【映画】「幕が上がる」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

そーす太郎の映画感想文

しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

 

 


幕が上がる
鑑賞日: 2015年2月28日(土)
映画館: TOHOシネマズ日本橋

 

 

 

 

 

 

 




製作年/国: 2015年/日本
上映時間: 119分
監督: 本広克行
原作: 平田オリザ
脚本: 喜安浩平
出演: 百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏、黒木華、ムロツヨシ、清水ミチコ、志賀廣太郎
あらすじ: 少女たちが幕を上げます。

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好き度: ★★★☆☆ 3.5/5.0点



今しかできないことを、今するということ。



僕の大好きな小説(誇張なしで青春小説でベストワン)、演劇の巨匠平田オリザ著『幕が上がる』をよりによって本広監督がやるということで、不安だらけだったけど、脚本は喜安さんだし、ももクロ主演ってことでアイドル映画として楽しみにしてたんで、初日に観ました。


ほんっと最高の小説です!

 

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基本的には好きな映画!だけどなんか惜しい映画だったなぁとか、思わなくもないけど、でも好き!!(*´-`)って感じの感想です。

演劇っていいね!

 

 

 

 


まず良かったのは『アイドル映画』として、素晴らしかったということ。確実に今のももクロでしか撮れない、そしてアイドルの刹那的な輝きをちゃんと納めてるという意味でとっても意味のある映画ちゃんとなってる。題材もピッタリで眩しいほどのザ・青春とティーンのモラトリアム感、そしてチーム感。グループアイドルが多い今こそとってほしかったアイドル映画であることは間違いないし、大傑作の原作をうまくシンプルに『ももクロ主演の映画』としてまとめた喜安さんの脚本はとてもよかったと思います。

同性感100点!

 


ただ、演出が邪魔してるところも多くて残念なところもちょいちょい目立ったのがなぁーってのがあって。。まずなんといっても部長である百田かなこのモノローグの多さ。これがいちばん残念だった。原作がそうだからっていうのもあるんだけど、さすがに映画でそのままそれをやられちゃうと説明過剰で安っぽく感じちゃう。アイドルの未完成な演技も含めて、そこを信じてとってこそアイドル映画だと思うんだけど、監督がまったくそこに自身がないのか、大事なシーンでモノローグを被せてごまかされてる感じがして不快でした。特に、吉岡先生が肖像画のお手本を見せるシーン、あと地区大会結果発表のところ、この2か所のモノローグはあきらかに邪魔。

田園と自転車って100点だよね

 

 



あと部員それぞれが抱えるトラウマやイップスを、それぞれが乗り越えるという成長もちゃんとなされていないのが気になりました。原作からの改変点として、中西さんをわざわざ有安さんにあてがきして滑舌の問題をトラウマとして出してきてるのにそこを中西さん自身が乗り越えるという成長もないし、後輩の明美ちゃん、そしてなにより原作の見せ場、演出家としての部長百田の成長がうすいのが残念でした。明美ちゃんはトラウマと克服が順序が逆じゃね?って思って問題も解決されないままだし、あと一番気になったのは原作にあって映画にない決定的な部分として全体的に特訓描写、そして勝つための工夫のえがき込みが足りないというのが大きいと思うんですよね。だから地区大会の結果発表場面に納得できず、ご都合主義にどうしても感じてしまうんですよね。原作ではここのなぜ突破できたかのロジックがちゃんとあるからミスっても突破できることに納得できたんだけど。。

あと、演出家としての部長の成長は小説では後半のメインどころだけど、ここはぜったいほしいところだったなぁ。勝つためになにが必要で、また自分たちのやりたい演劇とはなんなのか、審査の傾向と自分たちのやりたい演劇とのバランスの葛藤、あとは(主に演出面における)吉岡先生からの自立、もっと描きこんでほしかったな~なんて思うのはよくばりかな…。まぁ今言ってきたのは演劇青春映画として、であってアイドル映画としてはこのバランスでいいのかもね。

演出面の葛藤がまったく描かれないのが残念!

 


あと、どうして映画で観るムロツヨシはこんなにもいつも不快なのか。いちいちリアリティラインが下がって不快だし、気の効いた小ネタもあったけど、ノイズになってるところも多かったです。

だけど、とにかく演劇部、そしてさすがの黒木華はとにかく魅力的!!俺の考える吉岡先生とピッタリハマった吉岡先生で、吉岡先生としか思えない、完璧な吉岡先生でした。。

このシーンの百田かなこは100点!!

 



撮影もいいし、ロケーションも最高。原作との変更点として部員を女子だけにしたこともアイドル映画としてはプラスに働いていてとてもよかったと思う。同性感炸裂というか、百田×有安のフードコートでのシーン、百田×佐々木の教室での個人練習のシーン、そして百田×玉井のベッドでのシーン。ほんとアイドル映画としてどうするべきかわかってんな~って思うんですよね。いずれのシーンもあわや!と思わせるドキドキ感がありました。女になりたいと思ったもんね。こういうところはほんと魅力的なんですよね。

後半の見せ場の百田かなこのなが台詞は最高で、ちょっともらい泣きした。「不安感?」っていうセリフすげぇいいし、あと序盤の部長が吉岡先生を口説くところの百田かなこのかわいさといったらないですよ。最高だな百田かなこ!

そして、わかってるなぁーとどうしても言いたい大林版時かけオマージュともいえるエンドロール、そして最高のタイミングで『走れ!』がかかってタイトル、というラストは素晴らしかったです。

超ネタバレだけど貼っときますw TIFですな。


とにかく、最高の材料だらけだったので監督が本広さんじゃなければもっと良くなったはず…なんてことも思ったりもしたけど、本広作品の中では間違いなく最高傑作だとも思うw まぁいろいろ書いたけど、総じて最高でした!絶対見た方がいいと思われます!アイドル映画はリアルタイムで観ることにこそ意味があるものだしね!楽しかったです!
 

 

 

 

 

 





おわり



想田監督作。素晴らしいので合わせて是非。

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原作、必読!素晴らしいです。

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