映画『キングスマン』鑑賞。
監督は『キック・アス』のマシュー・ヴォーン。『キック・アス』がスーパーヒーロー映画のオマージュであり、アンチテーゼなら、この映画はスパイ映画のマシュー・ヴォーン的オマージュ&アンチテーゼ。
映画の中のセリフで、「昔よく見た映画ならここではこういうセリフ」と言わせているところが、過去の作品に対するオマージュと最近の映画に対するアンチテーゼを感じさせる。
最近のスパイ物で自分的には大ヒットだったのが『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』。MIは多くの人に安心して勧められる痛快さだが、個人的にはこちらの方がはまった。MIのレビューでも、シリアスなアクションにユーモアを盛り込むことで成功していると書いたが、こちらは完全にコメディ。笑いのツボは人それぞれなので、これがはまるかどうかは人によるところだが、ティム・バートンの『マーズ・アタック!』的なシニカルな笑いが自分的にはどんぴしゃだった。人がこれだけ死んで、なおかつハッピーになれる映画というのも珍しい。
私がよく使うアナロジーで、「ドリフのコントを今の芸人がやっても面白くない」というのがある。この映画でも、かつての007を彷彿とさせるガジェットが一つのキモなのだが、やはり現代的な味付けが大胆にされている。それがアクションの本物感。
映画を観るまでは、アクションのできない役者にトレーニングをしてまでやる意味があるのか分からなかった。観た後は、やはりアクションを売り物にしている役者では、コリン・ファースのノーブル感やクレバー感は出ないだろうと納得。そしてそのアクションも本格的だった。彼が教会で何人もの人を殺すシーンのアクションは映像効果も含めてすごい。さすがガイ・リッチーの映画のプロデュースをやってきたマシュー・ヴォーンの本領発揮といったところ。
そしてコリン・ファースと同じだけの重要な役をするタロン・エガートンのアクションも見どころあり。彼が見せるパルクールはこの新人アクターのポテンシャルを感じさせた。
ということで、大当たりになるかどうかは個人の趣味だが、アクション+コメディにアレルギーがなければ、観る価値ありの作品。
★★★★★ (5/10)
『キングスマン』予告編