親父さん---その1--- | 【実録】ネコ裁判  「ネコが訴えられました。」

親父さん---その1---

とりあえず裁判の事は何も知らないと言っているので額面通り受け取る事にする。

ここで「知ってるだろ」「いや知らない」の押し問答をしたところで仕方が無い。


タロウ     「裁判の事を何も知らないみたいなので……息子さんがワタシを訴えた経緯について……。」

親父さん   「はぁ……。」

タロウ     「少し説明しませんと……ワタシが何しにここに来たか……判ってもらえませんので……。」

親父さん   「はぁ……。」


相変らずキョトンとした顔で聞いている。


タロウ     「最初、ワタシの4年前に死んだ祖父宛に訴状が来ました。」

親父さん   「はぁ……。」

タロウ     「でも、死人相手では裁判が出来ませんから……その訴訟は取り下げられて、

         改めてワタシが訴えられました。」

親父さん   「はぁ……。」

タロウ     「内容は『ネコの付けたとされる車の傷に対しての損害賠償請求』です。」

親父さん   「はぁ……。」


相槌を打ちながら聞いている。


タロウ     「まぁ……経緯詳細は息子さんに聞いてもらえれば分かると思いますので省きますが……

         結果、判決は『訴えの棄却』で……まぁ……息子さんが負けたわけです。」

親父さん   「はぁ……。」

タロウ     「で……裁判所が定めたワタシの訴訟費用の負担請求と、その他裁判の事後処理に関する

         ワタシの要求書を作って、息子さんに送ったのですが……受取拒否をされまして……。」

親父さん   「はぁ……。」

タロウ     「で……今日、ここに持って来た次第です。息子さんに直接渡そうと思って……。」

親父さん   「はぁ……。」


……………。


暫くの沈黙があった。


黙って一部始終をキョトンとした様子で聞いている親父さん……。

そして、どう反応していいか分からない様子である。


「本当に知らないのかもしれない……。」


タロウ     「全然ご存じないですか?」

親父さん   「ええ………。」


………………ちょっと質問を変えてみる。


タロウ     「えっと……息子さんはこちらで働いていますよね?」

親父さん   「いや………。」

タロウ     「え?」


川畑はここ「居酒屋カワバッタ」で働いていない………???

ご近所ネットワークの間違いか???


タロウ     「以前からもずっと働いていないですか?」

親父さん   「いや………前は…………。」


言葉に詰まる親父さん。

ちょっとツッコんでみる。


タロウ     「いつから働いていないんですか?」

親父さん   「………う~~~~ん…………。」


質問を変えてみる。


タロウ     「ここのお店って息子のカズオさんが

         店長って言うか……オーナーだったんじゃないんですか?」


少し考えながら……言いづらそうに口を開く。


親父さん   「………そうですよ………オープン当初はね………ワタシがフォローする立場でした……。」

タロウ     「なるほど………。」

親父さん   「これからは若い感覚で店を……って思いましてね………。」


思い出しながら語る様子の親父さん。


親父さん   「でも……いざやってみると………息子とワタシの方向性の違いと言うか……

         意見の相違と言うか………。」


なるほど………それはワタシも同意するところが多々ある。

ワタシも三代目である。

親子で商売を継いでいく軋轢は良く分かる。


親父さん   「それで……息子は辞めました……

         店はワタシが責任持ってやる事になったんです………。」


………なんと…………せっかく店を立ち上げたと言うのに………しかも責任者として………。

それを投げ出してしまうとは………。


少々親父さんに同情である。


改めて聞く。


タロウ     「それはいつ頃ですか?」

親父さん   「う~~~~~ん………確か………忘年会……新年会の終わった頃でしたか………。」


そうか………一応忙しい時期はやっつけてから辞めたか……。

まぁそれぐらいは当然だろう………。


……………。


……………。


……………。


……………。


……………。


…………………ん?


川畑がワタシの店と、この居酒屋カワバッタのある町内に引っ越してきたのは一月の終わり……。

訴状で「三月の初め頃から1月27日に訂正」 したのでよく覚えている。


モロコアパートはワンルームだ……。

そして係争場所となった駐車場は「居酒屋カワバッタ」名義である。

「係争場所の駐車場」 の不動産屋さんで聞いているから間違いない。


ケツ割って辞めた店のそばにワザワザ引っ越してきて……ケツ割って辞めた店名義の駐車場を使う……。

親子であるから矛盾とまでは言わないが………とても違和感がある。


普通なら「通勤に近いように店のそばにワンルームを借りた」がスジであろう。

そして「店名義の駐車場を従業員用という形で利用」が順当であろう。


裁判中にも、そんな事は言ってなかったか……???


もうちょっと親父さんにツッコんでみよう。






以下次号。






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近況報告



現在引越しのお陰で、家にまだネットが来ていません。

で……記事をせっせと書いてはUSBメモリーで持ち運んで更新しております。


また、試しにとケータイから「ネコ裁判」を見てみました。

そしたら目次だけで1ページ目占領ですね……。


「これではケータイの人に更新状態がわからんな……。」

と言うことで、目次のレイアウトを変えてみました。


今後ともどうぞヨロシクお願いします。