「ロボコップ(2014年)」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。





ロボコップ(2014年)
3月15日(土) 16:30~ 新宿ミラノ座1




好き度: ★★★☆☆ 3/5点


想像よりもアリなリブートだった!


『ロボコップ』といえば当然名作であるヴァーホーヴェン監督版がありますが、そのリブートということでどんなかんじなのかと楽しみにしてましたよ~。予告見た感じ、なんかすげぇスタイリッシュでアイアンマンみたいでなんかロボコップ感ないなぁーなんて思ってまして心配でしたが、おもしろかったです!


今回のマーフィーはこんな感じ。




警察内の銃器が紛失した事件を追っていたマーフィーは、警察内部に汚職者がいるのではと調査を開始。敵を見つけて銃撃戦に突入、仲間の黒人の相棒が負傷して、敵に逃げられちゃいます。敵に目をつけられたマーフィーは自分の車に隠し爆弾をセットされて、家の前で爆発し重体で病院へ運ばれ、こっからロボコップになるというのが本作。


マーフィーの主治医で博士のゲイリー・オールドマンと軍事企業社長のマイケル・キートン



今回の話の中心は企業の暗躍との戦いが中心。この話の振り方がけっこうおもしろかった!企業側はロボットを中心とした警備体制にシフトさせてアメリカ政府に売り込みたいと目論んでいるのです。

オープニングは中東っぽい国からの生中継からスタート。ここでは自社製品の自動警備で治安が良くなりました!!という企業のプロパガンダ番組からはじまるのですが…

メカはすげぇかっこよくなってる!



その番組の司会が、マザファッカおじさんこと、サニュエル・エル・ジャクソン。



この司会のサミュエルが最高でした。企業のプロパガンダ番組なので、企業万歳!企業万歳!の偏向放送っぷりのブラックジョークも皮肉がきいてておもしろかったのと同時に、これ笑い事じゃないかも…とちょっと怖くなったり。この警備の機械化はあきらかに問題があるのですが、いいところだけを放送!ここのサミュエルの横綱相撲っぷりはとっても最高でした。ラストではマザファッカ!も炸裂で素晴らしかったです。

企業のプロパガンダ放送などでアメリカの世論を動かして機械警備化するための法律を通したい企業はロボコップを企業の宣伝塔として売り出すのです。だから、今回のロボコップは黒くてやたらスタイリッシュなのですね。世論を動かすにはスタイリッシュでカッコイイほうがいいじゃんという企業戦略の結果なのでした。このへんもしっかりしててよかった!


お披露目会見でいきなり犯罪者を発見してそっこく逮捕!



もうひとつの軸はロボットと人間の間で揺れ動くマーフィーというもの。前作ではなかったホームドラマの要素が強め!奥さんとのセックスシーンがなぜかなんかすげぇナマナマしくて笑っちゃったり… 息子もかわいかったなぁ。

奥さんとマーフィー。奥さん、肉感がリアルでした。


ロボコップになってからも、初めは体はロボットですが、脳はあるていどは人間で、まだ家族思いだし、情や、理性もあるのですが、企業側はその人間的な部分が邪魔になり、脳をいじったり薬を投与して、だんだんと人間的な感情を奪っていくのです。そしてそれがダメなことだと気づいていながら企業とマーフィーの家族との間で板挟みになる博士ゲイリー・オールドマンの演技も素晴らしかったヽ(;▽;)ノ

中間管理職ツライよねゲイリー!裏切りのサーカスもおんなじような感じだったような…


ロボコップの活躍&プロパガンダ放送によって世論がだんだんとロボット警備側に傾き始めたりそういう政治的な暗躍パートが今回の魅力でおもしろかったし、リアリティがありました。実際こうなりそうだもんなぁ。怖いなぁ。

感情を抑えられたマーフィーですが、奥さんと会うことで感情が化学を越えだして、勝手に自分の爆発事件を操作しだします。そこで警察の汚職を発見しますが、企業側に強制シャットダウンされまして、もう家族とも会えなくされちゃいまして、それに怒った家族側がマスコミに「企業側は夫に会わせてくれません!」と訴えて企業側に疑惑の目が向いたり。アクションシーンはオリジナルに比べてぐんと少ないですが、こういう企業・警察・マスコミ・世論・家族をまきこむ政治劇というか地味ながらドラマ部分がすげぇおもしろかったのです。いわゆる「リアル化」ってやつがけっこう成功してるパターンなんじゃないかな~と思ったり。特に企業側の描き込みがしっかりしてておもしろかったなぁ。もう無理だ!ってなってるのに世論が動いちゃってるから企業側の引っ込みがつかなくなって自分らで尻拭いをする感じが。

で、面白かったんですけど、やっぱり不満もあって、リブートだとしてもロボコップという看板を背負っている分、もうちょいロボコップがヒロイックに活躍する場面がほしかったし、ラストも相討ちにわざわざしないでぶっ倒すでいいんじゃないかなぁと思いました。もっとストレートなカタルシスがあってよかった気がします。でも、それも無理ないなというか、前作は敵が文句なしで超悪役だったから、ぶっ倒して「やったー!!」でよかったんだけど、今回は敵が微妙な悪で、いやたしかに超悪いんだけど、なんというか殺すのもなんか忍びない感じのバランスなので、もっと敵をどうにか悪いですよ~アピールがあってもよかったかなぁなんて思ったり。でもそれじゃなぁドラマ部分のバランスが崩れそうだし、難しいところですな~。あと、個人的にもうちょいフレッシュなバイオレンス場面が一箇所でもほしかったなぁというのがありました。


でも、ダメリブートが続く中、このロボコップはいいリブートだったように思います。「なんでこれリブートしたんだよ!」にはなっていないと思いました。これはこれでおもしろかったです!


おわり


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スタッフ


監督

    ジョゼ・パジーリャ 

製作

    マーク・エイブラハム

    エリック・ニューマン

製作総指揮

    ビル・カラーロ

    ロジャー・バーンバウム

脚本

    ジョッシュ・ゼッツマー

    ニック・シェンク

オリジナル脚本

    エドワード・ニューマイヤー

    マイケル・マイナー

撮影

    ルラ・カルバーリョ

美術

    マーティン・ホイスト

衣装

    エイプリル・フェリー

編集

    ダニエル・レゼンデ

    ピーター・マクナルティ

音楽

    ペドロ・ブロンフマン


キャスト


    ジョエル・キナマン アレックス・マーフィ/ロボコップ

    ゲイリー・オールドマン デネット・ノートン博士

    マイケル・キートン レイモンド・セラーズ

    アビー・コーニッシュ クララ・マーフィ

    ジャッキー・アール・ヘイリー リック・マトックス

    マイケル・K・ウィリアムズ ジャック・ルイス

    ジェニファー・イーリー リズ・クライン

    ジェイ・バルチェル トム・ポープ

    マリアンヌ・ジャン=バプティスト カレン・ディーン本部長

    サミュエル・L・ジャクソン パット・ノヴァック

    ジョン・ポール・ラッタン デイビッド・マーフィ



作品データ

原題 RoboCop

製作年 2014年

製作国 アメリカ

配給 ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

上映時間 117分

映倫区分 G