ゴミ弁連会長の梶山正三さんが書いた本「廃棄物紛争の上手な対処法」を見つけたので買ってみました。
読み始めたところですが、気になったところを少し紹介します。
---------以下引用--------
本書の目的と構成から
最終処分場、焼却施設等が自分の住居の近くに建設されようとしたり、廃棄物の不法投棄、野焼きによる悪臭に苦しんでいる人々が、まずどのような行動をすべきなのか。相手の対応によって更にどのような手段を取るべきなのか。このような問題に的確に答えることができる専門家や弁護士は少ない。
本書は、このような問題に悩んでいる人のための手引きないし道標となることを目的に書かれた。読者としては、ごみ紛争に直面している、あるいはこれから直面する地域住民の方々、弁護士等を想定している。しかし著者としては、ゴミ問題に直接関わりのない方々にも広く読んで頂きたいと思う。問題の深刻さと、それが「ゴミ」という一見狭い領域にとどまらず、日本の環境、経済、政治、資源、貿易などに深く関わる重要な問題として認識をもっていただきたいからである。
廃棄物問題の現状から
日本の廃棄物関係法令は基本的にはゴミの「後始末法」である。つまり、排出される量や質は当然の前提で、それ自体を変えることは考えないのである。なお「リサイクル」は排出された後の減量策であるから、排出以前の「発生抑制」とは似て非なるものとして厳に区別しなければならない。
ゴミ発生抑制は、生産と消費の抑制であるが、法的に歯止めはかけてこなかった国の政策は、大量生産・大量消費の見直しについて具体的な政策を採り得なかったのである。ゴミ問題が深刻化する中で、「生産・消費」を聖域にしつつ、国が採った政策は、「リサイクルによる減量」であった。廃棄物政策の中では三流の政策と言われるリサイクルが、あたかも、最善の政策のように宣伝された理由もここにある。
大量生産・大量消費が経済成長を志向する材・政・官の一致した利益であるとすれば、ゴミの発生抑制に歯止めをかけ得ない「垂れ流し」廃棄物政策からの転換されないことも理解できるのである。よく言われる個人の「ライフスタイル」以前に、生産者側の強い圧力が廃棄物問題解決を困難にしている。それを象徴するのが、ある著名な宣伝広告会社の「営業10訓」である
1.もっと消費させろ
2.捨てさせろ
3.無駄遣いさせろ
4.四季を忘れさせろ
5.蔵物をさせろ
6.コンビナートで使わせろ
7.きっかけを投じろ
8.流行遅れにさせろ
9.気安く買わせろ
10.混乱を作り出せ
砂漠の中に壺を埋めて、それをまた掘り出す。このように社会的には労力やエネルギー、資源の無駄遣いにすぎない行為であっても、それが経済成長をもたらすことは、ケインズが説いたところであった。「浪費の経済力」が今日の「ゴミの垂れ流し構造」を招いたのである。
---------引用おわり--------
廃棄物の定義は「汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの」です。気体は入りません。火力発電所や自動車などからは排ガスが放出されています。法律では廃棄物に該当しませんが廃棄物と言えると思います。
物質はリサイクルできてもエネルギーはリサイクルできません。再生可能エネルギーがありますが、太陽からのエネルギー入力があるから再生しているようにみえるだけです。
安倍総理は経済成長を訴えますが、ゴミ問題に経済成長は間違っているという点で梶山さんと私の考えは一致します。
私はこの本をアマゾンの中古本を買いました。(新品は高いので)
梶山さんには著作権料が入りませんが、リデュース・リユースにあたるので許してください。
法的な内容はもちろん、梶山さんは理学博士ということもあり技術的な内容も充実しています。
この本が出版されたのは平成16年で10年が経過しています。私の希望としては、この間に法令は改正されて変わっているし、その後の戦いも知りたいので、最新の法令や経験に基づいて改訂して頂けたらと思います。