誰よりも狙われた男
10月17日(金) 21:40~ TOHOシネマズ六本木
好き度: ★★★★☆ 4/5点
ラストシーンの意味が何周もする…
「誰よりも狙われた男」フィリップ・シーモア・ホフマン最後の主演作、脇もウィレム・デフォー、ロビン・ライト、レイチェル・マクアダムスといい役者がそろってて、さらにジョン・ル・カレ原作作品ということで、けっこう楽しみにしてましたよ。
というわけで、誰よりも狙われた男、ほんと最高でした!そして、フィリップ・シーモア・ホフマンの凄みを改めてひしひしと感じられる映画でしたし、やっぱもう観れないのかと思うとほんとに悲しい…。まぁいきなりネタバレしちゃうとこの映画ラストは悲劇というか、とてもやるせない虚しい終わりかたをするので(そこが物凄く素晴らしいのだが)、そのラストのフィリップ・シーモア・ホフマン演じるバッハマンの姿とフィリップ・シーモア・ホフマンが死んだというやるせなさとがなんか重なっちゃて、なんとも言葉では言い表せない気持ちになりました。
さすがの存在感です
ジョン・ル・カレだし一見難解な感じもしますが、お話自体はすごくわかりやすいです。
・ドイツ、ハンブルクの諜報機関でテロ対策チームを率いるバッハマン(フィリップ・シーモア・ホフマン)が密入国した青年イッサに目をつけまして。
・イスラム過激派として国際指名手配されているイッサは、人権団体の女性弁護士アナベル(レイチェル・マクアダムス)を仲介してイギリス人銀行家ブルー(ウィレム・デフォー)と接触。
・ブルーが経営する銀行に、とある秘密口座があるらしい。
・ドイツ諜報界やCIA(ロビン・ライト)がイッサ逮捕に向けて動きだすなか、バッハマンはイッサをわざと泳がせることで、テロへの資金援助に関わる大物を釣り上げようとするのだが…どうなる!
と、まぁざっとこんなお話。地味~に作戦を練り情報を集め、大物逮捕に向けて準備を進め、ラストの作戦遂行の一点に向けてやっていくという忠臣蔵スタイルの本作であります。
忠臣蔵スタイルの映画で一番大切なのってやっぱ、JU-N-BI~準備~、じゃないっすか。準備がこの映画の9割を占めておりまして、ここが地味なんだけどすごくおもしろい!あの手この手で重要な人物を仲間につける心理戦の部分や、盗聴や盗撮、尋問など、いろいろな技が見れてとても楽しかったです。
メカ類がフェティッシュです
そしていろいろな準備があってのラストのさて釣り上げるぞ!というクライマックス、ここがほんとうに素晴らしかったんですよね。
着々と準備を進め、最後よし釣れた!とほぼ勝ちを確信した瞬間に訪れたまさかのどんでん返し。まぁ言っちゃえば、ロビン・ライトなんですがw このCIAのロビン・ライトがこちら側の計画や思惑、準備してきたことや信頼関係をすべてぶっこわし、すべてをかっさらっていくというまさかのラスト。
そしてフィリップシーモアホフマンが心の底から「ファーーーーーーーーック!!!!」と叫び、悲しくひとり帰っていくというこのアンチカタルシス的なこのラスト。ほんと悲劇なんだけどすげぇ痺れました。
すべてをコントロールできてると思ってたフィリップ・シーモア・ホフマンですら、大きなものに実はコントロールされてた駒でしかなかったというこの超やりきれない、悲しいラスト。ちょっとリドリー・スコットの『悪の法則』を思い浮かべつつ、ほんと痺れる、すごく好きなラストシーンでした。
しかもそれがロビン・ライトというのがまたいいですよねw 嫌でもドラマ『ハウス・オブ・カード』の奥さんを思い出さずに入られないキャラクターと佇まいで、ものすごく説得力のあるキャラクターになってました。
今一番怖い女、ロビン・ライト
あとは、やっぱりラストのフィリップ・シーモア・ホフマン。この悲しいラスト、その時のフィリップ・シーモア・ホフマンの表情、背中、そして「ファーーーーーーーーック」という叫び、すべてが自殺したという事実になんか重なっちゃうというか、このラストの虚しさが、二重の意味に見えてくるという…。ほんとに偉大な俳優がいなくなっちゃったんだなぁと改めて思わされる映画でした。もちろん、おすすめです!
おわり
--------------------------------------
スタッフ
監督
アントン・コービン
製作
スティーブン・コーンウェル
ゲイル・イーガン
マルテ・グルナート
サイモン・コーンウェル
アンドレア・カルダーウッド
製作総指揮
ジョン・ル・カレ
テッサ・ロス
サム・イングルバート
ウィリアム・D・ジョンソン
原作
ジョン・ル・カレ
脚本
アンドリュー・ボーベル
撮影
ブノワ・ドゥローム
美術
ゼバスティアン・クラビンケル
編集
クレア・シンプソン
音楽
ヘルバート・グリューネマイヤー
キャスト
フィリップ・シーモア・ホフマン ギュンター・バッハマン
レイチェル・マクアダムス アナベル・リヒター
ウィレム・デフォー トミー・ブルー
ロビン・ライト マーサ・サリヴァン
グレゴリー・ドブリギン イッサ・カルポフ
ホマユン・エルシャディ ファイサル・アブドゥラ博士
ニーナ・ホス イルナ・フライ
ダニエル・ブリュール マキシミリアン
作品データ
原題 A Most Wanted Man
製作年 2013年
製作国 アメリカ・イギリス・ドイツ合作
配給 プレシディオ
上映時間 122分
映倫区分 G