台風が来ているのである。
台風が来るといろいろとややこしい。
本日の夜の講座を開催するのかやめるのか判断するとか、
カウンセリングの予約のコールセンターのバイトさんたちが
「電車が動いていませんので、行かれません」と言ってきたら、
「タクシー代を出すので、来てください」と言うとか、
「てめえら、カッパを着てでも出勤しやがれ!」
とけっして言えないことを心の中でそっと言ってみるとか、
いろいろとしなければいけない仕事が増えるのである。
高校生のときぐらいまでは台風が大好きであった。
ぜひとも来ていただきたかったのである。ただし、平日限定で。
みなさんもきっとそうであろう。天変地異による学校の休業ほどうれしいものはないのであった。
今年、勉強好きのわが息子は、勉強したいがために、おとうさんと同じように、あえて1年間、浪人するという選択をした。
その予備校生の息子が嘆いているのである。
「台風来ても、ぜんぜんうれしくない」
どうも、台風が来てうれしいのは高校3年生までのようである。
まして、うちの従業員など、台風が来てもうれしそうではない。
社長がこのような人だから、休みなどくれるはずもなく、いろいろと仕事が増えるし、気も遣わなければいけない。
交通機関の運行状況を見きわめなければいけないし、参加いただくみなさんの安全にも配慮したいし、遠方からわざわざ来ていただくみなさんの勉強意欲にも応えてあげたい。いろいろ悩むわけである。
出張の多い私だが、幸いにも、台風や地震で大きく困ったことは、これまで一度たりともないのである。
東日本大震災のときは東京にいたのだが、航空会社に電話すると、たまたま大阪・伊丹行きのキャンセルが一席出たとのこと。しかも、目の前に空車のタクシーが停まっていたのでそれに乗り、羽田空港まで行って難なく帰れた。
そのように、いつもうまく乗り切ってこられたわけである。
一方、うちのカウンセラーや講師陣からは、「一晩中、新幹線に閉じ込められました」とか「空港で8時間待機して、ようやく乗れました」とか、悲惨な話をよく聞くのである。
唯一、私が台風で足止めを食らったのは、夏休み、家族旅行で石垣島に行こうとしたときのことであった。
沖縄までは行けたのであるが、石垣行きの飛行機がキャンセルになり、沖縄で延泊するハメになった。
が、みなさん。
沖縄には、このようなときには“台風料金”なるものが発生する。
「人の弱みにつけこんで、ホテル代がべらぼうに上がるのか?」という卑屈なみなさんに言っておく。
沖縄では、台風のときはホテル代が半額になるのである。
で、これ幸いと那覇の全日空ホテルに泊まり(だって、半額だもーん)、プールで半日泳ぎ、夏を満喫した。
さらに次の日、朝一番の飛行機で石垣島に向かったのであるが、朝ごはん用にとホテルの人がお弁当を作ってくれたのである。
すごいぞ、沖縄!
ビバ、台風!
みなさん、沖縄滞在は台風時に限りますぞ。
ちなみに、石垣島のホテルも、われわれが行けないということは、帰れない人もいるわけで、そのへん、上手にバランスがとれるようなのである。
そして、このときは台風で混乱していたからであろうか、石垣島のホテルでわれわれが案内されたお部屋は、なんと、ものすごいスイートルームだったのである。
のちにこれは間違いだと判明したわけであるが、私たちはもうベッドをトランポリン状態にしていたため、そのまま滞在できる運びとなったのである。
だからであろうか、だれにも言えないことなのであるが、きょう、告白しちゃうと、私は55歳の今となっても、台風が来るとけっこうウキウキしちゃうほうなのである。
従業員のみなさん、ごめんなさい。