕を閉じた。
関係を一歩進めて…
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馬鹿みたいな企画にお付き合いくださり、ありがとうございました!!
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