先週「来週の展望(2016/1/12~)」で、今週は世界の株価を占う上で重要な週となりそうと書きましたが、どうも値動きは良くありません。
日経平均株価は来週月曜にも防衛ラインと考えられる16600円を割り込む可能性があります。
ここを割り込むと、アベノミクス以降上昇を続けてきた株価は、このまま上昇を続けるより、昨年でピークアウトした可能性の方高くなります。
一体何が起きているのでしょうか?

本当にチャイナショックなのか?


以下は上海総合指数の長期チャートです。

Shanghai-LT


2007年と2015年に大きな山があります。
何か心電図のような形で、先進国ではあまり見ない波形です。
これは外国資本が大挙して押し寄せ、一斉に去っていったことを表しています。

2007年のブームは、中国のGDPがアメリカを抜いて世界一になるという予測が出された頃と一致します。
確か2004年か2005年頃、ゴールドマン・サックスが2030年に中国が米国を抜くという予測を出して話題になった記憶があります。その後、同様の予測がいろいろなところから出てくるようになり、実際に2014年には購買力平価GDPで中国が一位となりました。
http://ecodb.net/ranking/imf_pppgdp.html

また2015年のブームは、AIIBバブルだったのではないかと思います。
上海市場の場合、リーマン・ショックからのリバウンドは2009年7月で早くも天井を打ち、2014年まで一貫して右肩下がりでした。
その後2014年に購買力平価GDPで中国が世界一となり、AIIB構想を発表すると、途端に世界中の資本が集まるようになり、米利上げとともに去っていった。
そんなところではないかと思います。

数ヶ月-数年で繰り返される極端なアップダウン。
実態は短期海外資本の大規模な流入と流出であり、世界同時株安が中国によって引き起こされたわけではないように思います。
実際、上海総合指数のピークは5月ですが、ドイツDAX指数のピークはそれより早く、4月に天井となっています。

量的緩和の終焉

以下はDAX指数の2年チャートです。

DAX-2Y

1/22にECBが量的緩和に踏み切り、4/15のECBの頃を頂点として下落に転じ、9月の下落時には1/22の量的緩和開始以前の水準に戻ってしまった。
つまりECBの量的緩和は、マーケットによって一旦無効と判断されたことになります。

4/15のECBといえばこれですね。

0415ECB

ドラギ総裁の会見中に抗議活動家の女性が乱入した事件がありました。
女性のオシリとドラギ総裁の怯えた表情が、なんとも言えないスバラシイ構図になってます笑
最初見た時は何かのコラだろうと思ってました。

この女性の主張は「ECBの独裁を許すな!」ということだったようですが、この日のECBではギリシャ向けELAの増額が決まりました。
しかしこれはなんの解決にもならないことは明らかです。
以前「DAX指数9000到達とユーロ問題」でも書きましたが、ギリシャの財政破綻は構造問題なので、ギリシャがユーロ圏に留まる限り財政問題が解消する見込みはありません。

またこの日の会見では、ECBが予定している金利水準では国債の買い入れが予定通り進まないのではないか?との質問が出ましたが、ドラギ総裁はその懸念はないと答えています。
そう答えるしかないのでしょうが、実際のところ日本と同じく、買える国債がもうそれほど残っていないのです。
それほど買ってもデフレ懸念は消えず、投資も消費も期待したほど伸びてはいません。

ギリシャ問題も量的緩和も、ECBに次の手がないことが明らかになったため、DAXは下げ始めたのかもしれません。

次は日本か?

日本の株価も現在下落中で、バズーカ2ハロウイン緩和の頃の株価に戻る動きのようにも見えます。
実際今回の下落の起点となっているのは昨年末の黒田ピストル(2015/12/18 黒田ピストルで日本市場は乱高下)であり、日銀も意外と先がないなと見透かされたのかもしれません。

technoteはリフレ懐疑派ですので、話半分で聞いていただければと思いますが、2009年のアメリカQE1をスタート地点とする長い道のりを、世界はきれいに逆方向に戻りつつあるのかもしれないなという気もします。

一方で強く心に引っかかってるのが、TOPIXが未だに2007年の高値を超えていないという事実です。

TOPIX-LT
http://kabutan.jp/stock/chart?code=0010

平成バブル崩壊以降、安値は切り下がっていますが、高値も切り上がっているのです。
金融相場に特有のボラタイルな値動きです。
過去最大の異次元金融緩和を行ったからには、2007年の高値は当然クリアすべきポイントのはずです。

もし超えられなければ、日本経済に別の大きな何かが起こり初めているのかもしれません。


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