疑問を投げかけることの重要性 | 究極の物理勉強法~たとえ話と微積分で高校物理が楽しくなる

究極の物理勉強法~たとえ話と微積分で高校物理が楽しくなる

物理の予備校講師で『微積で楽しく高校物理が分かる本』の著者の田原真人が、物理の学び方のコツを紹介。物理が分からない人は、公式を丸暗記するのを止めて、解法体系を学びましょう。必ず道が開けてきますよ。

11/23に実施するルーウィン教授×「田原の物理」のオンライン反転授業では、

・放物運動
・ニュートンの第1法則、第2法則、第3法則
・摩擦力

という3つの講義内容をテーマにして授業を行います。
 
予習してきたほうがより楽しめますが、予習してきていない人でも楽しめるように工夫しますので、気軽に参加して下さい。
 
今日は、「ニュートンの第1法則、第2法則、第3法則」の講義についてお話ししたいと思います。
 

ルーウィン教授は、まず、第一法則「慣性の法則」の説明から始めます。
 
慣性の法則「力を受けない限り、すべての物体は静止し続けるか、等速直線運動を続ける」が成り立つ座標はどんな座標でしょうか?
 
それは、「慣性座標系」と呼ばれる座標系です。
 
ところで、ルーウィン教授が授業をやっている教室は「慣性座標系」と呼べるでしょうか?
 
教室は公転する地表にへばりついていて高速で回転しています。太陽系は銀河系の中心の周りを高速で回っています。円運動は加速度運動ですから正確に言えば「慣性座標系」ではないわけです。
 
でも、物理のおいて大事なのは、「estimate(見積もり)」です。
 
地球の自転や、太陽系の運動の効果が、地表での物理実験に、どの程度影響を及ぼすのかを見積もるのが重要なのです。
 
それが、実験装置の誤差の範囲内であれば、考慮する必要がないからです。
 
それで、ルーウィン教授は、地球の自転の効果がどの程度なのかを計算し、それが測定不能な程度の効果であることを計算します。
 
こういう態度が、物理を学ぶ上で非常に重要なんですね。
 
予備校の授業では、問題の解法を説明するための時間を確保する必要があり、なかなかこのような話をすることができませんが、物理を学ぶ上で非常に重要なことだと改めて思いました。
 
そして、その後のルーウィン教授の言葉が素敵です。


ニュートンの第一法則を証明することは不可能です。

しかし、我々は第一法則を信じます。

これまで行われてきたすべての実験結果が測定誤差の範囲内で第一法則の正当性を示しているからです。



そうそう!これが、物理なんです。
 
いくら実験を積み重ねても、それは、証明にはなりません。
 
たった一つの反例であっても、その反例が成り立つことが確認されれば、すべてが根底から覆ってしまうからです。
 
しかし、これまで行われてきたすべての実験が「測定誤差の範囲内で」法則の正当性を示しているならば、その法則を信じて、新しい問題にその法則を適用し、未来を予測していくのが物理です。
 
ルーウィン教授の1つ1つの言葉遣いに、物理の考え方が凝縮しているわけですね。
 
ルーウィン教授は、同じことを、第二法則、第三法則についても繰り返します。
 
そして、最後の実験。
 
ブロックを糸で吊り下げ、下に結んだ糸を引っ張り、どちらの糸が切れるのかを試す実験。
 
第三法則によれば、上の糸が切れるはず。
 
しかし、3回やった実験のうち2回は下の糸が切れ、1回は上の糸が切れました。





 
第三法則の危機です。

つまり、ニュートン力学の危機です。
 
たった1つの反例で、ニュートン力学が根底から覆るからです。
 
授業はここで終了。
 
疑問を投げかけて終わります。


うーーん
 
僕にも、どうして下の糸が切れたのか分かりません。



しかし、このような疑問を投げかけることによって、みんなが、ニュートンの法則について深く考えることになります。
 
答を教えるよりも、疑問を投げかけることのほうが何倍も勉強になります。

僕は、これから、ビデオを何回も繰り返して見たいと思います。

みなさんも考えてみてくださいね。
 
ライブ講義で、皆さんと一緒に考えたいですね。



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