「服薬コンプライアンス」という用語が医学の世界にはあります。
医師の服薬指示をどれだけ守れるか、という意味です。
今日は喘息のお話です。
さて、喘息が治らない大きな理由の一つが服薬コンプライアンスの悪さです。
喘息の治療は長期的になります。
基本的には内服を継続するのが大半の患者さんの治療なのですが、薬がちゃんと効いていれば咳は出なくなり発作も起こらなくなります。
ここで我々医師が厳重に説明するのですが、
「咳や発作がなくなったからといって完治したわけではない」
ということです。
咳がなくなったからといって治ったと勝手に判断して、服薬を中止してしまう人がいます。
そういった人は、たいがい咳や発作が再発します。
再発して困って病院に駆け込むわけです。
そこで待ちうけているのは、医師による説教です。
さて、小児喘息の服薬コンプライアンスを左右するのは親です。
たとえ中学生であっても、小児科の年齢である以上、薬の管理は親の責任になります。
中学生くらいで喘息が全然良くならずに、悪化してから来るパターン。
カルテを見れば、前回の受診が3か月前。
1か月分処方した薬はとうに無くなっているはずです。
当然説教開始。
コンプライアンスの悪い親は、たいがい言い訳をします。
「前の薬が残っていたので、なんとかそれで繋いでいました」
前の薬が残っているということは、その薬が余っていた(つまり服薬させていなかった)ことが露呈するわけで、コンプライアンスの悪さを認めるようなものです。
「薬漬けになるのが恐くて・・・」
明らかにその場しのぎの言い訳ですね。喘息の服薬が長期的になることは一番最初に説明して納得いただいているはずです。
「この子がさぼるから・・・」
一番多い言い訳です。小児のお薬の管理の責任は親です。
なかには説教に対し逆ギレしてくる親もいます。
こういっただらしない親は、たいがいすべてにおいてだらしない。
そのしわ寄せは子供に来るのです。
親がだらしないせいで、子供の喘息がいつまでも治らない。
喘息は(ごく例外を除いて)、今や完治する病気です。
それが完治しないというのは、もはや親の責任が大きい。
まあこうやって説教した親は次からは当院に来なくなります。
コンプライアンスの悪い親は、こうやって病院を転々として行く先々で説教され・・・
一番の被害者は子供です。
「俺の言うことを聞け!」
と、偉そうに言うつもりはありません。
ですが経験上、僕(医師)の言いつけをきっちり守って服薬させてくれる、コンプライアンスの良い親のお子さんの喘息は確実にコントロールされているのです。
早い話が、医者の言うことを忠実に守った患者さんほどよく治るってことです。
この5年間で説教した親は何名かいますが、今頃どこにいるんでしょうかね・・・
だらしない親はどこに行ってもだらしない。
一番の被害者は子供です。