米側は事前協議で「米国産牛肉の輸入規制緩和や日本の自動車など一定の分野の市場開放」の成果を得、「農業分野の例外品目を事前に設ける合意はない」と、「聖域は守る」とする自民党の空手形を完全否定。

 農業は「このままなら安楽死」、TPP参加の唯一のメリット?自動車の輸出増も事前協議で望み薄。

 そんななか、北海道札幌ではなんと、政府・自民党のため?気を回した?札幌市選管が、
JA北海道のTPPビラ配りが公選法に抵触の恐れありと警告、JAの言論の自由を封殺。

 捜査権も調査権もない選管が、TPP参加反対、脱原発運動など選挙期間中の表現活動を規制することは、明らかな越権行為というより、特定の政党への間接的アシスト、公選法違反の恐れもあるのでは?

※「自民に逆風の地」記事中の中川郁子衆院議員は、安倍総理のかつての盟友、故・中川昭一元財務大臣の未亡人、先の衆院選でリベンジを果たしたばかり。

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 Yahoo!ニュースより
日本に「再交渉、蒸し返し認めぬ」…TPPで米
【米通商代表部(USTR)のフローマン代表は18日、オバマ政権の通商政策について下院歳入委員会で証言した。

 環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への日本の参加問題を巡り、「(まとまった交渉文書の)再交渉も、蒸し返すことも日本に認めない」と述べ、日本が23日に正式参加しても交渉を遅らせない考えを強調した。年内に妥結するという目標も、「野心的だが、実現可能だ」と堅持する姿勢を示した。

 日本からコメなどの農産品で関税撤廃の例外を求める声が出ていることについて、「事前には、いかなる例外も認めていない。日本はすべての品目を交渉対象とすることに同意していることが重要だ」と指摘した。】

 産経ニュースより
TPPと農業 「米に身ぐるみはがされる」「このままなら安楽死」…鈴木宣弘、山下一仁両氏が激論
【日本は23日から環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉に初参加するが、関税撤廃に伴う影響が大きいとされるのが国内農業だ。TPPは農業を壊滅させるのか。それとも所得減や高齢化にあえぐ農家の現状を変革させるきっかけとなるのか。東京大学大学院の鈴木宣弘教授とキヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹に聞いた。(水内茂幸)



 ≪鈴木宣弘氏≫

「ゼロ関税で輸出」は空論

 --TPPに参加した場合、国内農業はどのような影響を受けるか

 「TPPの出発点は『すべての関税を例外なしに撤廃』だ。自民党が『死守する』と宣言したコメなど農産物の重要5分野の関税は、過去の自由貿易交渉などで1度も撤廃したことがない。『これだけは譲れない』と死守してきた日本の生命線だ。米カリフォルニア米の生産コストは60キロ当たり2千円程度だが、日本は1万円以上。狭い国土の日本では土地を集約しても、1区画で100ヘクタール規模の農地を持つ豪州には到底歯が立たない。競争条件が違い過ぎる。ゼロ関税で『輸出産業に』というのは机上の空論だ」

--自民党は重要5分野が守れない場合、脱退も辞さないと訴えている

 「詐欺と言わざるを得ない。2月に安倍晋三首相とオバマ米大統領が発表した日米共同声明では、冒頭から『TPPのアウトラインに基づき、すべての品目を高いレベルで交渉する』とある。TPPのアウトラインとは関税の全廃だ。また4月に発表された日米の事前合意では、交渉参加の『入場料』をしっかり支払わされた上、食品の安全基準を含む非関税障壁などの積み残し分について日米2国間の並行交渉で解決すると明文化された。最初から並行協議で米に身ぐるみはがされることを約束しているようなものだ。『交渉で聖域を取る』というが、事後参加のカナダも屈辱的な交渉権の制約をのまされた。交渉では日本に残された時間も権利も少ない。国益の破綻はすでに明白だが、実務的な交渉の途中での脱退など通常ありえない」

 --農産品を「鎖国」で保護しても農業は衰退し続けたとの指摘がある

 「意図的な情報操作で、実態は逆だ。日本の農産物の平均関税は経済協力開発機構(OECD)の統計では11.7%。欧州連合(EU)は20%程度あり、日本の関税は相当に低い。その一方で、日本の農業所得に占める補助金の割合は、私の試算で20%に満たない。欧州各国は9割を超えている。米国も稲作経営農家の所得の6割は補助金だ。先進国で一番保護を削減した農政ゆえに、農家の所得は下がり高齢化が進んだのに、さらにTPPに参加したら、農家の息の根を止めてしまう」】一部抜粋

 TPP交渉前夜(上)“上げ潮”自民に逆風の地
【北海道幕別町のホテルで29日開かれた自民党の中川郁子(ゆうこ)衆院議員の後援会会合は独特の緊張感に包まれていた。日本が7月23日に交渉に参加する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関し、中川氏が「謝罪」を口にするかどうか。出席者の関心はこの一点に集まっていたといってよい。

 「十勝の皆さんは入り口から反対でしたが…」

 十勝管内を選挙区とする中川氏は一瞬言葉に詰まった後、意を決したように語り出した。「各国が守りたい事柄を協議する場に(事態は)変わった。『関税ゼロ』でなく守らなければならないものを守る。それをぜひご理解いただきたい」

 続いてあいさつした二階俊博総務会長代行もこう言い切った。

 「北海道の皆さまに顔向けできないことや、中川さんが帰ってこられないことは絶対にしません」

 会場は拍手に包まれた。

 中川氏の「謝罪」に注目が集まったのには伏線がある。安倍晋三首相によるTPP交渉への参加表明を受け、4月に帯広市で行われた党北海道連主催のTPPに関する説明会のことだ。

 「あなたは(昨年12月の)衆院選で『TPP断固阻止』と言ったはずだ。まず謝罪はないのか!」】