産経夕刊に筒井康隆『ビアンカ・オーバースタディ』書評とラノベについての愚考を書きました | 作家・土居豊の批評 その他の文章

産経夕刊に筒井康隆『ビアンカ・オーバースタディ』書評とラノベについての愚考を書きました

産経夕刊に筒井康隆『ビアンカ・オーバースタディ』書評とラノベについての愚考を書きました。
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※当該記事
作家・文芸レクチャラー土居豊ブログ「震災後の文学・芸術」

※平積みで売られている『ビアンカ・オーバースタディ』

作家・文芸レクチャラー土居豊ブログ「震災後の文学・芸術」

以前より、筒井康隆 著 いとうのいぢ イラスト『ビアンカ・オーバースタディ』について、「筒井康隆がライトノベルを出す!しかもイラストは、シャナ、ハルヒのいとうのいぢ!」という大変インパクトの強い作品であることを、自分のブログでも書いてきました。
今回、9月3日の産経夕刊文化欄に、『ビアンカ・オーバースタディ』書評と、ラノベについての愚考を書かせていただきました。エッセイ的につらつらと書いている拙稿の趣旨は、「この作品が日本のライトノベル史上画期的な作品である」ということです。

※過去のブログ記事
筒井康隆×いとうのいぢ『ビアンカ・オーバースタディ』発売!
http://ameblo.jp/takashihara/entry-11333385261.html

筒井康隆/いとうのいぢのライトノベル『ビアンカ・オーバースタディ』刊行決定
http://ameblo.jp/takashihara/entry-11280646377.html


周知のように、筒井康隆は、日本のSF小説御三家の一人で、星新一、小松左京亡きあと、御三家最後の巨匠です。いわば、日本SFの歴史を体現する作家なのですが、実は、ライトノベルの生みの親の一人でもあります。
その筒井康隆が、新時代の本格的なライトノベルを書いた、というだけでも、画期的だといえるのに、さらにイラストは、いまやサブカル界で「絵師」と呼ばれるカリスマイラストレーターの第一人者、いとうのいぢです。
しかも、この小説は、もう一つの意義を秘めているのです。
それは、ラノベ史上エポックメイキングな作品『涼宮ハルヒ』と、筒井康隆の、意外な関係を象徴している点です。
筒井康隆は文芸誌の対談で、『涼宮ハルヒ』を高く評価しています。その筒井氏が、『ハルヒ』の絵師であるいとうのいぢと組んでラノベを出す、というのは、単なる話題性の問題ではありません。
筒井氏自身の影響下に生まれたラノベというジャンルの、一つの到達点だといえる『ハルヒ』を、今度は筒井氏自身がリスペクトして自作の中に活かす、というような、3重の本歌取りがなされている、といえるのです。
内容についても、もちろん、あの筒井康隆が書いたのですから、一筋縄でいくはずがありません。
普通のラノベを読むつもりで読み始めると、たちまち読者は呆気にとられて、目を白黒させることになるでしょう。もちろん、筒井作品を読むときの要注意事項として、間違っても電車の中で読んではいけません。いきなり笑いの発作にとりつかれて、電車内で「けけけけ!」と思わず笑い出してしまい、周囲から奇異の目でみられることは請け合いだからです。
蛇足ですが、『ビアンカ・オーバースタディ』は、決してアニメ化は実現できないぐらい、過激な作品だということも、付け加えておきましょう。映像作品では絶対に実現できない、まさに小説でしかできないことを、いとも簡単そうにやってしまっているところに、巨匠の技の凄みを感じます。
まずは、ぜひご一読をおすすめします!


※筒井康隆 著 いとうのいぢ イラスト『ビアンカ・オーバースタディ』星海社FICTIONS 
http://www.amazon.co.jp/dp/4061388371/ref=sr_1_4?ie=UTF8&qid=1342093382&sr=8-4

内容説明
筒井康隆、ライトノベル始めました! 「筒井康隆×いとうのいぢ」の最強タッグが描き出す、これぞ21世紀の『時をかける少女』!
出版社: 講談社 (2012/8/17)
言語 日本語
ISBN-10: 4061388371
ISBN-13: 978-4061388376
発売日: 2012/8/17

※『筒井康隆様から、拙著献本に対するお返事のハガキが!』
拙著『ハルキとハルヒ 村上春樹と涼宮ハルヒを解読する』はあちこちへ献本してますが、なんと嬉しいことに筒井康隆様から、拙著献本へのお返事のハガキが届きました。
http://ameblo.jp/takashihara/entry-11231928887.html

※拙著告知↓

土居豊 著『ハルキとハルヒ 村上春樹と涼宮ハルヒを解読する』(大学教育出版ASシリーズ第5巻)

http://www.amazon.co.jp/dp/4864291276/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1334231386&sr=1-1

価格: ¥ 2,100(税込み)

内容紹介:
『涼宮ハルヒ』シリーズと村上春樹作品との意外な関連を読み解く。どちらも現代日本人が求めてやまない魅力的な物語を描き、世界的に大ヒットした、両者を並べて論じた初めての一冊。