指揮官は語る(イバン・ロドリゲス編part2)第1部 | 欧州野球狂の詩

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日本生まれイギリス育ちの野球マニアが、第2の故郷ヨーロッパの野球や自分の好きな音楽などについて、ざっくばらんな口調で熱く語ります♪

 昨シーズン、久々にドイツ・ブンデスリーガでのタイトルを逃すこととなってしまったレーゲンスブルグ・レギオネーレ。復活を期す名門が今年新たな指揮官として迎え入れたのが、オランダジュニア代表などでも指導にあたっていたベネズエラ出身のイバン・ロドリゲス監督でした。ロドリゲス氏については、以前もこのブログにてミスターベースボールが実施したインタビューの翻訳記事(http://ameblo.jp/systemr1851/entry-11936566349.html )を掲載していますが、今回は何とご本人からの依頼により独自の取材をさせてもらえることになりました。


 今回はそのロドリゲス監督への質問とその回答への数々を、ここでご紹介したいと思います。昨日の段階では「一週間くらい時間をくれ」と言っていたのが、自分からの質問に答えるのが楽しすぎて結局現地時間今朝の午前1時まで起きていたというロドリゲス氏。そんなおちゃめな(?)指揮官へのこのインタビューが、読者の皆さんに取って非常に意義あるものになってくれたら嬉しく思います。結構分量があるので、合計3つほどのセクションに分けてお届けするつもりです。それでは早速、レギオネーレにまつわる質問をぶつけた第1部をどうぞ。




(イバン・ロドリゲス監督(右から2人目))


―:既にレーゲンスブルグ入りされているとお伺いしました。昨年にも、記者会見に出席するためにレーゲンスブルグには既に行かれていますが、その時と比べてご自身のメンタルやチームの状況に何か違いはありますか?

ロ:それほど大きな違いはないね。レーゲンスブルグには去年の11月14日に来て、それ以来週6日ブンデスリーガに参戦している一軍と、アカデミーの子供たちの両方を教えているんだ。私の指導の根幹にあるのはハードワークと規律だ。自分は本当に素晴らしいコーチングスタッフに恵まれているし、選手たちは今までにないくらい練習に励んでいるよ。その成果は徐々に見えてきているんだ。


―:ブログ読者の皆さんに、改めてクラブの紹介をお願いします。

ロ:レーゲンスブルグ・レギオネーレは、バイエルン州レーゲンスブルグに本拠を置く野球とソフトボールのクラブだ。ドイツのレンタカー会社で、現在の球団スポンサーでもあるブッシュビンダー・オートモービル社の名前を取って、ブッシュビンダー・レギオネーレ・レーゲンスブルグとも呼ばれているよ。1987年に創設され、現在我々の一軍はブンデスリーガ1部でプレーしている。


レギオネーレの本拠地であるアーミンウルフ・ベースボールアリーナは、ヨーロッパでもベストかつ最も重要な施設と位置付けられているボールパークの1つだ。1996年にレーゲンスブルグに建てられたこのスタジアムは最大で1万人の収容能力を持ち、2009年のW杯と2013年のWBCヨーロッパ予選、そして昨年のヨーロッパ選手権のホストとなった。又、MLBが運営するアカデミーの大会もここで開かれている。現在球団では、オフィスと寄宿舎を建設する新たなプロジェクトを推し進めていて、これには事務やクラブハウス、第2球場も含まれている。これらは、ヨーロッパ球界における新たなスタンダードを手に入れるためのパズルの最後の1ピースであり、その入手によってさらに上のレベルに行けると確信しているよ。


W杯当時のアーミンウォルフ・アリーナ


(写真上:本拠地のアーミンウルフ・ベースボールアリーナ。写真下:2010年にドイツ王者に輝いた時の写真)


―:レギオネーレはエバン・ルブラン、ルドウィグ・グラサー、クリス・ハワードといったスラッガーを揃えた、重量打線が売りのチームだと自分は見ています。今年もこのチームカラーはほぼそのまま受け継ぐのでしょうか?それとも、何か新しい色をチームにつけようと考えていますか?

ロ:今年も彼らには自分たちの打撃をしてもらいたいと思っている。私はアグレッシブに、攻撃的にゲームを戦うのが好きなんだ。より積極的に走塁を仕掛けて走者を塁に置くこと、それによってしか得点を重ね勝つことはできないからね!!自分のチームのたった1人の活躍だけに依存して勝つのは好きではないんだ。もちろん、自分たちが何をできるかは見てみる必要はあるが、アグレッシブにプレーできる力があるなら私はそれを選ぶよ。


―:このオフシーズンは、ビッグネームがそれほどチームに加わらなかった印象があります。今オフの補強をどう評価していますか?

ロ:私のチームは、去年からさほど大きくは変わらないものになる予定だ。もちろん、何人かの選手は学校や仕事の関係で現役生活をストップしたけれど、彼らが抜けた分は新しい血を補うつもりでいる。しかし、こうした新しい選手たちもブンデスリーガで戦える事を証明し、ラインナップを自ら勝ち取らなきゃならない。チームには素晴らしいタレントを持った選手たちがたくさんいるから、そのチャンスが生まれた時に彼らにも出番が来るだろう。


―:ミスターベースボールによるインタビューでは、あなたは若い選手たちに対してハードワークを促すと仰っていましたね。それ以外に、彼らをスタメンとして登用するか否かを決める基準のようなものはありますか?

ロ:コミットメントとプライドだね!!ブンデスリーガのレベルは年々上がっているから、彼らはレーゲンスブルグ・レギオネーレの一員としてプレーできることを本当に誇りに思わなきゃいけない。一方で、自分たちがどういう立ち位置にいて、どんなことをこれから経験しようとしているのかについても学ばなきゃいけないんだ。


―:もしリーグタイトルを獲得するうえで、何人かキープレーヤーを挙げてほしいと言われたら、誰の名前を挙げますか?

ロ:個人の選手の名前を挙げることはしないよ。もちろん、我々のチームには根幹を支えるキープレーヤーが何人かいるし、MVP級の力を持っている者もいる。しかし、私は全ての試合においてスタメンの9人とベンチのメンバーが、一緒になってチャンピオンシップを目指さなきゃいけないと思っている。我々は常に一緒だし、知っての通り野球は個々の選手たちのハードワークによって成り立つ団体競技だからね。


―:レギオネーレはここ数年、ドイツ球界において王朝を築き上げ続けてきましたが、残念ながら昨シーズンは非常に難しいものとなってしまいました。また、同じ南地区のハイデンハイム・ハイデコッフェやシュツットガルト・レッズなどのライバルチーム、さらに北地区のクラブもかつてないほどレベルを上げています。一般論として、そしてチームの指揮官としてこういった状況をどのように見ていますか?

ロ:これこそが、球団が私を雇った理由の1つだろうね。我々はドイツで最もベストな野球チームの1つであり、それにふさわしいポジションに戻ることが何より大事だったんだ。もちろん、君が言うとおり他の球団も物凄く力を伸ばしているから、それを成し遂げるのは決して簡単なことではない。それでも我々はそれを成し遂げるつもりでいるし、最も重要なのはレギオネーレというクラブはプレーオフを勝ち抜くのに、他球団のように7人もの外国出身者をロースターに加える必要はないということさ。




―:レギオネーレは今年、コーチングのスタイルを大きく変えましたね。見たところ、今年から導入された人員配置は日本球界で広く採用されているものと似ているように見受けられます。ひょっとして、この改革には日本野球からインスパイアされたものがあったのでは?

ロ:その通りだよ!!日本は国際球界を文字通りリードする存在だし、元々私はより良い結果をもたらすための新しい仕組みを作るのが好きなんだ。例えばガーナに行ったとしてもそこで何か自分たちにとって参考になるものを見つけられるだろうし、それを持ち帰ってうまく取り入れていくことはできる。野球はグローバルなスポーツであり、君たち日本人は本当によくやって結果だって出している。ならばそのやり方をヨーロッパで導入してみてもいいはずだろ?


―:地元レーゲンスブルグの観客についてどう思われますか?彼らはこの2015年シーズンを勝ち抜くための力となってくれるでしょうか?彼らに対するメッセージを是非。

ロ:我々のファンはとても大切な存在だよ。彼らは本当にチームを支えてくれている。そのことに誇りを持っているし、何より野球というゲームをよく知っているんだ。まさに10人目の選手と呼ぶにふさわしい存在だよ。私はテレビで、W杯やWBC予選やヨーロッパ選手権での彼らの姿を見てきたけれど、彼らはまさにスタジアムにおいて自分たちが必要とする存在なんだ。彼らはまさにダイハードなファンなんだよ、イタリアにもいるみたいなね!!オランダにさえ彼らのようなファンはいないだろう。オランダでも、スタジアムが満員になるのはファイナルであるオランダシリーズの時くらいさ。私はこの街の人々は、他のどのヨーロッパの国々よりも優れたスポーツマインドを持っていると信じているよ。