「天才スピヴェット」「ショート・ターム」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。





ヒュートラ渋谷で「天才スピヴェット」と「ショート・ターム」を2本立てで観てきましたよ~。2本一気にメモ程度に感想を投下しておきます~。






天才スピヴェット
11月26日(水) 18:40~ ヒューマントラストシネマ渋谷




好き度: ★★★☆☆ 3/5点


そろそろドロッドロのジュネも帰ってきてほしい感


ジャン・ピエール・ジュネ監督最新作「天才スピヴェット」観てきましたよ~。松江監督が3Dでぜったいみたほうがいいとどこかしらで書いていたのを覚えていたので3Dを選択。おもしろかった!…けど、予想よりもわりとあっさりとしてたかなぁという感じでしたね~。

「この映画、絵本みたい!」なんてことをよく言いますが、実際に飛び出す絵本が出てきてそこから物語が始まる映画でした。3Dで観たんですが、けっこう効果的に使われてました。この映画、基本的にスピヴェットくんの主観で撮られているので、すごくファンタジックに誇張されていて、その辺の映像はすごくおもしろかったし、3Dも効果的でしたよ~。

スピヴェットの家族たち。


天才スピヴェットという題名通り、スピヴェットは天才で、わずか10才で永久機関を発明しまして、それが権威ある賞を受賞したということで、ひとり授賞式に向かうロードムービーになっております。父親はカウボーイ、母親は昆虫博士という両親。姉と双子の弟がいてその双子の弟が銃の事故で死んじゃうというところからスタート。父親はマッチョな西部の男なので文化系の兄よりも活発な弟のほうがお気に入り(だと思い込んでいる)という、兄弟もののテンプレ的な描写も、とにかくこの子役たちがすげぇ魅力的なのでカワイイ子役パワーでグイグイ魅せられました。というか基本このお話、予告から想像できる範囲を越えてくるものは正直なくて、想像通りに進んでいくのでお話的なビックリは無くて正直そこは残念なんですが、でもとにかくこの子役の演技とくにスピヴェットの魅力でお話を引っ張っていけてましたね~。

「カワイイ子供」というのは最強の武器ですな。


ジャン・ピエール・ジュネ監督作にしてはとっても「優しい」映画だと思いましたし、独特の露悪的な描写とかもあんまりなくてちょっとそこも残念だったかなぁと。ぶっちゃけ、またバイオレントなジュネ作品が観たいなぁというのが本音だったりしますが、、でもやはりしっかりと見せ場があってビジュアルも楽しくて、そこはやはりさすがですね。僕は総じて、ふつうという感じでした~。





ショート・ターム
11月26日(土) 21:30~ ヒューマントラストシネマ渋谷




好き度: ★★★★☆ /5点


そばに誰かがいるということ


すごい評判がいいとのことで、スピヴェットの後にふらっと入りましたが、すごく良い映画でしたよ!10代の少年少女を対象とした短期保護施設が舞台。そこで働く職員と少年少女たちの姿を寄り添うような優しいカメラでとらえていた印象でしたよ~。基本的に子供たちを見守る職員たちを中心に描いていました。

主演のブリー・ラーソン とってもよかったです。



この映画、施設は違えど、一番はじめに思い出したのは日本のドキュメンタリー「隣る人」でした。僕は今年やっと見ることができましたがこちらもすごい映画でしたよね。 このショートタームの職員たちは施設の外に出た子供たちに触れることができなかったり、またカウンセラーとは違うので将来の方向性に関してとかに口を出すこともできません。その役目はただ「寄り添う」ということです。このただ、寄り添う、隣にいる、文字通り隣る人になるということの重要性というか、隣にいる人だからこそ気づくこと、わかりあえることというのがあって、やっぱりただ隣にいるということがいかに大事か、改めて思わされました。

新人職員のさりげない成長もよかったなぁ~



またこの映画でとても重要なのは、ショートタームの職員たちも過去に親と暮らせない事情があったりで施設で育ったという設定です。主演のブリー・ラーソンは父親から虐待を受けていた過去があり妊娠もさせられたという酷い過去がありました。そして同僚であり恋人であるメイソンとの間に子供を授かります…が、やはり過去のトラウマから子供を産み育てるという決断ができない、というドラマも加わってきます。このボーイフレンドのメイソンがほんとにぐう聖としか言えない超いい男で、男である僕も惚れるレベルです。この2人の成長もすごく丁寧に描かれていてとってもよかったです。

幸せになってほしい!



子供たちの演技もとてもよかったです。僕は特にヒップホップをやってる黒人の男の子がはじめてラップをメイソンに披露するというシーンにとってもグッときました。その後その男の子にはいろいろと起こるんですが、でもラストでいろいろと回収しつつ、またエンドロールでラップが流れるんですがそれにはとても優しさを感じました。できすぎだ!っと社会福祉系の勉強をしている知人は言ってましたがw 映画の中でくらい…と思わざるを得ないくらいには、とにかくみんな幸せになってくれ!と思いました。

ポスターにもなってるラストシーンもすごくよかったなぁ。

この子もほんと…すごい演技のつるべ打ちでした。



この映画を観た、ジェニファー・ローレンスが監督をフックアップし、自身の主演作での監督が決定したとのこと。どんな映画になるのかしら、とても楽しみにしております。良い映画でした。


おわり




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