「夫婦茶碗」意外と切なさが残る読後感 | 本の話がメインのつもり

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気まぐれに選んだ本を読みながら、何となく見つけたジャンクな菓子ばかり食べます。

夫婦茶碗 (新潮文庫)/町田 康

むちゃくちゃ;ぎゃーーぎゃーーぎゃーー /5
切ない:505050 /5


町田康さんの
「夫婦茶碗」を読みました。


『夫婦茶碗』
 金がないので妻と一緒におし黙っていた。食べるものもない。
 そんなとき、昔のバンド仲間が住宅の内装の仕事を紹介
 してくれ、徐々にお金がたまり、妻に頼まれ冷蔵庫を買った。

『人間の屑』
 東京での生活に失敗し、祖母の旅館に逃げ込んで入り浸った。
 昼から酒を飲み、猫の観察などをして過ごす日々だったが、
 バンド時代の自分のファンだという女性たちがやってきて……。


町田作品2冊目です。
くっすん大黒」もそうだったんですが、
本当に主人公がむちゃくちゃしてて
面白いですね。

何やってるんだろうこの人、と。

個人的にツボにはまりまくったのが
『人間の屑』で主人公が
庭に出入りする猫たちの
家系図を妄想で作り上げるシーンです。

チーヤ(勝手につけた猫の名前)一族は
由緒正しい貴族階級だ……とか
毛の色や立ち居振る舞いで
勝手に兄だ、息子だ、第二夫人だと系図を妄想し、
その盛衰を見守っているんですよ。
その作り込みっぷりが普通じゃなくって
笑いが止まりませんでした。


両作とも雰囲気は近く、
主人公が短慮に短慮を重ね
どんどん深みに
はまってしまうストーリーなのですが
何だか最後はちょっと切なかったです。

行くとこまでいって
どうしようもなくなってしまう……。

”笑い”の後に”苦み”ですかね。
大人の飲み物のような作品でした。
町田作品、いいですね。
もっと読んでみます。