ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅
3月6日(木) 15:40~ TOHOシネマズシャンテ
好き度: ★★★★★ 5/5点
アカデミー賞はとれなかったけど、オレデミー賞をあげるよペイン!
アレクサンダー・ペイン監督は若手アメリカ映画監督の中でもトップレベルで好きな監督。「ハイスクール白書」からはじまり、「アバウトシュミット」、「サイドウェイ」、そして「ファミリーツリー」とどれも年間ベスト級の映画なのです(´▽`)/ そんなペインの新作の情報が出て、あらすじを見てみると、……うさんくさい100万ドル当選の手紙を信じて疑わない父親と息子が賞金をとりに行くというロードムービー……って、これもう年間ベストのやつじゃん!と超期待してましてワックワクでTOHOシネマズシャンテに行ってきましたよ~。当然というべきか、素晴らしかったですヽ(;▽;)ノ今回はペイン映画の中でも突出して優しいまなざしの映画だと思いました。
町山さんのたまむすびの紹介を聴いて知ったのが、ネブラスカってアメリカの州の中でもいわゆる「ど田舎」の代名詞で、若干の半笑い感を伴う土地だということを初めて知りましたよ~。この映画のネブラスカはその名の通りホントに閑散としていて道路も一車線でダーっと伸びている僕らの考えるアメリカの田舎で、なるほどなぁと、またひとつ知識が増えました。このネブラスカという土地のなんともいえない半笑い感がこの映画の絶妙な半笑い感、苦笑い感ととてもマッチしてるんだろうなぁと思いました。ペイン初のモノクロ映画というのもこの映画の雰囲気にとてもマッチしてたし、ものすごく画面がキレイでした。
インチキな100万ドルをとりに行く旅を通して今まで知らなかった自分の父親や母親の過去のことや、しばーらく会っていなかった親戚との久々の再会であるあるのうわべ上の取り繕いとか、世界の狭さ感とかがものすごくおもしろかったです。今まで知らなかった父親のことを知るきっかけが「父親と酒を飲む」というのが始まりで、フード理論的な視点からしてもやっぱりそうなんだなぁと、思えば僕も父親と酒を飲んでいないなぁとか思ったり…やっぱり父親と酒を飲むということが確実になにかバリアがとれる手段なんだなぁと思い知らされましたね~。父親と絶対酒飲みたくないもんなぁ。笑
そんな中で父親の田舎であるネブラスカで親戚たちと久々の再会をするわけですが、ここの人間関係のおもしろみというか絶妙な気まず感、苦笑い感の空気の作り方がほんと最高でした!あのデブのダメニートの顔芸がすばらしかったなぁ。あと、すっげぇ久々に会った親戚同士のあの会話の続かなさの空気の嫌さが最悪で最高でしたwすげぇわかるんだよなぁ。その後、金があるとわかると一気にたかってくる感じとか、「ホントは怖いホームドラマ(親戚もの)」であり「ホントは怖い田舎映画」でもあって、皮肉が効いてておもしろいオフビートコメディでもあるけどものすごく怖い映画にも見えてきて、ものすごくうまいと思いました。上辺だけのやりとりだったのが、一気に皮が剥がれて牙を無てくるその瞬間ってやっぱものすごく怖いなぁと。ホントは怖い田舎映画つながりでジェイソン・ライトマンの「ヤング≒アダルト」やホントは怖いホームドラマ(親戚もの)ということで「レイチェルの結婚」を思い出したりしましたね~
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みんなに100万ドルが当選したと勘違いされて、当選手紙を奪い取られてしまいます。(あのニート兄弟に) ニセモノとわかってその手紙を捨てたあと、それをひろったエドという男はそれまで「俺にも金分けろよ、それがスジだろーがよ」と散々言っていた男でブルース・ダーンをさんざん馬鹿にします。そんなエドをぶん殴った息子、かっこよかったなあ。その後、そもそも父親がなぜこんなに100万ドルがほしかったのかというのが分かる瞬間はほんと泣いちゃったんですよね。「トラックと空気圧縮機」「そして残りはお前たちになにか残してやりたかった」っていう。ここは泣いてしまいましたね~。その次の日、オープニングと同じように道を一人で歩きリンカーンに向かっていたのを発見し、無言で車に乗せてリンカーンに行くというの父親を受け入れた瞬間の息子にここもウルウル来てしまいました。
当然賞金はもらえなかったんですがおまけの帽子をもらいます。息子は父親にトラックと空気圧縮機をプレゼントして、ネブラスカに帰ってきたところで父親に運転させてあげるシーン。父親に花を持たせたというか父親をたてた息子かっこよかったし、ものすごく感動的だし、そのあと運転を変わるというラストシーンもものすごくジーンときました。かっこよかったよウディ!!ヽ(;▽;)ノ
父親のブルース・ダーンもものすごく良かったんですが、やっぱり一番のインパクトが残ったのがその妻ジェーン・スキッブさん最高でしたね。墓をまたいでスカートをまくりあげたり、下ネタ連発なんだけど、なぜかまともに見えちゃうおもしろみ。
ほんと名シーン連発で、入れ歯をさがすとことかそれをそのまま入れるのかよwとかも、間違って違う人んちの空気圧縮機をもってきちゃって~という修羅場シーンとか超わらったし、言い出すとキリがないですが、これだけは言いたい。今年で一番映画館の空気がよかった!! 何とも言えないあたたかさ。みんなでこの家族を見守ってるチーム感というか、すごく自然な笑いが出ててものすごく映画館があたたかい良い雰囲気の映画館でした。そしてそのあたたかい空気感をみんなわかって共有している感じがものすごく気持ちよかったです。作品はもちろん映画体験として最高なものとなりました!おすすめです!やっぱ流石だなアレクサンダー・ペイン!!
あの息子のように、俺もちょっとは家族に優しくなれるかもな~とか思えてる時点ですげぇ良い映画だよな~。
おわり
大好きな「election」大傑作でしょ。ウィザースプーンがとにかく最高。とりあえずこれを見て欲しい。
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- ペインったらやっぱ超意地悪と思わされた作品。ですがラストシーンで毎回泣いちゃうんです(ノ∀`)
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超傑作サイドウェイ、ジアマッティがまさに俺で感情移入しまくっちゃて泣いちゃうんです(ノ∀`)
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2012年のベストテンにも入れたこの映画。はじめやなやつだと思ってたあいつが泣かすんです(ノ∀`)
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スタッフ
監督 アレクサンダー・ペイン
製作 アルバート・バーガー
ロン・イェルザ
製作総指揮 ジョージ・パーラ
ジュリー・M・トンプソン
ダグ・マンコフ
ニール・タバツニック
脚本 ボブ・ネルソン
撮影 フェドン・パパマイケル
美術 デニス・ワシントン
衣装 ウェンディ・チャック
編集 ケビン・テント
音楽 マーク・オートン
キャスト
ブルース・ダーン ウディ・グラント
ウィル・フォーテ デイビッド・グラント
ジューン・スキッブ ケイト・グラント
ステイシー・キーチ エド・ピグラム
ボブ・オデンカーク ロス・グラント
アンジェラ・マキューアン ペグ・ナギー
作品データ
原題 Nebraska
製作年 2013年
製作国 アメリカ
配給 ロングライド
上映時間 115分
映倫区分 G