暫定税率廃止の経済的影響について | たまき雄一郎ブログ

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衆議院議員玉木雄一郎のオフィシャルブログです。

民主党がガソリンの値下げを主張している。


暫定、暫定と言いながら、長年にわたって徴収し続けてきた税金の一部を廃止しようとするものだ。


国会でも喧々諤々の議論が行われているが、経済的に見れば、要は「減税」政策の一つに過ぎない。


そして、減税には、GDPの押し上げ効果がある。つまり景気が良くなる効果がある。


ただ、普通の減税と違うのは、道路特定財源であるがゆえに、減税分が、(公債を発行して借金をしたり、他の税金を上げないのならば)そのまま政府支出の減少を伴う。


そして、政府支出の減少は、GDPの押し下げ効果がある。


暫定税率が廃止になることによって地方経済に悪影響が出ると言われるが、ここは冷静な議論が必要だ。


少なくとも、マクロ経済的に見れば、


ガソリン減税によるGDP押し上げ効果と、道路整備という政府支出の減少によるGDP押し下げ効果のどちらが大きいかで経済への影響は決まる。


こんな簡単な分析もしないで、つまり、マクロ推計のモデル一つ走らせないで、感情的な議論に終始している今の日本の政治家は、もっと科学的な議論に慣れるべきだと思う。


減税すれば、貯蓄に回る分が、財政刺激効果を一部減じることになるが、ガソリン減税分が貯蓄に回る率は少ないと思う。また、ガソリンは経済の血液であるから、減税の経済全体への波及効果はかなり高いと思う。


一方、道路整備による経済活性効果については、それほど大きなものは期待できないと思っている。年々、投資乗数が落ちてきていることは、経済白書にも書いてあるとおりだし、少なくとも、昭和30年代、40年代頃の経済活性化効果は期待できない。


もちろん、特定の地域を限ってみれば、このプラス効果とマイナス効果が極端に異なる地域があることは否定しない。


ただ、政治家はマクロでものを考えるべきだと思う。特に、国会議員はそうだと思う。


結論から言うと、私は、今回のガソリン減税の経済全体に与える影響は、中立(ニュートラル)もしくは少しプラスと見ている。


減税すると必要な財源が無くなるようなキャンペーンがなされているが、それは行政の立場から見た場合であって、国民経済全体から見れば決してそんなことはない。減る減ると言っているのは、首長と行政関係者だ。


暫定税率の廃止の問題は、これまで続いてきたお金の配分の仕方を変えるのか変えないのかであって、お金が増える減るの話ではない。


つまり、暫定税率の廃止は、戦後作られてきた、国民のお金を特定分野、特定団体に合法的に流す仕組みを抜本的に変革するその突破口になる問題なのだ。


ここを突破できれば、特殊法人改革、特別会計改革にも入っていけると考えている。


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