「…!」
フェイトが跳ねる。
「おっと!?」
雷光の如き速さで、杏子に襲いかかった。
「フン、スピードも…なかなか…!」
バルディッシュの切っ先を多節棍を翳して受け止める。
「けど!」
杏子は不意に多節棍を分離させた。前に押し出していた力の矛先を失い、フェイトは前のめりになる。
「うっ…!?」
「おらよっ!」
杏子の強烈なミドルキック。
「くはっ!」
蹴りはフェイトの脇腹にめり込み、小さな体を吹き飛ばす。
「まーだまだ!」
杏子は槍を鎖分銅に変化させ、フェイトに向かって飛ばす。
「あっ…!?」
鎖はフェイトの右足首に絡まった。
「せー…のっ!」
1回転、2回転と振り回し勢いをつける。
「おらあああああああああああああッ!!」
5回転程した所で、杏子はフェイトをビルの壁に叩きつけた。
「へっ、ちいと本気出し過ぎちまったかな」
「撃ち抜け――」
前面に発生させた金色の魔法陣が、フェイトの姿を隠す粉塵を霧散させる。
「!?」
「豪雷ッ!」
フェイトの、雷を伴う遠距離直射魔法。
「サンダースマッシャーッ!!」
杏子に伸びる雷
「おっとッ!?」
飛び上がり、照射される攻撃を避わす。
「ブリッツアクションッ!」
「何ッ!?」
高速移動魔法でフェイトが一気に杏子との距離を詰める。サンダースマッシャーは囮――。
「衝撃打!」
バルディッシュによる直接打撃攻撃。
「ぐあッ…!?」