アレックス・リッディがイタリア人初の大リーガーに | 欧州野球狂の詩

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 9月1日より、ベンチ入り枠がそれまでの25人から、40人に広がるMLB。マイナーに所属する若手にチャンスを与えるための制度ですが、今年のマリナーズにはそれによって、新たな歴史が生まれました。日本時間の昨日、イタリア人三塁手のアレックス・リッディ内野手(23)が、AAA級タコマからマリナーズに昇格。史上初のイタリア人大リーガーが誕生しました。


 イタリア・サンレモ出身のリッディは、2005年に母国のティレニアにある、MLBヨーロッパアカデミーに入学。そこでのプレーが認められてマリナーズと契約、以後とんとん拍子で上位リーグへの昇格を果たしてきました。打撃開眼を見せたのは、A+級に所属していた2009年のことで、この年は打率.345、23本塁打、104打点という見事な成績。一躍、トッププロスペクトとして名を馳せるようになります。以後、マイナーでは3年連続で90打点以上を記録。今年はAAA級で、打率.259、30本塁打、104打点、121得点をマークし、タコマのクラブ史上2番目となる、同一シーズンでの100打点と100得点を達成した選手となりました。


 イタリア生まれのリッディが野球に憑りつかれた背景には、彼の祖父の家族が出稼ぎのために、イタリアからアメリカのロサンゼルスに渡った際、そこで野球をプレーしていた父親の存在があります。一家はアメリカで成功したのちに母国に戻り、同時に野球に関する知識や、競技に対する情熱までもを持ち帰りました。それが、幼い頃のアレックス少年にも受け継がれたというわけ。少年たちの誰もが、まずはサッカー選手となることを夢見るイタリアにあって、リッディは最初から、サッカーにはまるで目を向けなかったのだとか。


 昇格に際して、FOXスポーツのインタビューを受けたリッディは「僕の国では、依然としてサッカーが最大のスポーツだ」と語る一方、「もしイタリア人プレーヤーがメジャーで活躍するようになれば、イタリアでも中継を通じて、人々が野球に触れる機会は増えるだろう。パブリシティが増えれば、イタリアの子供たちももっと、野球をやりたいと思うようになるかもしれない」とも示唆しています。今回のメジャー昇格で、リッディはまさにその第一歩となったわけですね。


 平凡な打率に170三振、さらに三塁の守備率も.943と、攻守に粗さも目立つリッディですが、今春のオープン戦で2試合連続のグランドスラムを放つなど、その長打力と勝負強さは一級品。一軍が記録的な貧打に悩んでいる今、その打棒にかかる期待は大きいものと思われます。今回の彼の昇格は、以前からある程度予想されていたとはいえ、やはり現実のものになったというのは記念すべきこと。ここをゴールではなく、スタートにするつもりで、大活躍できるよう頑張ってもらいたいですね。一野球ファンとして、応援していきたいと思います。