いよいよ明日、第２回電王戦開幕。。
この棋士は
救世主か、犠牲者か。。。
著しい進化を遂げる将棋ソフトと
現役のプロ棋士が対戦する、第２回将棋電王戦。
昨年の１月１４日。
今はなき、米長邦雄永世棋聖がボンクラーズと対戦した
記念すべき第１回電王戦は、１１３手までで
終局後の記者会見では、さわやか流の魅力爆発
米長節全開 で器の違いをみせつけた米長永世棋聖でしたが
肝心の対局ではわずかな隙に包囲網を破られ完敗。
２０１０年１０月にも、東京大学にて
「あから２０１０」と対戦した清水市代女流王将（当時）が黒星を喫し
２回続けてプロ棋士がコンピューターソフトに敗れるという
悔しい結果となりました。。
しかし、そうはいっても
「女流」の代表と、「元」と注釈のつく「棋士」に勝利したという
事実だけでは満足しない将棋ソフト軍団と
「これ以上、黒星を重ねるわけにはいきません
米長会長、見ていてください！」と男気満点に立ち上がった
現役のプロ棋士が
はったりもギミックもなしに対戦することが
第１回電王戦終了後すぐに決定。。
それも、５ｖｓ５の団体戦で勝負を決めようという
ガチンコ対決で、第２回電王戦が行われることになりました。
第２回電王戦の
将棋ソフト側の代表は、昨年の５月に開催された
第２２回世界将棋コンピュータ選手権 の上位５位までが出場。
プロ棋士側は
阿部光瑠四段、佐藤慎一四段、船江恒平五段、塚田泰明九段
そして大将は、将棋界の顔であるＡ級棋士・三浦弘行八段。
以上の５名が選抜されました。
この中で
何といっても目をひくのが、三浦八段。
三浦八段が登場するということは
相撲でいったら優勝経験もある在位１０年を誇る
現役バリバリの大関が土俵に入ったのとほぼ同じ意味。。
もし、三浦八段が負けるようなことがあれば
団体戦の結果に関わらず、次にソフトの相手として出てくるべきは横綱。
森内俊之名人、渡辺明竜王、そして羽生善治三冠の３名からとなり
つまりは将棋界の看板をかけなければ筋が通らなくなるだけに
三浦八段は
物凄く大きなものを背負っての、覚悟の出陣と言えます。
また、三浦八段が参戦することで
日本将棋連盟の本気度と、これから重要なコンテンツとなりうる
将棋ソフトの実力への信頼と期待の大きさが証明されたことにもなり
単なる余興から、歴史的イベントへと電王戦は昇華しました。
もちろん、他の４名の棋士にとっても
将棋で飯を食っていく上で、敗戦は大きなリスクとなるのは
明白なだけに、この依頼を引き受けた勇気と心意気には
多大なる敬意が払われるべきだと思います。
昨年の１２月に逝去した
米長会長の肝いりではじまった電王戦。
その意志を受け継ぎ
様々な方の協力、そして努力の結晶でもある第２回電王戦。
いよいよ明日
第注目の第１局目が行われ、開幕の時を迎えます。
＜第２回電王戦/第1局＞
阿部光瑠四段－習甦
開幕戦を飾るのは
現在１８歳、青森県は弘前市が生んだ光速棋士
阿部光瑠四段。
阿部四段の今期ここまでの成績は
３７戦２２勝１５敗（．５９５）。
プロデビューを果たした年でもある
２０１１年の年末、朝日杯で強烈な快進撃を披露した 阿部四段。
順位戦の序列最下位で最高位・名人に勝利するという
史上初の快挙 を達成しました。
特に持ち時間の短い将棋で鋭い切れ味を発揮し
アマチュア時代にはネット将棋で腕を磨いた経歴からも
今回の団体戦で先陣を切るにうってつけの棋士といえそうです。
対しますは
「いつか羽生善治三冠に白星を積み重ねたい」という願いをこめて
「羽生」の文字をその名に忍ばせた将棋ソフト「習甦」
開発者の志の高さがうかがえる、素敵なネーミング。。
世界コンピュータ選手権５位の実績で
出場権を獲得しました。
「秘策はありませんが
普段通り努力して、本番で実力を出せるように頑張ります。」
イベントの実現にご尽力いただいた皆様に感謝しています。」
（プログラマー・竹内章氏）
（将棋世界２０１３年４月号より。コメント一部抜粋）
開演時刻は午前９時半。
すでにタイムシフト予約数が１万人を超える人気となっており
注目の高さがうかがえます。。
実に興味深く楽しみな一戦。ぜひお見逃しなく！