降臨-2- | 妄想★village跡地

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「リク魔人」の妄想宝物庫 』のseiさんよりお預かりした、お題です。

長らくお待たせしてしまい、申し訳ありません…。

魔人さんの書かれた一話の続きを、書いて行きたいと思います~

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それはまるで『羽化』

若しくは、『開花』


まるで何かを脱ぎ捨てるように、美しく艶やかになった彼女。

雪花をやり終えて、『後輩』に戻った彼女は激変していた。


「キョーコちゃん、何があったんだろうね?」


楽屋に置かれたテレビに映る、キョーコを見つめながらぽつりと呟いたのは社だ。

モニタの中で笑みを浮かべる彼女のは、以前になかった色香が滴っていた。


「誰かさんに、何かされたんじゃないかな? じゃないと、あんな色気は出ないよね~?」


にやにやと笑みを浮かべ、からかう気満々の社に蓮は苦笑を返した。


「…努めて紳士的に接してましたよ? 本当に、何があったんでしょうね?」


『雪花』の時は、こんな色香はなかったと思う。

どちらかと言えば、控えめで清楚な感じが強かったのに…。


(一体、どうしたんだ?)


悪戯な猫のように、瞳を細めたキョーコ。

大きく花弁を広げた、百合の様に美しく妖しい印象のそれを目の裏に焼き付けて。

次のCMに移ったテレビを、消した。



「あ!! 敦賀さん!! おはようございます」


「おはよう、最上さん。今日も元気だね」


「朝ごはん、ちゃんと食べてますから!! 社さんも、おはようございます」


姿を見ると、駆け寄ってきて丁寧なあいさつをしてくれるのは、変わらない。

社と楽しそうに会話をするキョーコを、少し離れたところで観察する。

身に着けている服も、変わらないようでどこか違う。

淡い色合いも、ふんわりと緩やかなデザインを好むのも、変わらないのに…。


(どこか、印象が違うのは…なんでだ…?)


いつからか纏う様になった、香水の所為か。

少しラメの強いものに化粧が変わったからか。


(…それもあるけど…。挿し色が違うのか…)


以前は淡い系統で纏められていた、衣類。

ところが今は、端々に挿されている色が変わったのだ。

薄い桃色のニットワンピース。

ひざ丈のそれは、今までの彼女らしい。

ショートブーツも淡いブラウンで前の彼女のまま。

けれどアクセントに巻いたベルトが、元々はスカーフか何かだったに違いない派手なもの。

身に着けているストッキングも、前の彼女とは違った。

細い足に絡みつく、花の模様。

今流行しているタトゥーを模した、ストッキングだ。

そんなものを好んで身に着ける様な、女性ではなかったはずなのに…。


蕾の時には清楚な花の様相だったのに、咲いているとびっくりする位艶かしい花弁を見せつける華。


それが今のキョーコだ。


(本当に、何があったんだ…?)


社と楽しそうに話をするキョーコを、一歩引いたところで見つめていた蓮を不意にキョーコが見た。


「そうだ、敦賀さん」


ぱっと綻んだ、その笑顔に心臓が跳ねあがってしまったのは、しょうがない事。

隠しきれなくなるほどの恋心を、この少女に懐いているのだから。


「あ、なに…?」


「教えてほしい事があって…」


少し恥じらいながら。

伏せられた視線と、もじもじと擦り合わされた細い指。

髪の間から覗く耳も、赤い。


「あの…、男の人への贈り物って…どんなものがいいですか?」


恥じらいながら、実に可憐な姿で。

開ききった花は、何処までも残酷な言葉を蓮に贈った。


「…え?」


「知り合いの方が、お誕生日なんです。お誕生会に呼ばれたんです。こういう時、お祝い持って行くのが普通なんですよね? 私良く分からなくて…」


何時、『誕生会』に招待してくれるような知り合いが出来たのか。

何故、そんなひどい事を自分に聞くのか。


頭が真っ白になった蓮は、咄嗟に反応できなかった。

そんな蓮をどう思ったのか。

キョーコは言葉を重ねる。


「パーティに持って行くお酒もいいかな? って思ったんですけど…。種類が良く分からないですし…。ファッションアイテムも、ちょっと選びづらくて…。敦賀さんなら、色々知っているので教えてもらえるんじゃないかなと思いまして…」


頼ってくれるのは嬉しい。

けれど、今度の頼みは甘い毒の様だ。

飲んでも、飲まなくても。

心をむしばむ、猛毒。

けれど、その甘さ故に愚かな男は…、手を出さずにはいられない。


「いい、よ…。俺の家に、雑誌とかカタログがあったはずだから。取りにおいで」


「本当ですか!? ありがとうございます!!」


ぺこんっと、下がった頭の角度も昔のままなのに。


(君は一体、誰なんだ…?)


蓮の目には、全く知らない人物に見えたのだ。



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こんな感じで、綴って行きます~


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