第73期A級順位戦/4回戦「渡辺二冠-郷田九段は電王戦タッグマッチを踏襲」
4手目△8八角成。
上図での持ち駒
▲三浦九段: なし
△佐藤九段: 角
本日行われています
第73期A級順位戦/4回戦は豪華三本立て 。。
開幕から無傷の3連勝中
久しぶりの名人挑戦に向け最高のスタートを切った
我らの闘将・佐藤康光九段は、三浦弘行九段と対戦。。
佐藤九段とは対照的に
順位戦開幕からまだ白星のない三浦九段が先手で
初手から▲7六歩~△3四歩~▲2六歩~と進行し
上図4手目に、佐藤九段が「一手損角交換」を敢行。。
8手目△3三銀。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 角
△佐藤九段: 角
角交換成立後
佐藤九段は左の桂馬を3三の地点に繰り上げてから。。
10手目△2二飛。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 角
△佐藤九段: 角
飛車に手をかけ
4筋に途中下車することなく、2筋へと一振り。。
佐藤九段が心血を注ぎ磨きをかけた熱き戦法
「ダイレクト向かい飛車」に構えました。。
42手目△5五銀。
上図での持ち駒
▲三浦九段: 角
△佐藤九段: 角
生粋の居飛車党である
三浦九段はもちろん居飛車で迎え撃ち
手堅く「銀冠」に玉を固めます。。
一方の佐藤九段も先手に呼応し
「美濃囲い」からさらに遠くて堅い「穴熊」へとシフト。
5筋で銀をぶつけて、仕掛けを開始しました。。
□
40手目△9五歩。
上図での持ち駒
▲森内竜王: なし
△広瀬八段: なし
順位戦ここまで2勝1敗同士
本局に優勝争いの生き残りをかける
注目の「森内俊之竜王-広瀬章人八段」の一戦は
森内竜王の先手で「相矢倉」へと進行しました。
定跡手順の進行から
森内竜王は現代矢倉の主流である
攻撃的な「▲4六銀3七桂」型に駒を組みあげます。
上図の局面で
広瀬八段は9筋の歩を突き越し。
まだまだ定跡の範囲内であり
次に先手の指し手は▲1八香、あるいは▲3八飛が
一般的ですが。。
41手目▲5八飛。
上図での持ち駒
▲森内竜王: なし
△広瀬八段: なし
森内竜王は飛車に手をかけるも
3筋ではなく、やや珍しい中央5筋へと振りました。。
ちなみに、この局面でお昼休憩に突入。
森内竜王は冷やしたぬきそばを注文したのに対し
広瀬八段はあえて注文はせず、お昼は非公開に。。。
76手目△2二銀。
上図での持ち駒
▲森内竜王: 歩2
△広瀬八段: 桂
午後からの折衝で
5筋の位を確保した森内竜王に対して
広瀬八段は桂得を主張し「穴熊」へとシフト。。
9筋には飛車を据えて端攻めをみせつつ
ガッチリと銀のハッチを閉めました。。
□
2手目△8四歩。
上図での持ち駒
▲郷田九段: なし
△渡辺二冠: なし
優勝候補の本命と目されながら
今期順位戦の開幕で森内竜王との大一番 に敗れ
そこからまさかの3連敗となった渡辺二冠も本日登場。
居飛車の本格正統派・郷田真隆九段と対戦中。。
先手・郷田九段の初手▲7六歩に対して
今年から後手番では振り飛車を主戦に据えている
渡辺二冠は2手目△8四歩と突き、居飛車を明示しました。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲郷田九段: なし
△渡辺二冠: なし
▲6八銀とし
将棋の看板戦法、「矢倉」での勝負を挑みます。。
16手目△5二金。
上図での持ち駒
▲郷田九段: なし
△渡辺二冠: なし
渡辺二冠も望むところと先手の駒組みに追随し
一路、「相矢倉」を目指す進行となりました。
上図では変えて△7三歩~△5三銀右~から
急戦を目指す手もありますが、渡辺二冠は現在の流れである
持久戦を指向しました。
気になる両者の対戦成績は
ここまで24戦して、渡辺二冠が15勝9敗とリード。
9月13日に
郷田九段と同世代の佐藤康光九段を相手に
全盛期を髣髴とさせる強さをみせつけての完勝 を飾った
渡辺二冠は、本局がそれ以来の公式戦。
復活が本物かどうか
本局は試金石の一戦となります。
33手目▲4六銀。
上図での持ち駒
▲郷田九段: なし
△渡辺二冠: なし
確立された定跡を踏襲し
双方、「矢倉囲い」の中へ玉の入城を完了。
郷田九段は右の銀を4筋へと繰り出し
現代矢倉の主流である「▲4六銀3七桂」型を目指します。
が、しかし。。
34手目△4五歩。
上図での持ち駒
▲郷田九段: なし
△渡辺二冠: なし
次の瞬間
渡辺二冠は戦場に顔を出したばかりの
先手の銀を歩で叩きました。。
この手は一見、味が良さそうですが
定跡本などでは先手の方に分があると解説されている
一手ですが、あの渡辺二冠が投入したからには、何か
新しい発見、動きがあったということ。。
この手に対して
郷田九段は銀を元居た3七の地点に繰り下げると(35手目)
以下、△5三銀~▲4八飛~に△5五歩!~▲4六歩~
▲5六歩~下図41手目▲4五歩と緊迫の進行。。
41手目▲4五歩。
上図での持ち駒
▲郷田九段: 歩
△渡辺二冠: 歩
渡辺二冠が
5筋の歩を突き合わせた局面は(38手目△5五歩1)
何と自身が解説をつとめた電王戦タッグマッチの第1局
「船江恒平五段・ツツカナ-△菅井竜也五段・習甦」を踏襲。。
賛否両論のある電王戦タッグマッチの棋譜に
現代将棋界のトップの一角を担う渡辺二冠が自らの対局で
再現したことにより、お墨付きを与えた形となりました。。
無頼な剣豪・郷田九段も真っ向から受けて立ち
渡辺二冠は5筋を、郷田九段は4筋をそれぞれ歩でえぐり
盤上のボルテージはそのまま一気に沸点へ。。。
52手目△8五桂。
上図での持ち駒
▲郷田九段: 歩2
△渡辺二冠: 歩2
郷田九段は飛車先から突進するも(51手目▲4四歩)
渡辺二冠は構うことなく右の桂馬を跳躍させて
頭上から「郷田矢倉」に圧力を加えますが。。
53手目▲6五歩。
上図での持ち駒
▲郷田九段: 歩2
△渡辺二冠: 歩2
郷田九段も本領発揮。。
桂馬に狙われた銀を逃がすことなく
渡辺角の頭上に歩を突き立て、いざ決戦を挑みます。。
この局面までで夕食休憩へ。。
トップ棋士同士が真っ向から激突する
最高峰・A級の熱き戦い。。。今夜は眠れそうにありません!