アレルギーとくに喘息の治療はまさに日進月歩です。


僕が医者になったばかりの頃の10年前など、けっこう喘息で入院してるお子さんが多かったですが、ここ数年で治療法が劇的に代わり、効果的かつ副作用の少ない(というか無い)お薬が出てきたので、喘息で入院するお子さんは激減しました

当院でも数百人の喘息のお子さんをフォローしていますが、入院するような症例は年に1~2例です。


ちゃんとコントロールさえしていれば喘息で入院することはない時代になりました。


いまだにちょくちょく入院したり、テオドールのような化石のようなお薬を出されている方、ちょっと治療方針を見直した方がよいでしょうね。

あと重要なのは以前にも書いたコンプライアンスです!(こちらを参照)



さて、喘息の治療やコントロール法は、小児アレルギー学会が出す「小児喘息治療ガイドライン」というもので定められています。

このガイドラインが現在最も世界標準かつ最新な治療法ですので、多くの小児科医はこのガイドラインにのっとった治療法を行っています。

「北浜先生に変えたら喘息が治った!」

といったお声をよくいただきますが、それは僕が優れているのではなく、ただ単にガイドラインに忠実な治療法を実践しただけのことなのです。

したがって、ガイドラインから外れるような治療法をする医者には気をつけねばなりません

テオドールなどはとっくの昔にガイドラインから外れています。


喘息の治療法にはいくつかのステップがあります。

簡単に言うと、

レベル1.継続的な抗アレルギー薬(シングレア・キプレスなど)の内服療法のみ

レベル2.1に加えてステロイド(フルタイド・キュバール・パルミコートなど)の継続的吸入療法を加えたもの

この2通りです。


でもってさらに2通りの進め方があって、

・ステップアップ法

レベル1から始めていって、必要に応じてレベル2に上げていく方法

・ステップダウン法

いきなりレベル2から始めて喘息を一気に抑え込んで、後からレベル1に下げていく方法


どちらの方法も正しいです。

ですが、僕は基本的にステップアップ法を用います


というのは、9割以上の喘息患者がレベル1の治療で済んでしまうからです。

僕の場合は、シングレアの継続的内服、最近新たにガイドラインに加わったIPDの内服も併用する場合があります。

それでコントロールがつかない患者さんだけ、レベル2に進んでもらう訳です。

前にも書きましたが、これまで当院でレベル2に進んだ(吸入器を購入してもらった)お子さんは数名しかいません

現代は優れた内服薬が増えてきてますから、ほとんどの喘息が内服でコントロール出来てしまうのです。

オノンのような数世代前のお薬はあまりおススメしません)


なので、僕個人の意見としてはステップダウン法が良いかと思います。

本当は内服だけで済んでしまうお子さんに、吸入器を買わせて毎日朝晩パルミコートを吸入させる・・・僕の経験から言うと9割以上がそういった治療が不要なわけで。。。

最初から吸入器も買わせてフルコースから始めるのは、「不必要な治療は極力しない」という僕の理念に反しますし、そもそもいくらステロイド吸入が安全だからといっても、それが必要ないならやらないに越したことはないかと思います。



喘息の治療でいきなりフルコースから始められてしまった場合は、ちょっと聞いてみた方がいいと思います。

その際、

「ちゃんとガイドラインに沿ったステップダウン方式です」

的な明確な答えが返ってくれば大丈夫でしょう。

あやふやな説明だった場合、その先生は喘息の治療に関してちゃんと勉強していない可能性がありますから注意しましょう


また、内服なしでいきなりパルミコートやフルタイド、キュバールのようなステロイド吸入を単発で始める先生は論外です

スタンダードな治療法ではステロイド吸入は、まず内服を基礎としたうえで行うべきものだからです。


自分のお子さんが喘息ではと思うようであれば、まずちゃんとした治療をしてくれる小児科医を探すことから始めないといけませんね。