「ビフォア・ミッドナイト」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。



ビフォア・ミッドナイト
1月20日(月) 19:20~ Bunkamura ル・シネマ



好き度: ★★★★★ /5点

おとぎ話のような前二作に、現実という名のグーパンチ


「ビフォア・ミッドナイト」タランティーノやエドガー・ライトがベストテンに入れていたり、町山さんがたまむすびで紹介していたり、僕の大好きなジャンルである『倦怠期夫婦もの』の匂いがプンプンしていたので、前二作を観た上で、ル・シネマでビフォアミッドナイト観てきました。


今年ベスト!!!(゚∀゚ ) (←気が早すぎる。。)


1作目のビフォアサンライズはとてもキレイな恋愛映画だったし、2作目のビフォア・サンセットも同じくとてもおしゃれでキレイな再会の映画でした。2作目のサンセットは、イーサン・ホークはサンライズからの9年で、デキ婚で妻と子供がいることがわかりますが、妻とはうまくいってない様子。そんな中でのジュリー・デルピーとの奇跡的な再会だったわけです。


そのサンセットのラスト、ジュリー・デルピーの家に行って、「飛行機の時間きちゃうけど、どうすんの?」っていうニュアンスのジュリー・デルピーのセリフで終わりますね。そこからの、ミッドナイトは、ジュリー・デルピーとの間に子供が出来ていることが予告でわかりました。と、なるとですよ。これまでのキレイなおとぎ話のような出会いや再会の物語であった2作とは、まったく逆で、「すでに子供も妻もいるのに、ジュリー・デルピーとの運命的な再会を選択してしまったことで生まれる『責任』の話」 になるのだろうなぁと思っていましたが、ガッツリとそこにフォーカスした言っちゃえばキッツイ内容にしっかりなっていましたし、キレイなおとぎ話ではなく現実という2文字を叩きつけてくる続編にしっかりとなっていました。


イーサン・ホークの前の妻との間にできた息子、今いる2人の双子の娘、妻の仕事に対する情熱、イーサン・ホークの息子への思い、などなどこれらが複雑に絡み合って、前2作よりも確実に文字通り現実的な会話がものすごく増えているのが特徴的です。そのすべてが集約されるのが後半のホテルでの壮大な夫婦ゲンカシーンなのですが。


ギリシャでの休暇中、子供をあずけて夫婦で、ホテルでラブラブしようとなりまして、夫婦でホテルへ。セックス開始!と、ジュリー・デルピーのおっぱいを舐めていたところに一本の電話が。この一本の電話から、徐々に夫婦喧嘩に突入するのですが、電話が鳴って電話に出てその後夫婦喧嘩に突入するという流れの間ジュリー・デルピー、おっぱい丸出しなんですよね。ここが、すげぇ気まずさと、時間の流れの残酷さみたいなものが集約されているような気がして。。しかも、直前までおっぱい舐めてたのに、数分後にはおっぱい丸出しのまま、妻に至極まっとうな正論で攻められるという、男のみっともなさみたいなものがすげぇ痛かったし、すげえ気まずかったです。近年稀にみる、気まずいおっぱいが見れますよ(´Д` )

おっぱい丸出しで電話。このまま口論に発展。



前2作でもわかるようにこの2人ってすごく「言葉をもってる」人たちなんですよね。平たく言うと、すごく頭がいいじゃないですか。だから、単純に夫婦喧嘩がすげぇおもしろいんですよね。男と女のけんかの際のあるあるもすごく詰まってて、深刻な話なんだけどなんか笑っちゃったり。。イーサン・ホークがちょっとずつ地雷を踏んでいって、踏んだ瞬間やっぱりジュリー・デルピーによる猛撃を受けたり。イーサン・ホークが例えで出した話が、例えそのものが地雷だったり。絶妙に口論がスレ違い合うんですよね。傑作「ブルーバレンタイン」の2人、というかあっちは主に妻がもう話し合うことすら避けていましたが、こちらはガッツリ口論、しかもとても構築された会話劇というところがとてもおもしろかったです。だからまぁ、ブルーバレンタインレベルまで行っておらず、話し合おうという意思があるぶんまだ誠実だよなぁとか思ったり。2人ともこの状況をよりよくしようという気持ちは感じられるんですが、絶妙にスレ違ってるんですよね~。「それ言っちゃったら女は絶対キレるって・・・・・・・・・ほら~!!」といった具合に。笑

激おこデルピー!怒られたい!(……という安易な文章。。そんな余裕ない!)


で、ラストは怒って出て行ったジュリー・デルピーを追いかけて、海辺のカフェへ。そこでのラストの会話、「演技をする演技」。コミカルでありつつどこか素敵な雰囲気で終わるのですが。ここの演出がものすごくうまい。ラストは、喧嘩の根本にあった問題自体はなんにも解決してないんですよね。でも、この「夫婦」が確実にこの真夜中までの数時間でネクストレベルに進化したんじゃないかなぁと思えるラストで、微かな希望が見え……なくもない!お互いが、妥協したというか譲り合ったラスト、よりよくしようと思っているからこそのラストなわけで。


と、同時に、「あきらめ」を感じるラストにも見えてとても複雑な気持ちになりました。でもブルーバレンタインとかよりは希望がないわけではない。。という。このラストの心情に関しては最近ずっと考えていてまだ結論が出ていないくらいです。ステキなラスト!っていうのをTwitterでよくみるけど、僕はこれをステキなラストと言っていいのかなぁという気持ちもあったりして、どこか妥協し合ったことからくるあきらめというか、嫌なため息感が残るなぁなんて思いましたし、夫婦の愛と子供たちの問題はまた別だと思うので、この後がほんとにたいへんなんだろうなぁと思いました。うーん難しい!! ひとそれぞれ、夫婦それぞれでいろんな形があし、イーサン・ホークは少なくとも負い目があると思うしさ、この問題は一生続くよねたぶん。

2人は籍入れてない、という場面があったり。。



「完結」って書いてあるけどぜんぜん完結してないですよね~。またやんのかなぁ、最終的に「愛、アムール」みたいになったりして。笑  でもほんとに、この2人を見届けたいですよね。。


とにかく、ブルーバレンタインテイクディスワルツときて今年はこれですよ。。また、しばらくこの映画に支配されそうな感じです。ずっとこの映画のこと考えてるパターンの物件ですよ。これだけ、いろんな夫婦を見れて勉強できてるから、僕の将来の結婚生活もだいjy………大丈夫なはず!(;▽;)/ ムリダ~ でも、「わかりあおうとする」ことができているだけ、この夫婦は大丈夫な気がします。コミュニケーションを投げたらおわりだなぁと思っております。やっぱりそう考えると、生理的にムリレベルまで言っちゃってた「ブルーバレンタイン」はほんとうに重症だったんだなぁとわかりますよねぇ~。。

水道橋博士の言葉に「映画は人生の予行演習だ」という言葉がありますが、こういう映画を見るたびに思いますよね。


と、21歳のしがない学生がほざいておりますよ~ってところで、おわり。


◆◇そーす太郎的注目ポイント◇◆

ジュリー・デルピー、おっぱい丸出しのままケンカに突入



1作目、ふつうに良い映画だと思います。

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時間経過の残酷性を見せられた2作目。

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日本で対抗できる、いやそれ以上の傑作。1作目を強く連想させます。

その街のこども 劇場版 [DVD]/トランスフォーマー
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こっちも修羅場はホテルでしたね~。大傑作。

ブルーバレンタイン [Blu-ray]/バップ
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これも大大大傑作!超ツライけどなっ!

テイク・ディス・ワルツ [DVD]/Happinet(SB)(D)
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テイクイディスワルツに関してはまたなんか書きたいくらい。もちろんどっちも悪いんだけど、僕は少数派かもしれないけど「夫が悪い」「ミシェル・ウィリアムスの気持ちもわかる、やむなし!」派だったりします。まぁこちらも最高の酒の肴でございますね。どちらにしろ、サラ・ポーリー超うまいけど超意地悪!笑



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スタッフ

監督
    リチャード・リンクレイター
製作
    リチャード・リンクレイター
    クリストス・V・コンスタンタコプーロス
    サラ・ウッドハッチ
製作総指揮
    ジェイコブ・ペチェニック
キャラクター原案
    リチャード・リンクレイター
    キム・クリザン
脚本
    リチャード・リンクレイター
    イーサン・ホーク
    ジュリー・デルピー

撮影
    クリストス・ブードリス
編集
    サンドラ・エイデアー
音楽
    グレアム・レイノルズ

キャスト

    イーサン・ホーク ジェシー
    ジュリー・デルピー セリーヌ
    シーマス・デイビー=フィッツパトリック ハンク
    ジェニファー・プライアー エラ
    シャーロット・プライアー ニナ
    ゼニア・カロゲロプーロ ナタリア
    ウォルター・ラサリー パトリック
    アリアンヌ・ラベッド アンナ
    ヤニス・パパドプーロス アキレス
    アティーナ・レイチェル・トサンガリ アドリアーニ
    パノス・コロニス ステファノス


作品データ
原題     Before Midnight
製作年     2013年
製作国     アメリカ
配給     アルバトロス・フィルム
上映時間     108分
映倫区分     PG12