メールも美しく | 書法家 武田双鳳の「そうほう録」

書法家 武田双鳳の「そうほう録」

「書で人生を豊かにする」をテーマに、日々のオモシロさを探求する書法家・武田双鳳の日記

おはようございます。


「書は人なり」と言われます。文字を美しくするには、生き方を美しくする必要があると考えています。


師範という場にいると、ちょっとした振る舞いからその人の「生き方」が見えたりします。そして、あるきっかけで気づきを得れば、生き方が変わり、書き味も変わっていく様子を何度も見てきました。


その人の「生き方」は、何気ない動作に現れます。たとえば、メールのやり取りの仕方。1日数十人の方からメールをいただいていますが、文字と同じで一瞬で「レベル」が分かります。コツさえ知っていれば、すぐにウマくなるのに…と思えるのも文字と同様です。


たとえば、銀行引き落としが3度かからなかったため、こちらが本人や銀行等への確認作業を何度も行った後、結局は本人の手違いだったということが判明してからいただいたメール。


「先ほど、こちらで引き落としを確認できましたので、取り急ぎご連絡いたします。大変ご迷惑をお掛けしまして、申し訳ありません。ご確認いただきますよう、よろしくお願いいたします。」


丁寧な文体で謝罪の意思は伝わってくるのですが、引っかかるところがありました。

「ご確認いただきますよう、よろしくお願いいたします」とすると、再度、そちらの都合で一方的に確認義務という負担を課されるように思うからです。


この場合、「度々お手数をおかけしまして恐縮ですが…」「二度とこのようなことがないようにしますので…」と相手への気遣い言葉をワンクッション入れてくれれば、その負担は軽くなったような気がします。


たががメール。されどメール。瞬時にやり取りできる便利なものですが、瞬時に信頼を失うというリスクを伴います。


文字を美しくするには生き方を美しく……メールも「美しさ」を心がけていきたいものです。



☆3月20日の『プロデビュー☆祝賀会』を「あ~とねっと・しが」に掲載していただきました。http://www.art-shiga.net/event/detail.php?EVENTID=3032