沙世と真帆は城址公園にいました。
「山根君来るかなあ。いまだにこれは本当にあったことなんだろうか考えちゃうわ。
昨日呼子をもらったんだけどこれ吹いてみようかなあ。」
「呼子?」
「うん、いざとなったらこれ吹けば来るよって。真帆ちゃんがいるから警戒してるのかもしれないしね。」
沙世は呼子を拭きました。
「何も聞こえないじゃない。」
「ううん、これは人間の耳には聞こえないのよ。三万サイクルなの、人間の耳には聞こえないのよ。」
沙世はちょっと得意げだった。
風邪がさわさわ♪、木の葉がさわさわ♪
山根君が昨日と同じ木の枝のところに現れました。
「やあ沙世ちゃん、真帆ちゃんも一緒だね待ってたよ。」
「ほんとだ山根君だ、でもなんで私が来るの分かっていたのよ。」
「真帆ちゃんは沙世ちゃんほどじゃないけど僕と波長が似ているんだ。僕の方はかなり感じられるんだけど真帆ちゃんはまだ僕の気配を感じられないんだよ。だから沙世ちゃんが真帆ちゃんと来るの分かったんだよ。」
「私より沙世ちゃんとねえ、、、、。」
「ねえ山根君、それって真帆ちゃんのスマホに昨日の私と山根君が写っていたんだけどそれと関係あるのかなあ?」
山根君はひらりと木の枝から舞い降り、真帆は山根君に昨日の写メを見せました。
「うん関係あるよ。僕と真帆ちゃんは同じ祖先なんだ、だから僕や沙世ちゃんと同じように見えるんだよ。たぶんまだ自分の力じゃ見えないけどスマホのパワーを利用して見えたんだと思う。」
「良かった、私山根君や真帆ちゃんと同じなんだ。」
真帆も幼いころはよく山根君とも遊んだのです。でも山根君が病気がちで休むようになり、紗世と空想ごっこをするようになったので遊ばなくなったのです。気の強い真帆でしたが、おとなしくて意地の悪いことも言わないう山根君と本当は遊びたかったのですね。
「そうそう山根君、このごろね真帆ちゃんのスマホには他にも変なもの映るんだって、山根君に会えばその理由が分かるかもしれないってそれで来たのよ。」
山根君の顔が変りました。
「ちょっと見せて。」
真帆は得体のしゃれないものが写っている写メを山根君に見せました。
「黒龍だ!」
「え!それって昨日話してた黒岩、黒岩龍之臣!」
「何それ?時代劇?歌舞伎?」
沙世は昨日山根君から聞いたお話しを伝えました。
昔お城に敵対してた黒岩龍之臣が現代によみがえって町長選に黒臣氏として立候補していること。しかも黒臣氏は黒龍の化身で白龍町を足掛かりにしてこの世を支配しようとしている事などを話ししました。
「ぼやけているけどこれは黒龍だよ。もうこんなにあちこち出ていたんだ!」
「それでこれが昨日撮った写真。」
「大変だ、この写真にも黒龍が写っているよ。」
「どこ?」
「ほらここ。」
山根君が指差す方向に黒い龍の形が浮き上がりました。
「僕と大天狗様は黒龍が気がつかぬうちに対策を練ろうと思っていたんだけど、もう僕らの存在を知られていたんだ。」
「どうしたらいいの?」
「すぐに大天狗様に知らせる。」
「でも黒龍ってどんなものなの?」
「この町は白龍に守られている、それを倒そうとしているのが黒龍だよ。昔の戦も黒龍が人に化けて白龍城を倒そうとしたんだよ。ほらこんな形しているよ。」
そういうと山根君は懐から鏡を取り出しました。
「天狗の鏡だよ、この鏡に見たいものが映るよ。」
鏡を差し出すとそこには黒い龍が現れました。
「キヤ―!」
「大丈夫これは事物じゃないし、大きく見せることもできるよ。」
すると今度は1mくらいの大きさに見えました。」
「うわ―――3D映像!VRみたい!」
真帆はなんだか喜んでますが、、。
ドタドタドタ、、、どてーん!!
二人の高校生が転がってきました。
黒武と城寅の二人です。土手の植え込み隠れていたのですが、黒龍の姿を見て驚いて落ちてしまったのです。
烏天狗① 烏天狗② 烏天狗③ 烏天狗④ 烏天狗⑤ 烏天狗⑥ 烏天狗⑦ 烏天狗⑧
烏天狗⑨ 烏天狗⑩ 烏天狗⑪ 烏天狗⑫ 烏天狗⑬ 烏天狗⑭ 烏天狗⑮ 烏天狗⑯
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
言葉遊びと絵本(大人の童話っぽいです)、を出しました
右上のお気に入りで追加していただけると嬉しいです
ふつつか者ですが、応援よろしくお願いします。
twitter @tetsuwanamano RT歓迎
Facebook 天野幸道 yukimichi.amano
アメブロ「言葉の遊び場」 http://ameblo.jp/tetsuwann-amano2010/
言葉遊び、ショート、SF etc
YAHOO ブログ 「言葉の癒し場」 https://blogs.yahoo.co.jp/mighty_amano_2007
小説、俳句、川柳、短歌、詩、イラスト、絵
ネットでは、鉄腕アマノか天野幸道で出てきます