泥臭く、さわやかに。。若き精鋭の「相矢倉」
本日の将棋界は
米長邦雄日本将棋連盟会長死去 の訃報が昼頃一斉に伝わり
大きな悲しみと動揺に包まれています。
米長先生は永世棋聖の称号を獲得し
49歳の時には、史上最高齢で悲願の名人となるなど
輝かしい実績とともに、その名を歴史に深く刻んだ 超一流棋士。
しかし、最近では何といっても
日本将棋連盟の会長としてご活躍する姿が強く印象に残ります。
米長先生はご自身のブログ「まじめな私」 の
最後の更新となった12月2日付の投稿「最後の時(2)」の中で
「私自身の人生を振り返ってみると
60才までの勝負師人生、その後の経営者としての人生に
分けられるような氣がします。」
と振り返っていますが
ただただ、その一手に己の存在の全てをかける
厳しくも、ある意味で純真無垢な勝負師とは180度違う
魑魅魍魎、奇奇怪怪、人間の嫌らしさ、汚らしさと
とことん向かい合わなければならない経営者としての立場での
ご苦労、また孤独感は想像を絶するものであったはず。
しかし、いつも明るく、さわやかに。
将棋とインターネットの相性の良さをいち早く見抜き
また自ら旗振り役 となり将棋ソフトとの対戦を積極的に 行うなど
将棋界が今後生き残っていくための道しるべをつくった功績は
本当に偉大であり、心の底から尊敬しています。
これからは、存分に将棋と向き合い
快心の一手をとことん探求してください。
好色一代男ばりの浮名や、いかがわしさも含めて
お見事な人生でした。 合掌。
□□□
されど勝負は続きます。
本日は第71期順位戦のC級2組で
7回戦・一斉対局が、東京と大阪に分かれて計22局
行われています。
3手目▲6八銀。
上図での持ち駒
▲斎藤四段: なし
△牧野四段: なし
このうち
昨日ご紹介させていただきました注目のニューカマー
順位戦開幕6連勝中のイケメン・斎藤慎太郎四段と
長身の怪奇派・牧野光則四段の一戦は、斎藤四段が先手。
居飛車党の両者の対戦ということで
初手から▲7六歩~△8四歩~▲6八銀~の出だしとなり
「矢倉」模様へ。。
18手目△5二金。
上図での持ち駒
▲斎藤四段: なし
△牧野四段: なし
後手・牧野四段も先手に追随し
定跡手順で「相矢倉」を目指す展開となりましたが
16手目に牧野四段が△7四歩と突き、急戦を示唆。。
しかし、斎藤四段の17手目▲6七金右をみて
牧野四段は何事もなかったかのように△5二金とし
持久戦模様の駒組みが継続されます。。
32手目△2二玉。
上図での持ち駒
▲斎藤四段: なし
△牧野四段: なし
先手玉に続いて(31手目▲8八玉)
後手玉も入城を果たし、格調高く「将棋の純文学」こと
「相矢倉」が盤上に描き出されました。
49手目▲6六銀。
上図での持ち駒
▲斎藤四段: なし
△牧野四段: なし
斎藤四段は
現代矢倉の主流「▲4六銀3七桂」型に構えますが
その駒組みの間に、牧野四段は先に8筋の歩を歩を伸ばし
飛車先を決める趣向をみせます。
まるで「穴熊に玉をおさめたら」
と、言っているかのような牧野四段の挑発に対し
斎藤四段も若手らしく突っぱね、9筋の歩を受け(45手目▲9六歩)
矢倉を築いていた守りの銀を戦地へと繰り出しました。
54手目△5三桂。
上図での持ち駒
▲斎藤四段: 桂、歩
△牧野四段: なし
この強気の対応が功をそうするのか、否か。。
4筋での桂交換でつり出された
斎藤四段の銀を狙って、牧野四段はすかさず5三の地点に
桂馬を投入。この時点で斎藤四段の銀損が確定。。。
62手目△3六歩。
上図での持ち駒
▲斎藤四段: 桂、歩2
△牧野四段: 銀
駒損は手番の地の利で挽回を。。
斎藤四段は飛車が構える3筋からの攻略を目論見ますが
牧野四段も守りの要である金を戦地へと送り出し反撃。
上図△3六歩の局面で前例がなくなり
斎藤四段は長考に沈みます。
63手目▲5五銀。
上図での持ち駒
▲斎藤四段: 金、銀、歩2
△牧野四段: 銀
1時間と47分考えて絞りだした斎藤四段の63手目は
金を取り駒の捌きを狙う▲5五銀でした。。
牧野四段は
△同歩ではなく、△同角と応じて王手。
66手目△4四銀。
上図での持ち駒
▲斎藤四段: 金、桂、歩2
△牧野四段: 銀
斎藤四段は角の王手に角で応戦し
角交換を迫りますが、牧野四段は応じることなく
銀を打ち込みじっくりと守りを固めます。。
見応えのある面白い展開。。
熱戦を制するのはどちらとなりますでしょうか。。注目です!