東京の夜がまだ暗かった頃:街の灯り【堺正章】-太田忠(ピアノ) | 太田忠の縦横無尽

東京の夜がまだ暗かった頃:街の灯り【堺正章】-太田忠(ピアノ)

1973年6月に発売された堺正章の8枚目のシングル『街の灯り』はまだ東京の夜が暗かった頃の話である。作詞は阿久悠、作曲は浜圭介、そして編曲は森岡賢一郎である。


阿久悠が自ら述べているところによると、1970年代は「東京の夜にもまだ暗がりが存在した。暗がりがあるから、灯りもちらちらとほのめいている。暗い闇とほのかな光が生み出す陰影が残っていた。駅を降りて下宿へ向かう細い路地にちょっと入るともう真っ暗だった。路地は舗装もしていないなくて、雨が降ったら水たまりがあちこちにできあがる。そんな風景の中に、手頃な詞の材料はいくらでもあった。…残念ながら、くまなく光で照らしだされている今の東京に、そういうイマジネーションが生まれる空間は残っていない」


この曲は、私が小学低学年の頃のものだ。初めて耳にした時「なんて良い曲なんだろう」と子供心にも感銘深かった。発売の同年12月31日の紅白での堺正章の歌唱がYouTubeにアップされており、現時点での再生回数は80,255回。かなり人気が高いようだ。




堺正章といえば、私の年代にとっては歌手であり、「マチャアキ」である。しかし、時代は変わった。堺正章が歌手であることを知らない世代が非常に多くなっている。年齢的には30歳より下の世代では「え、歌手なんですか?」という驚きのリアクションが多いのだ。


上記のYouTubeで書き込まれたコメント(オリジナル版はこちら)にある
『マチャアキ、歌ってくれ。「バラエティのじっちゃん」としか思っ­ていない若いやつらに、心に届く歌ってのはこういうものだと教え­てやれるのはあなたを含め、ごく少数しかいない。あなたには義務­があるように思う』というのもなるほど、納得である。


この曲はTBSドラマ「時間ですよ」の劇中歌として使用され、堺正章と天地真理がデュエットしていたことを、先日の天地真理さんの「デビュー40周年祝賀会」に出席していた時にふと思い出したので、この曲もソロピアノで弾いてみた。これからちょっと先のシーズン、クリスマスの皆の気分が高揚する頃にピッタリな曲である。そういえば、昔、住んでいた家がマチャアキの家のすぐ近くにあり、毎日シェパード犬のドナの散歩で栗原さん(堺さんの本名)の表札がかった家の前を通っていたことを思い出した。




オリジナルはこちら:街の灯り【堺正章】-太田忠(ピアノ)


太田忠の縦横無尽 2011.10.15

『東京の夜がまだ暗かった頃:街の灯り【堺正章】-太田忠(ピアノ)』

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