第25期竜王戦7番勝負/第5局・一日目「封じ手は渡辺竜王」
9連覇を目指す難攻不落の絶対王者・渡辺明竜王に
丸山忠久九段が挑戦する第25期竜王戦7番勝負。
ここまで4局を消化し、渡辺竜王が3勝1敗とリード。
タイトル防衛に王手をかけてむかえた注目の第5局が
本日より、新潟県は南魚沼市「龍言」にて開幕。。
第5局の先手はカド番で後のない丸山九段。
初手▲7六歩から△8四歩~▲2六歩~と進行し
渡辺竜王の戦型選択が明らかとなる、次の注目の4手目は。。
4手目△3二金。
上図での持ち駒
▲丸山九段: なし
△渡辺竜王: なし
ここで角道を開ける△3四歩なら
「横歩取り」となる可能性もありましたが
渡辺竜王は角道を開けることなく、先手の飛車先を金で受け
「角換わり」を目指します。。
10手目▲7七角成。
上図での持ち駒
▲丸山九段: なし
△渡辺竜王: 角
定跡手順の進行となり
上図10手目に渡辺竜王から角の交換を敢行。。
今シリーズは開幕から5局連続で「角換わり」からの勝負となりました。
25手目▲5六銀。
上図での持ち駒
▲丸山九段: 角
△渡辺竜王: 角
角交換成立後、細かい駆け引きを入れながら
互いの右の銀が中央5筋の天王山を目印に繰り上がり
歩の椅子に腰掛けて向かい合う、戦型は「角換わり相腰掛銀」
となりました。
微妙に手順こそ違え、同じ手番で行われた
両者のさらなる研究と成熟度が試されることに。。
33手目▲8八玉。
上図での持ち駒
▲丸山九段: 角
△渡辺竜王: 角
銀が中央で向かい合ったまま駒組みは進行し
上図33手目の局面で丸山九段は玉を手厚く入城させます。
今シリーズ一貫してみられる、丸山九段の趣向。。
36手目△7三桂。
上図での持ち駒
▲丸山九段: 角
△渡辺竜王: 角
先に動いたのは渡辺竜王。
第1局、第3局では活用されることのなかった右の桂馬を
駒組みの最中に思い切り良く跳躍させました。。
この手をみて、丸山九段は長考に沈みます。。
37手目▲6六歩。
上図での持ち駒
▲丸山九段: 角
△渡辺竜王: 角
長考すること1時間と38分。
丸山九段の次の手は、桂馬の二度目の跳ね上がりの余地を消し
争点となる6五の地点に加勢する、指されてみれば自然に思える
上図▲6六歩でした。。
この手をみて、今度は渡辺竜王が長考に入り
そのままお昼休憩突入となりました。
【 お昼のメニュー 】
丸山九段: もち豚の味噌焼き定食
渡辺竜王: カレーライス
今シリーズは昨年度話題を集めた
丸山九段の絶倫大食 がなかなか披露されず
物足りなさを感じているファンの方も少なくないと思われます。
個人的には中性脂肪の気になる四十代にしては
しっかりと、がっつりと、毎回昼食を取る姿に驚愕していますが
本日は、10時のおやつに温泉まんじゅう4個 をたいらげた上での
もち豚味噌焼き定食であることをご報告させていただきます。
39手目▲2五歩。
上図での持ち駒
▲丸山九段: 角
△渡辺竜王: 角
午後開始の一手は
お昼休憩をはさんで47分の長考の末、指された
渡辺竜王の38手目△2二玉。
この手をみて
丸山九段はすかさず渡辺玉の頭上となる
飛車先の歩を伸ばし、開戦ムードが高まります。。
渡辺竜王の次の手は
玉頭を守り自陣を引き締める40手目△3三銀。
そして、丸山九段が▲4五歩(41手目)と仕掛けると。。
42手目△4六角。
上図での持ち駒
▲丸山九段: 角
△渡辺竜王: なし
狙いすましていたかのように
その4筋の歩の裏を取り、角の打ちこみ。。
慎重に時間を使い、局面を進めてきた丸山九段は
次に香車を守るべく、飛車を1筋へと移動。。(43手目▲1八飛)
46手目△6五歩。
上図での持ち駒
▲丸山九段: 角
△渡辺竜王: 歩
角がいやらしくぶら下がったまま
渡辺竜王はついに争点の6後の地点に踏み込みました。。
47手目▲6五同歩。
上図での持ち駒
▲丸山九段: 角、歩
△渡辺竜王: 歩
丸山九段もすぐに同歩と応じたところで
一日目終了時刻となり、渡辺竜王が次の48手目を「封じ手」にする
意思を示し、一日目は終了。。
【 一日目消費時間 】
▲丸山九段: 4時間48分
△渡辺竜王: 2時間46分
消費時間で2時間も差がついた一日目。。
渡辺竜王は終盤戦に時間を残しておくのが抜群に上手いことでも
知られており、何となく渡辺竜王がペースを握っている印象を受ける
ここまでの展開でしたが。。。
慎重に一日目を指し進めた
丸山九段がどこかで、切り返しを用意しているのか。。
明日、決着の二日目が実に楽しみです。。