「ブルージャスミン」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。






ブルージャスミン
5月13日(火) 14:50~ Bunkamuraル・シネマ




好き度: ★★★★★ /5点


過去にとらわれ続ける女


ウディ・アレン監督の新作!今回はけっこう期待してBunkamuraで観てきましたが、ウディ・アレン作品の中でもトップレベルで好きな作品でしたよ~!

主演はケイト・ブランシェット。アカデミー賞受賞もなっとくの演技でした。セレブから転落して落ちぶれまくるという、ケイト・ブランシェットというパブリックイメージを逆に利用したような役をよくここまでやりきったなぁと感心しましたよ~。というか、普通の服着たケイト・ブランシェットがすげえ新鮮だったりしたし、まぁセレブではあるけどふつうの現代の人間役ってのが逆に違和感あるくらいですよねw この人の生活感ゼロっぷりはすごいですよね、ケイト・ブランシェットは日頃なに食ってるんだろう…人肉とか食っててほしい。

怪演してます、ケイト・ブランシェット



セレブ期の過去と一文無しになった現在が行ったり来たりする構造ですが、その時間の混ぜ方がすげぇうまかったです。ものすごくスムーズかつうまく前のシーンの韻を踏んだ構造で見ていてとても気持ち良かったです。さすがっす。

妹役のサリー・ホーキンスもとてもよかった



ケイト・ブランシェットは夫の仕事が不正とわかりつつ目の前の巨大な財産を失いたくない、セレブ生活を失いたくないということで見て見ぬふりをして、「えっ?夫の不正?アタシのせいじゃないしっ!」とばかりに無関係であることをアピールして悲劇のヒロインになろうとするんだけど、やっぱ見て見ぬふりというのが一番罪が重いとよくいいますが、そのしっぺ返しが全部きちゃうというね。

ふつうの人の生活に渋々順応せざるを得ない感じがすさまじくシニカルでやっぱ笑っちゃうんですよね~。しかもケイト・ブランシェットですからね、ケイト・ブランシェットが歯医者の受付でバイトしてるのを見るだけで笑っちゃいますよ~。パソコン教室に通う理由の理由付けのめんどくせぇ感じとかもすげぇおもしろかった。せっかく出会ったいい感じの彼にもプライドが邪魔してウソついちゃってほんとの自分が出せず、結果悲しい結果に終わるという…

つい見栄をはっちゃうというね…


このケイト・ブランシェット、セレブ生活っぷりが抜けず、この現実を受け止められないわけですよ。もう体に染みついちゃってるから。ほとんどビョーキですよ。



そのあまり、セレブ生活を思い出しては現実の世界から離れる場面があるんですがその様子を客観的にみるとすげぇ怖いんですよね。一人でブツブツしゃべってて。最後の方、いよいよ完全に人生オワタ状態になったケイト・ブランシェットがそれでも過去にしがみつく、セレブ生活の過去にとらわれ続ける姿は完全にホラー映画。ラストショットに関しては去年の『クロユリ団地』およびタマフルでの三宅隆太監督による『心霊映画特集』を思い出してしまいましたよ。過去で時間が止まっちゃってる人の悲劇。。まぁでも自業自得なんだけど…実際息子は地に足付けてちゃんと働き家族を持ってました。しかしこの突き放し方、超シニカルな後味はやはりウディ・アレン、しかも僕が一番好きなバランスのウディ・アレン作品でした。個人的には最高でしたよ!コメディとしてもですが、ホラー映画としてもおすすめであります。おもしろく、シニカルで、そしてものすごく怖い、このバランスがすごく好き。

「オ、オワタ…」







一番好きなウディ・アレン映画はこれ

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おわり

毎回、このくらいの文字数でまとめたいなぁ。



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スタッフ


監督

    ウッディ・アレン 

製作

    レッティ・アロンソン

    スティーブン・テネンバウム

    エドワード・ワルソン

製作総指揮

    リロイ・シェクター


キャスト


    ケイト・ブランシェットジャスミン

    サリー・ホーキンスジンジャー

    アレック・ボールドウィンハル

    ピーター・サースガードドワイト

    ルイス・C・Kアル



作品データ

原題 Blue Jasmine

製作年 2013年

製作国 アメリカ

配給 ロングライド

上映時間 98分

映倫区分 G