中国の「全国大学統一入試」である通称「高考(gaokao)」。大学側は不正防止のために900万人以上いる受験生をボディチェックするそうで、中には発信機付きのブラジャーが見つかったり、遅刻で試験会場に入れなかった受験生が道路に飛び出して自殺したり、暴動まで起こる殺気立った状態は中国の学歴競争社会の凄まじさを示すものです。
Riot after Chinese teachers try to stop pupils cheating
米英の大学で勉強している30万人の中国人留学生は、そんな過酷な中国の受験システムより海外での教育を選ぶことのできた裕福層。彼らの中で「中国の受験戦争なんかに比べたらイギリスのAレベル試験の方が遥かにマシ」という考えが急速に広まってきている様なのです。2013年は中国国内で前年比18%増の2万以上のAレベルの申し込みがあったとか。
Rise in Chinese students shunning state exams for A-levels
中国人の海外留学熱というのは国内の異常な受験戦争が背景にあり、そこに商機を見い出したケンブリッジの教育機関が北京と上海にベンチャー系スクール
を建てています。これは海外駐在者向けのインターナショナルスクールではなく、それまで中国で勉強した16歳を対象にした6thフォームの学校です。最初から英米の大学進学が目的なので早くに英語圏のエッセイ型の勉強法に慣れ、知識偏重のギスギスした国内の受験競争にさらされずにすむのです。
ケンブリッジ大学と言えば、それと直接関係があるかわかりませんが昨年 中国から出資者不明の約7億円の寄付金を受け取っており、
LSEとリビア・北朝鮮の関係
に似た怪しさ を漂よわせています…
イギリスのAレベル試験は国際バカロレア試験に比べ得意科目だけに絞れるのが特徴で、アジア系学生が得意とする理系科目の勉強だけでトップ大学進学が可能。「Aレベルは有名大学の理系学部への近道」という事に中国人が気づき始めたのです。アメリカの大学へ行きたければSAT試験を足せばそのままアメリカの大学へ志願することもできます。
日本でIBはハーバードを含む世界の大学への万能のパスポートのように言われてますが、結局アメリカの大学へ行くにはSATも必要で2重の負担になることが意外に知られていません。IBは万能のパスポートではなく、数ある大学資格試験のひとつに過ぎないのです。強烈な受験戦争のある中国では「高考」の代わりになるような有利な資格としてAレベル取得が戦略的に注目されているということなのです。
英米の有名大学進学の実績がほしいならIBよりAレベルの方が効率的だというアピール、日本のブリティッシュカウンシルやブリティッシュスクールはもっとやるべきだと思うのですけど…