当時の映画用フィルムは、
直径30センチくらいのアルミ缶入っていて、
これでだいたい10分くらい上映出来ます。
それが10缶くらいでで映画1本分になります。
当時、2本立て3本立ては当たり前でしたから、
隣町の映画館と提携してフィルムのやりくりをします。
これを「かけもち」と言います。
父はバイクでフィルムを運んでました。
田舎の映画館でしたから、東映、日活、松竹、大映と、
4つの映画会社の映画を上映してました。
ちなみに東宝の映画を上映してる映画館は、
ビルの5階にありました。
従業員用のエレベーターがなかったので、
ここと提携するには、
重いフィルム缶を抱えて階段を登らねばなりません。
ゆえに父は東宝とだけ提携しませんでした。
その結果、僕は子供時代に、
黒澤映画を見ることなく育ちました。
見ていれば相当な情操教育が施されたはずですが。
その後20代前半で「七人の侍」を、
初めて見た時の衝撃は強烈でした。