Dragon Night から分かる「英単語使用時に大事なこと」。


こんにちは。英語を教えながら
英語の先生の先生をしています、ミツイです。


先日、初めて
「セカイノオワリ」の「Dragon Night」を聞きました。

いつもながら浦島太郎です、私。


しかも英語版を聞きました。





ボーカルの方、英語の発音が上手で感動しました。


子音が続く R の音が弱い気がしますが
リズムとかイントネーションは完璧です。

R は正しい口の形と舌の位置になっていないのではないかと。

まぁ、あの速さで歌っていると難しいかもしれません。
私も練習しないときちんと出来るとは思えませんし。


時々歌詞が聞こえないところ(分からないところ)はあるけど
歌ってそういうものですから、これだけ歌えていれば素晴らしいです。

(ネイティブの歌をネイティブが聞いていても
歌詞が分からないことはあります。

ですから、歌詞紹介サイトなんかでも
間違った歌詞が書かれていたりすることって多いんですよ。)



ただ、歌詞の英語に関しては
すっごく可愛い!と思うところと
サッパリ理解できない!と思うところがありました。

複数の人が訳したんでしょうか。。。。?


ちなみに、私が個人的に可愛いと思ったところは
Finally the night will come out to say Hello とか
Like we are best of friends とかです。

すっごくセンスのある表現! 


ただ、理解に苦しんだ No.1 箇所は

Maybe war is something that is natural for us
But the justice that I have come to believe in
Must be hurting others more than I can comprehend

というところ。

で、日本語歌詞を検索して「あぁ、なるほど」と。


以下、私が気になった要素をご紹介しようと思うのですが…


皆さんご存じのように
歌詞を英訳するというのは難しくて
字数制限があるばかりか、メロディーに合わせないといけません。

ですから「仕方ない」と言ってしまったら
もうそれ以上は語れなくなってしまうトピックでもあります。

(だからこのLocalizationは素晴らしいんです!)

ここでは、そういった事情は全て無視して
この歌詞を「英文」としてだけ捉え
英語講師としての私の意見を書かせて頂きますね。

その点、ご理解頂ける方だけがこの先を読み進めてください。



さて、私が理解に苦しんだ点ですが…


1.私はこのバンドの世界観を全く知らないのですが
彼らが言いたいことって「War(戦争)」なんですかね?
Conflicts とか Disagreements ではダメだったんでしょうか?

War という単語は、日本の方には「過去のこと」だったり
「遠い国で起きていること」だったりするけど

英語で、これを世界に発信するということは
War が身近にある人にも届いてしまうわけで。

「War(戦争)」という単語を使うことの重みを、
この単語を選ぶ前に少しでも考慮したのでしょうか?

※こういうところ、絶対に世界目線にすべきです。

他の国に関しては分かりませんが
「War(戦争)」というと、アメリカの場合は
こうしてブッシュ政権と戦争に反する歌なんかを思い浮かべます。

ちょっと…ファンタジーの世界とでは重みが違いますよね。
もちろんファンタジー的な意味での
「War(戦争)」という単語使用が悪いわけではありませんが、
こういう微妙な感覚の違いが
辞書に現れない「語感」や「Connotation」というものですね。


2.War is something that is natural for us.という表現は
英語ではしませんね。

日英バイリンガルのネイティブなら分かってくれるでしょうし
そうでなくても、なんとな~く伝わるかもしれませんが。

大学レベルやビジネスシーンでこの表現をされると NG だし
私の受講生がこの書き方をしたら修正させます。

おそらく伝えたいことは "War is in our DNA" とか
"War is in our blood" ということですよね。

Natural という単語を選ぶ前に、
Natural という単語の英文使用例を確認したのでしょうか?

Natural という単語を選ぶ前に、
Natural と言う単語を英英辞典や同意語辞典で調べたのしょうか?


3.日本語の「正義」を
英語の「justice」に訳していますが
英語の justice は、日本語の「正義」よりも少し重い気がします。

これも、この単語を選ぶ前に
英文使用例や英英辞典、同意語辞典を確認したのでしょうか?

和英に載っていたとしても
それらの単語って必ずしも Interchangeable ではないんですよね。

Morals とか Beliefs とかではダメだったのかな?
バンドのこだわりかな? 
こだわりなら、まぁここは許容範囲内かと思います。


4.Comprehend は完全に間違いですね。

日本語対訳の一つに「理解する」ってあるかと思うんですが
Comprehend はもっと知識や概念に対して使われます。

他人の気持ちを理解する、推し量る、という時には使いません。

これは英文使用例や英英辞典や同意語辞典を確認すれば
分かるレベルのことですよ~。 
英語が出来ても
「語感を察知するLanguage Awareness」がないとダメな典型的な例ですね。



という感じで、英語の歌詞で違和感を感じた点のほとんどが

単語選択時に
英文使用例を確認したり
英英辞典、同意語辞典を調べれば、回避できるようなこと
でした。


英文使用例を確認したい場合は
[調べたい単語] in sentences と Google Search をしてください。

英英辞典や同意語辞典はロングマンのものがお薦めです。

(ロングマンは他の有名どころの辞書と異なり
 英語非母国語者の学習ステージ等を徹底的に研究されて作られた
 とても優秀な「英語学習者用辞書」です。)


このポイント、絶対に押さえてくださいね。
和英辞典だけを使っての訳は確実に不十分です。


ちなみに英文添削をしてもらう時には
よっぽど英語ライティングの指導力に長けている人でない限り
「日本語の分からないネイティブ」且つ
「英語ライティング力のあるネイティブ」に頼むのがポイントです。

でないと、正しくなくても
「理解してくれちゃう」ことがありますので。



でも!!!

最初にも書きましたが
このバンドのボーカルさんの英語発音は本当に素晴らしいです。

日本の音楽が大好きな方は国籍問わず、世界中に沢山いますから
こうして英語でも日本の音楽を発信していける歌手が
増えると良いですよね!

英語学習者さんにも励みになるかと思います。




関係ないのですが
このDragon Night って Avicii の曲調と似ていますね。
(メロディーじゃないですよ。最初から最後までの音の運び方です)



懐かしい。この曲と PV、大好きでした。



Happy Learning & Happy Teaching!!