明日は注目の佐藤王将登場。。最近の「対羽生三冠三番勝負」を振り返ろう
来年の1月13日(日)-14日(月・祝)
静岡県は掛川市「掛川城 二の丸茶室」にて
いよいよ開幕を迎える 第62期王将戦7番勝負。
強豪そろう挑戦者決定リーグ戦で
全勝優勝を果たした 将棋界の「冬将軍」渡辺明竜王が
挑戦者に名乗りをあげ、開幕ムードも高まります。。
初防衛を目指す佐藤康光王将にとっては
かつて竜王戦で2年連続死闘を演じた因縁の相手であり
佐藤王将も名を連ねる「羽生世代」の前に唯一立ちはだかる
最大の難敵との対戦。。
将棋界の新年の幕開けを飾るにふさわしい
テーマのある、また見どころも満載な最高のカードとなりました。
渡辺竜王は先週
やはり「羽生世代」である丸山忠久九段の挑戦を退け
王座戦から続けて3タイトル連続登場となる
王将戦へむけ気持ちもすっきり、高いモチベーションを持って
臨んでくることは間違いなし。。
では佐藤王将の現在は。。。
ここにきて注目度急上昇中の「闘将」佐藤王将が
明日、公式戦に姿を現します。。
<第38期棋王戦敗者復活戦/1回戦>
佐藤康光王将-広瀬章人七段
舞台は第38期棋王戦の敗者復活戦。
棋王戦は挑戦者決定にあたり、従来の挑戦者決定トーナメントに
独自のレギュレーションを加えています。
それが本戦トーナメントベスト4進出者に与えられる
「2敗失格システム(1敗ルール)」
今年の場合ですと本戦トーナメントのベスト4進出者
羽生善治三冠、渡辺竜王、佐藤王将、広瀬七段の4名は
「挑戦者決定まで、1敗までは出来ますよ」というルールで
まずは準決勝で敗れた(1敗した)
佐藤王将と広瀬七段は敗者復活戦/1回戦を戦います。
↓
負けた方は即失格。
勝った方は本戦/決勝で敗れた(同)棋士と
敗者復活戦/決勝戦を戦います。
↓
負けた方は即失格。
勝った方は本戦優勝者とあらためて挑戦者決定二番勝負を
戦います。
この時本戦優勝者には(まだ一敗もしていない)
1勝のアドバンテージ(1敗できる権利)が与えられるので
・敗者復活戦勝ちあがり組は2勝が必要
・本戦優勝者は1勝、もしくは1勝1敗で挑戦権獲得となります。
慣れるとなかなか味わい深いこのルール。
「敗者復活戦」と銘打たれているものの、佐藤王将、広瀬七段ともに
まだまだ挑戦権獲得の可能性があり気合が入っていることでしょう。。
佐藤王将の今期ここまでの成績は
26戦19勝7敗(.731)。順位戦はA級で3勝2敗。
序盤の一手から一切の妥協を排し、創意工夫に心血を注ぐ
「現代の幸三」こと佐藤王将は、一時の不振から不死鳥のごとく蘇り
前期の王将戦で、宿敵・久保王将(当時)から万感極まるタイトル奪取で
一つの物語に感動のフィナーレ をもたらしました。
年度がかわり、むかえた今シーズンも
春先から白星を順調に重ね、夏には公式戦8連勝を記録するなど
好調をキープ。タイトルホルダーとして充実のシーズンを過ごします。
しかし、ここに来て黒星も目立つ佐藤王将。
ここ5戦の成績は2勝3敗と負けが先行し、その黒星を喫した相手は
全て羽生三冠となっています。。。
【 最近の対羽生三冠三番勝負 その壱 】
7手目▲8八飛。
上図での持ち駒
▲佐藤王将: なし
△羽生三冠: なし
10月27日に行われた
第33回将棋日本シリーズ/準決勝 での顔合わせでは
先手を持ち「相振り飛車」に。。
【 投了図・134手目△7五玉 】
投了図での持ち駒
▲佐藤王将: 飛、銀
△羽生三冠: 飛、角、金2、銀、桂、歩4
序盤から佐藤王将らしい趣向を凝らした指し回しが披露され
複雑で熱のこもった展開となりましたが、66手目の角交換以降(△7七角)
は羽生三冠がペースを握り、最後の猛攻に見せ場を作るも
上図134手目で力尽き、無念の敗戦となりました。。
【 最近の対羽生三冠三番勝負 その弐 】
7手目▲8八飛。
上図での持ち駒
▲佐藤王将: なし
△羽生三冠: なし
将棋日本シリーズでの顔合わせから
10日後に行われた第38期棋王戦挑戦者決定トーナメント
準決勝も、10日前と同じ手番で同じく「相振り飛車」に。。
15手目▲8四歩。
上図での持ち駒
▲佐藤王将: なし
△羽生三冠: なし
10日前の対戦では先手番ながらも
立ち上がりをうまく羽生三冠に押さえ込まれた佐藤王将が
本局では3筋の歩の突合せを受けずに、飛車先の歩を合わせ
積極的に主導権を奪いいきます。。
29手目▲6五歩。
上図での持ち駒
▲佐藤王将: 歩2
△羽生三冠: なし
6筋の歩を突き、両者の角が向かい合った局面では。。
30手目△3三角。
上図での持ち駒
▲佐藤王将: 歩2
△羽生三冠: なし
「私から角を交換する気はないので、したければお好きにどうぞ」
と言わんばかりに、羽生三冠は
後手番で貴重な一手をかけて角を斜め一マスだけあげ挑発。。
もちろん「闘将」佐藤王将は次の手で角交換を敢行(▲3三角成)
以下、△同桂~▲2二角打~から激しい攻防戦がスタート。。
54手目△8六香。
上図での持ち駒
▲佐藤王将: 桂、歩2
△羽生三冠: なし
羽生三冠も負けじと馬を佐藤陣営に作り
佐藤王将が飛車の頭上に直撃する香車ロケットを配置すれば
羽生三冠もすかさず香車を佐藤飛車に直撃させる。。
さすが将棋界の看板カード。。
激しい攻防の中でも均衡を保ちながら、美しい模様を描きだし
変化させていきます。。
【 投了図・98手目△4二玉 】
投了図での持ち駒
▲佐藤王将: 金、桂、香、歩2
△羽生三冠: 飛、銀2、桂、香、歩
最後の最後まで手に汗握る至高の名勝負となりましたが
上図98手目までで、佐藤王将無念の投了。
10日前のリベンジとはなりませんでした。。
【 最近の対羽生三冠三番勝負 その参 】
4手目△5四歩。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: なし
△佐藤王将: なし
先手番の「相振り飛車」で連敗を喫した佐藤王将は
11月22日に行われた第71期A級順位戦/5回戦での
顔合わせで、後手番で「ゴキゲン中飛車」を投入。。
三度、飛車を振った佐藤王将に対し
羽生三冠は居飛車に構え、「対抗形」となりました。
15手目▲4六銀。
上図での持ち駒
▲羽生三冠: なし
△佐藤王将: なし
羽生三冠が「ゴキ中」対策の決定版「超速▲3七銀」に構えると
佐藤王将は「菅井新手」△4四歩型で対抗。。
さらにその「菅井新手」を羽生三冠が真っ向から咎めにいき
「ゴキゲン中飛車」の今後を左右する最先端の戦い模様 となりました。
【 投了図・137手目▲5九金 】
投了図での持ち駒
▲羽生三冠: 角2、銀、歩2
△佐藤王将: 金、歩3
ここでも勝利をおさめたのは、羽生三冠。
佐藤王将は対羽生三冠三番勝負の全てで「振り飛車」を採用するも
残念ながら勝利という結果はものに出来ませんでした。。
ただ、渡辺竜王との王将戦では
佐藤王将の「振り飛車」はすでに一つのカギを握っているとみられており
そこへむけて最高の実戦経験を求め、(何かを掴んだ)一連の流れだった
ようにも思えますが。。。
果たして
「対羽生三冠三番勝負」が王将戦のアヤとなるのでしょうか。。
そんな気になる佐藤王将の明日の相手
広瀬七段の今期ここまでの成績は28戦15勝13敗(.536)
順位戦はB級1組で6勝3敗。
デビュー以来、高い勝利率を誇り
23歳で王位のタイトルを奪取した広瀬七段ですが
ここにきて一つの壁突き当たっている印象も。。。
今期最後のタイトル挑戦のチャンスを何とかものにして
再浮上のきっかけとしたいところであります。
両者の対戦成績は
ここまで4度対戦し、佐藤王将の4連勝中となっています。
さて、明日はどのような戦い模様となりますでしょうか?!
注目です。