歳出のうち、「一人当たり一時借入金利子」は要注目です
しばらく取っておこうと思っていたネタなのですが、(私は残念ながら取っていない)会員誌『ファクタ』が大々的に書いているようなので、自治体の経営分析のためのあまり注目されていなかったにもかかわらず非常に大切な指標を1つ解説しておきます。(自治体財政危機について丁寧にフォローしている北海道新聞では、すでに1回報道しています。)
自治体財政危機把握のために役立つ指標に「一人当たり一時借入金利子」があります。一時借入金の利子として一人当たりいくら負担しているかという指標です。円単位になります。
低金利でもあり、普通の自治体ではこれが数円までの水準です。
しかし、夕張市ではこれが4000円強。
この数字ですが、一時借り入れの利子だということがポイントです。
自治体は長期、高利の資金を国から借りています。しかし、一時借り入れでは低金利の恩恵を受けています(そもそも一時借り入れは行わない、というのが正常な姿です。そして、当然ですが、そういう場合、この数値はゼロになります。)。そういう中で一人当たり千円単位で利子が発生するということの意味をよくよく考えていただきたいのです。
ちなみに、ファクタの広告では町村まで含めると30強もの自治体が950円超とのこと。以前から財政危機が伝えられる大阪府某市でも400円強ですので、すごいインパクトです。(個別の数字は決算カードに載っています。)
また、この数字が良くても一般会計から特別会計に大量に繰り入れを行うなど、財政をごまかす手法は他にもあります。ですから、危険な自治体でもこの指標に異常が現れていない自治体はあります。
なお、先日の総務省の新指標の記事に言及したポイント はここに関するものです。
追記:コメントでご指摘いただいたので追記しますが、和光市は当然のことながらゼロです。(7/25)