完全復活。。第40期棋王戦5番勝負/第3局「渡辺棋王完勝でストレート防衛達成」
3連覇を目指す渡辺明棋王に
羽生善治名人が挑戦する、第40期棋王戦5番勝負。
ここまで2局を消化し、渡辺棋王が2連勝。
タイトル防衛に王手がかけられて迎えた注目の第3局が
本日、新潟県柏崎市「岬ひとひら」にて開幕。。
第3局の先手は渡辺棋王。
その初手は角道を開ける▲7六歩から。。
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△羽生名人: なし
一方、カド番でもう後のなくなった
羽生名人は2手目に飛車先を突く△8四歩と返し
対局はスタートとなりました。。
早々と居飛車を明示し
戦型の選択権を先手に委ねた羽生名人に対して
渡辺棋王の作戦が明らかとなるのが次の3手目。
▲6八銀からの「矢倉」も十分考えられましたが。。
3手目▲2六歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△羽生名人: なし
渡辺棋王は3手目に飛車先の歩を突いて
「角換わり」を指向します。。。
10手目△7七角成。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△羽生名人: 角
戦型の選択権を委ねたからには
羽生名人も文句もなしと定跡手順で指し進み
上図10手目に自ら角交換を敢行。。
手損のない「ノーマル角換わり」となりました。
25手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△羽生名人: 角
角交換成立後も
両者は前例を踏襲しながら早いテンポで指し進み
後手に続けて(24手目△5四銀)、先手も右の銀を
中央5筋に繰り出し戦型は「角換わり相腰掛銀」に。。
現在の「角換わり」の前提と言ってもいい戦型が
この大一番でも採用されました。
35手目▲6六歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△羽生名人: 角
着々と駒組みが進行する中、上図から次の手で
△7四歩型に構えた羽生名人の方針が決まります。。
△7三桂なら「先・後同形」模様に
△3三銀なら羽生名人は専守防衛に徹するものと
思われますが。。
36手目△3三銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△羽生名人: 角
羽生名人は特に時間を使うでもなく△3三銀とし
先手の攻撃を受けて立つ姿勢を明示しました。。
40手目△2二玉。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△羽生名人: 角
先手に続き(39手目▲8八玉)
上図の局面で後手も玉の入城を完了。
双方、一応の駒組みが完成すると
次に渡辺棋王が2筋の飛車先を決めたのをみて。。
(41手目▲2五歩)
42手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 角
△羽生名人: 角
羽生名人は
6筋の歩を突き合わせ仕掛けを開始。。
かと、思いきや。。
43手目▲6四角。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: なし
△羽生名人: 角
渡辺棋王は
羽生名人が歩を突き出して出来た6筋のスペースに
手持ちの角を機敏に打ち込み、逆に仕掛けを開始します。
上図から、以下
△9二飛~▲4五歩~△同歩~▲同桂~△4四銀~
▲6五歩~下図50手目△7五歩と進行。。
50手目△7五歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩2
△羽生名人: 角、歩
角を基点に駒を盛り上げた渡辺棋王に対して
羽生名人が7筋の歩を突き返した上図の局面で
午前の対局は終了となり、お昼休憩に突入。。
【 お昼のメニュー 】
渡辺棋王: 刺身定食
羽生名人: 天ぷらそば
52手目△3七角。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩3
△羽生名人: 歩
午後の対局開始の一手で
渡辺棋王が突き合わされた7筋の歩を角で払うと
羽生名人はすかさず先手陣に角を打ち込み
渡辺飛車のこめかみに突き立てます。。
63手目▲4六金。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩4
△羽生名人: 歩2
互いに角を基点として駒組みを再構築。。
渡辺棋王は守りの要である金も上部へと繰り出し
後手の馬をけん制しつつ、手厚い模様を張ります。
この手に対し
羽生名人が2筋に孤立した玉を3筋に寄せると。。
(64手目△3二玉)
65手目▲2四歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩4
△羽生名人: 歩2
渡辺棋王は2筋で歩を突き合わせます。。
すると、羽生名人は。。
66手目△8七歩。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 歩4
△羽生名人: 歩
この歩を手抜いて
渡辺玉の頭上に気合一発、叩きを入れました。。
渡辺棋王が▲同金(67手目)で払うと
以下、△2四歩~▲2二歩~△4八歩~▲同飛~
△3七馬~▲4九飛~△4八歩~▲2九飛~△4六馬に
下図77手目▲2一歩成。。
77手目▲2一歩成。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 桂、歩5
△羽生名人: 金
双方、目一杯歩を利かせ合いながら
羽生名人は金を、渡辺棋王は桂馬をゲットし
いよいよ終盤戦に突入いたします。。
81手目▲2二飛成。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 桂、歩6
△羽生名人: 金、銀、桂
羽生名人は後手の飛車先を放置し
銀を取り込み強く前へ。。
しかし、渡辺棋王は
流れに乗って飛車を成り込み王手。。
盤上に危険なムードが漂います。。
94手目△6七馬。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 金、銀、香、歩5
△羽生名人: 角、銀、桂、歩
羽生名人は貴重な金をタダ捨てして
強引に渡辺龍のポジションを1二の地点に誘い
先手陣に構える馬を当てる勝負手を放ちますが。。
しかし。。
95手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲渡辺棋王: 金、香、歩5
△羽生名人: 角、銀、桂、歩
この手はまだ「詰めろ」とはなっておらず
渡辺棋王は馬の退路を銀でガッチリと塞ぎました。。
【 投了図・107手目▲8二同龍 】
投了図での持ち駒
▲渡辺棋王: 飛、金、歩4
△羽生名人: 銀2、桂、香、歩3
最後は寄せ合いとなるも
開戦後の攻防で主導権を握っていたのは
間違いなく、渡辺棋王。
その流れは最後の最後まで覆ることは無く
上図107手目の局面をみて羽生名人は無念の
投了となりました。。
番勝負を通じて強さをみせつけた渡辺棋王が
この瞬間、見事開幕3連勝とストレート勝利を飾り
棋王3連覇を達成しました!
□□□
以下の出版社にて好評発売中!
・AmazonKindle
・GoogleBooks
・GooglePlayBooks
・iBooks
【 序 章 】
「私と将棋界」
柔らかブログ誕生のきっかけとなった
第21期竜王戦以降の将棋界を熱く振り返ります。
【 第一章 】
「愛知女子将棋界の駒音」
山口真子さん/中澤沙耶さんインタビュー
【 第二章 】
「明日咲く花」
今泉健司さんへのエール&ミニインタビュー