■己高閣
昭和38年滋賀県で初めて国庫の補助で建てられた文化財収蔵庫です。己高山鶏足寺を始めとした諸寺の仏様が安置されています。
★己高山鶏足寺
奈良時代行基や泰澄が近江の国の鬼門にあたる己高山に十一面観音をお祀りするためにお堂を建てたのに始まるとされています。一時荒廃しますが、伝教大師最澄が再興しました。
世話役の方が数人いらっしゃり、順番に丁寧に説明してくださいます。
●十一面観音菩薩【重文】
己高閣・世代閣で購入したポストカードより
鶏足寺御本尊の十一面観音様。派手さがなく、シンプルでスッキリした雰囲気です。
●七仏薬師如来
己高閣・世代閣で購入したポストカードより
大型の薬師如来様の光背に小さめの7躯の薬師如来様がおわす七仏薬師様は今迄何度も拝していますが、7躯の薬師如来様が並んでいるのは初めてです。おひとりおひとりお顔が異なっていて興味深いです。
九体阿弥陀様といい、七仏薬師様といい、やはり昔の人はたくさんの仏様をお祀りすることで、大きな御利益があると考えたのでしょうか・・・。
●毘沙門天
●不動明王
十一面観音様の両脇侍。十一面観音様を中尊として左右に毘沙門天様と不動明王様を配するこの三尊形式は正式な形式とされています。
●日光菩薩・月光菩薩
●兜跋毘沙門天
■世代閣
世代山戸岩寺の寺宝等保存のため、区民の浄財のみによって建てられました。
★世代山戸岩寺
奈良時代行基が庶民に仏教を広めるためにこの地を訪れ、自ら薬師如来像を彫ってお祀りしたのに始まるとされています。その後、荒廃しますが、鶏足寺同様、伝教大師最澄が再建しました。更に弘法大師空海が大日如来や魚籃観音を、恵心僧都が阿弥陀如来をお祀りしたと言われています。すごいですね。行基、最澄、空海、恵心僧都と言えば、仏教界のスーパースターの面々ですからね。
●薬師如来【重文】
己高閣・世代閣で購入したポストカードより
十一面観音様のスリムな感じとは異なり、比較的どっしりとした立像の薬師如来様です。奈良神護寺の国宝薬師如来様が薬師如来立像としては超有名ですが、やはりどっしりとした体躯です。薬師如来様は立像にしても坐像にしてもどっしりとふくよかな体躯の方が多いです。これは、栄養が行き届いて健康的ということを表しているのでしょうか・・・?
●日光菩薩・月光菩薩
●十二神将
●魚籃観音
己高閣・世代閣で購入したポストカードより
弘法大師空海がお祀りしたと伝えられる珍しい仏様。明らかに女性をモデルとしているように感じます。装飾がほとんどなく、衣もシンプル。魚の籠を持っています。籠から魚の尻尾が飛び出ている表現が妙にリアルです。とても珍しい観音様だと思います。
●十社権現神像
数年前まで完全秘仏だった十社権現様が、ズラッと並んでいた。すごい!これぞ、『神仏習合』『本地垂迹』の象徴というべきか・・・。驚くべき仏様いや神様の像だ!
■大日堂
●胎蔵界大日如来
●阿弥陀如来
●日光菩薩・月光菩薩
●毘沙門天
建物の表の格子の間から拝します。お堂は大変質素ですが、いらっしゃる仏様は立派です。
■薬師堂
●薬師如来
こちらも格子の間から拝しました。赤銅色の薬師様。珍しい色です。薬壺は両手で身体の真ん中で持っています。この形も比較的珍しいのではないでしょうか・・・。
■與志漏神社
己高閣・世代閣は、與志漏神社の境内に建てられています。まさに神仏習合です。
己高閣・世代閣には、大変貴重な素晴らしい仏様が大勢いらっしゃいました。平安時代の仏様が多いですが、中には世代閣の薬師様のように奈良時代の方もいらっしゃいます。こちらの薬師様は国宝でも全く不思議ではないと思います。
非常に見応えのある場所でした。
★御朱印