「隣る人」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。





隣る人
3月18日(火) 10:30~ ポレポレ東中野




好き度: ★★★★★ /5点



「隣る人」であり、「隣る人」になるであろうみんなにみてほしい



宇多丸さんがずっと推してたり、Twitter上でも大評判をずっと聞いていましたが、見る機会を逃していて公開していたところにポレポレ東中野のチラシで「再々上映が決定!」というのを発見しまして、「ありがとう!ヽ(´▽`)/」という感謝の気持ちで劇場に行ってきました。

素晴らしい映画でした。ほんとうに観てよかったです!

光の子どもの家という児童養護施設のドキュメンタリーで、手法としては想田監督の観察映画シリーズにとても近いと思いました。この施設は子供それぞれに文字通り親代わりのように担当の『隣る人』が付くという施設で、子供が大人になるうえで、そばに寄り添ってくれる『隣る人』が必要なはずであるという考え方で、その施設の様子をずっと追っています。そのそばに寄り添ってくれる人は、たとえ親でなくても他人であっても愛情を注いでくれて見守ってくれて帰って来れる場所・人がそこにあるということがほんとうに大事なんだなぁと思いました。劇中で「軸になる人」という言葉もありましたが、僕もそんな『隣る人』のおかげで今があるんだなぁといろんなことで頭がいっぱいになる映画で超泣いたことも含めて頭が痛くなりました。。

そんな隣る人という理論がほんとうにそのとおりなんだなぁとわかるくらい子供達と保育者の方々との関係がすげぇ微笑ましくって…そしてその隣る人というシステムがうまくいってる分仕方なくやってくる担当者交代の瞬間=親との別れの瞬間がすげぇ残酷で、大人目線では人事異動ですが、子供にとっては親が変わる大事件で…泣き叫ぶんですよねやっぱり。



マイカちゃんという女の子と担当だったマキノさんの別れのシーン。もう…ちょう泣いちゃいましたよ。。しかも、この人事異動が子供にどういう影響がでるのかっていうのももちろん保育者のマキノさんも知ってて、「もし次の担当者とうまくいかなかったら、私の子供にして育てる」とまで言っててその保育者の覚悟にまた泣いてしまいましたよ…

そして、むっちゃんというまぁこの映画の主役級の女の子がいて、この子がほんとに愛らしくって、初めは撮影スタッフに「何撮ってんだよ!ヘンタイ!」と行ったり超口が悪い女の子だと思ってたら、この別れの様子を見ていたむっちゃんはその夜、自分の担当者への思いをノートに「大好き大好き大好き…」と書きまくってて、自分の隣る人もどこかに行ってしまうかもしれないということをとても恐怖に思っているということがわかるようなシーンがあったり…担当であるマリコさんをとりあうシーンなんかも忘れがたいシーンでした…




そのむっちゃんのお母さんが中盤に出てきて、そのお母さんともう一度暮らそうか…ということにもなるのですが、やっぱりお母さんが育てられない、むっちゃんもお互いにムリってなっちゃって…ほんとうにどっちもツライなぁと…ラストはむっちゃんの誕生日会なのですが、そこでの施設長のおじさんの言葉、そして担当のマリコさんの涙、そして子供の無邪気な笑いもあってすばらしいラストになっていたし、ここの施設の方々の一生面倒を見るという決意というか愛がほんとすごくて、こんな隣る人がいるならむっちゃんも大丈夫だな!と思うと同時に、このような環境にもいることができない子供たちがまだまだたくさんいるんだろうなぁと思うといろんな感情が湧いてきました。



社会福祉に力を入れようっていっていくら国でお金を入れても、やっぱり子供を育てるっていうのは『人』なわけで、そういうことを改めて思わせてくれた『隣る人』はとても良い映画だったと思います。

そして、僕も誰かの「隣る人」になるわけだし、そして全国民がそうなわけで、みんなにみてほしいなぁと思いました。




おわり



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スタッフ


監督

    刀川和也 

企画

    稲塚由美子

プロデューサー

    野中章弘

    大澤一生

撮影

    刀川和也

    小野さやか

    大澤一生

編集

    辻井潔

構成

    大澤一生


作品データ

製作年 2011年

製作国 日本

配給 アジアプレス・インターナショナル

上映時間 85分