動かないけど、憧れだったホンモノのワゴン・リ客車を体験出来る!と喜び勇んで出かけた「ホテル・オリエントエクスプレス」。
客室は二段ベッド構造で、今の北斗星のツインデラックスみたいな感じだったと覚えている。さすがに実車をもってきただけあって、木の温もりがある室内はゴージャスで感涙モノ。4ヶ国語で表示された各種案内もそのままだった。
室内に洗面台はあったが、トイレは車端部にあるものを共同で使用。お風呂は、ホテル紅葉の大浴場を使うようになっていた。何せ、温泉がウリの大型観光ホテルだったからね。
残念だったのは食事で、てっきり食堂車で食べさせてくれるのかと思っていたら、ホテル紅葉の大広間の一角に列車ホテル宿泊者用が用意され、夕食・朝食共にそこで食べる方式だった。
それでは、何のために食堂車があったのかというと、隣接するレジャーランド「紅葉パラダイス」のアトラクション(?)の一つとなっていたのだ。そこで、翌朝、ホテルのチェックアウトを済ませてから、改めて入園した。
食堂車は、喫茶営業となっていて、コーヒーを飲み、ケーキを食べたと記憶している。食事モノを供する、通常の食堂として営業を行っていた時期もあったようだ。
その食堂車は、それまで映画や写真で見ていたものに比べて、割と簡素なインテリアであり、オリエント急行の食堂車ってこんなものだったっけ…と、イメージ通りだった寝台車に比べて、少々失望したのを覚えている。
さて、この「ホテル・オリエントエクスプレス」。1990年代までは営業していたようだが、稼働率や車輌のメンテナンスの難しさがあったみたいで、営業を終了。そして、撤去・解体の作業中に何かの引火で火災が発生、何と焼失してしまった。何せ、内装は大半が木材だったし、火がついたらひとたまりもなかったことだろう。
今日、10月14日は旧鉄道記念日。1994年に「鉄道の日」となってから、早や20回目となった。最近はさまざまな観点から、鉄道が話題になることが多くなった。
近未来に開業する北陸新幹線や北海道新幹線、そしてリニア新幹線など速達性重視路線は日本のお家芸になったが、オリエント急行のように、後世まで名を残すような名列車が日本に誕生する日は来るのだろうか。